絶体絶命 作:ぴのこ
皓仁は久々の休日で、倉庫の整理をしていた。
妃乃子も台所や風呂場の掃除を終えてから、皓仁の手伝いに向かった。
「あれ?これお義父さんのだよね?」
「うん。間黒男の人生史だよ。うぷぷの話も書いてあるよ」
「?」
「ね、買い物いってご飯たべてから、ゆっくり読んだら?」
「え?」
「なかなか面白いことが書いてあるよー」
「おまえ、読んだの?」
「あったりまえだのくらっかーだわのよ!
間妃乃子は間黒男について、知らないことはない!」
「ずいぶんと深い愛情で支えてあげてたんだなぁ~」
「そーだよ。あんな仏頂面な男でも、艶っぽい話の
ひとつやふたつあるんだからね!」
「艶っぽい・・・なんだか今すぐ読みたくなってきたな」
「だから!ご飯たべてからね!」
「はい・・・・じゃ、トストコに買い出しに行って
それからタタロニアにでも行って、スパニッシュ料理にしますか?」
「わ~い。でも、皓仁、飲みたいでしょ?あたい運転するよ?」
「え?いいよ・・・途中で失神でもされたら困るからね」
「もう、大丈夫だったら!金木名助手のおかげで、あたいは
一般人以上に丈夫になったんだから!」
「いいよ。僕の大事な奥さんに、緊張を強いるようなことは
できないからね。家にもどってから、ゆっくり飲むよ。
ワイン片手にBJ史をゆっくり堪能しようじゃないか」
「じゃ、トストコで、おつまみも買おうね。
あたいは、冷凍フルーツいっぱい買うんだ。
ゼリー作ってあげるね」
「はいはい。楽しみにしてるよ。じゃ、行こうか」
皓仁と妃乃子は郊外にある外国資本のマーケットに向かった。
「ねえ、皓仁、この冷凍食料とかさ、たくさん買って
金木君に持っていこうよ?」
「あ、そうだな・・・研究に役立ちそうだ」
「いつ研究室いくの?」
「連休が終わったら行く予定だよ」
「じゃ、そんときまで冷凍倉庫に入れとくね」
「そうしてくれ」
「冷凍ブルーベリーはあたいたちのね。これで
ブルーベリーパイつくるんだ」
「お、いいね~。ワインと合いそうだ」
「いっぱいつくって、金木んにも渡そうぞ」
「かねきん!いいね。それ。あ、そういえば、金木ん、
未来さんと仲良くしてるらしいよ」
「え?そうなの?」
「うん。連絡取り合ってるみたい。なんでもセッションがどーとか・・・」
「へぇ~。あの気むずかしい未来ちゃんが心開いてんだ?」
「そうらしいよ。だから、妃乃子のパイも喜んでくれると思う」
「そっか!がんばって作るよ!」
2人は和気藹々と買い物をし、トストコを後にした。
タタロニアで軽く食事を済ませ、自宅に戻った。
「ふぁ~。いっぱい買っちゃった。年会費払ってるから
元とらなくちゃって、カゴに入れたけど、買いすぎかもぉ~」
「まあ、研究用冷凍庫と家庭用冷凍庫の二つに十分入りきるし
問題ないよ」
「じゃ、皓仁、詰め込みお願いしていい?あたいは
ワインとおつまみの用意してるから」
「いいよ。こっちは任せて」
「じゃ、できたら呼ぶね」
皓仁は金木に渡す食料と自分の分を分け、研究用の
冷凍庫に詰め込んだ。
「皓仁、用意できたよ~」
皓仁は、倉庫でみつけたBJ史を持って、リビングに向かった。
「お、おつまみ!オードブルだね。おいしそう!あと、これなに?
ジャガイモかな?」
「うん。ジャガイモとベーコンのローズマリー炒めだよ。
ワインとよく合うよ」
「よっしゃー。乾杯だ。妃乃子はアルコールなしサングリアでいいか?」
「皓仁特性のアルコールなしサングリアだね?赤ワインの代わりに
ブドウジュースとフルーツたくさん入れたドリンクか・・・
皓仁、バーテンダーにもなれそうだ!」
「ははは!妃乃子専属のバーテンダーってことで」
「☆乾杯☆」
皓仁はグラスに注がれた赤ワインを口に含むと
手に持っていたBJ史のページをめくった。
「・・・・・・・え?BJ先生の好きだった人って・・・
神代理世????神代って・・・・・喰種じゃないの?」
「そうらよ。喰種だよ。せんせーに依頼があったんだよ。
理世を手術してほしいって」
「本人が?」
「そう。人間にしてくださいって。」
「そうだったのか・・・」
「でも、せんせーは断ったんだよね。無理だって」
「不可能を可能にする男なのに、即行断ったの?」
「うん・・・それも神の定めだって。喰種の存在は
なにか意味のあることだろうって」
「BJ先生らいしな・・・」
「それで、何度も理世がせんせーを尋ねてくるんだけど
せんせーはだめ、の一点張り。そしたら、理世は
『私を薬殺してください』って言ったの」
「え!?それでBJ先生はどうしたの?」
「いくら闇医者でもそれはできない。死にたかったら自分で
始末しなさいって言ったの。そしたら、理世は
『先生の役に立ちたいの。私の体を使って、喰種の研究をして
ほしいんです。なぜこの世に喰種が生まれたのかを先生に
解明してほしいんです』って
せんせーはめずらしく、動揺してたみたい。
自らの肉体を提供するなんて、そんな人いなかったから・・・」
「そうか・・・それで、BJ先生は理世の体を使って
研究をすることになるんだね。もちろん生きたままで」
「うん。血液採取したり、レントゲンとったり、髪の毛や爪を採取してDNA研究したり」
「だから、金木んにも肩入れしたんだね。彼の研究テーマと同じだったから」
「そう。あたいはせんせーのお嫁さんになるって決めてたけど
理世にはかなわないって思った。」
「そんなことがあったんだね・・・」
「うん。だから今回も金木んに、研究材料を提供して
がんばってもらおーと思ってる。せんせーからも頼まれて、通帳預かってるんだ。
皓仁の分と金木んの分の研究費用」
「BJ先生って、亡くなっても存在感大きいよな」
「せんせーは死んでないよ!未来ちゃんの中で生きているんだし!」
「そっか・・・・彼は不滅だね。ぼくらもがんばらなくちゃ」
「うん。研究成功したら、赤ちゃんつくるからね!」
「なっ・・・なにを言ってんだよ、妃乃子は!
ノンアルコールサングリアで酔っぱらったのか!?」
「へへへ・・・・アルコール入ってるんだゾ。秘密で入れちゃった・・・・」
「おいっ!そんなことしたら、倒れちゃ・・・・あ!妃乃子!!!」
バッターンと、妃乃子はソファから転げ落ちた。
気を失った妃乃子を寝室に運び、皓仁は点滴を打った。
「やれやれ・・・人並みになりたい気持ちが旺盛なのはいいが
無理だけはしないでくれよ・・・」
皓仁は妃乃子の頭をなでながら、ブランケットをそっと掛けた。
「明日、金木に連絡してみるか」
皓仁は、未来についての情報も確認するつもりでいた。
妃乃子、アルコールはだめですよ~。倒れちゃいますよっ
でも、きっと皓仁といっしょにお酒飲みたかったんでしょうね!
連休ですもんね?