絶体絶命 作:ぴのこ
妃乃子の焼いたパイを密閉容器に入れ
金木に届ける準備を整える晧仁。
今日は休日だが、金木は研究室にきている筈だ。
晧仁は車のエンジンをかけ、研究室へと向かった。
研究室では、金木が一心不乱に作業に取り組んでいた。
「金木、これ妃乃子から。未来さんとお前にって」
「・・・・・・」
「おいっ、か・ね・きっ!かねきん!」
「・・・えっ?あ!晧仁君!」
「ったく。お前は熱中すると周りが見えなくなるからな・・・
これ、妃乃子が作ったブルーベリーパイ。未来さんと一緒に
食べてって」
「うわー!ありがたい!!!僕チェリーパイとか
だいっすきなんですよーーー!うれしいな~」
「あえて自慢するけどな、妃乃子のパイは絶品だぜ。
よだれたらすなよ」
「ってか、未来さんとこ持っていくまでに我慢できなさそー
もう、すでに香ってくる・・・ぜったい旨い匂いだ・・・」
「未来さんとうまくいってるんだな?」
「え?あ・・・まあ・・・ちょっとしたことからセッションすることになって
それからは、未来さんの方から積極的になって、会ってくれるようになったんだ」
「ほぉ・・・・セッションねぇ・・・」
「な、なんだよ。オケのだぞ!」
「わかってるよ。オレ何も言ってねぇぞ」
「晧仁君、なんかこうへんな視線で見てるからさ・・・」
「いや、金木んも、意外に情熱的なんだなって思ってたんだよん」
「そ、そんなことないよ」
「いやなに、うちの、とーさんもさあれでいて情熱的だったんだよな」
「え?BJ先生が?」
「そう・・・『かくかくしかじか』・・・・だったんだよ」
「そうだったんだ・・・てことは利世さんとBJ先生って
顔見知りだったんだね・・・」
「おまえ、利世のこと知ってるの?」
「そりゃあ、研究内容が内容だけに、あらゆる喰種に関する情報は
入手しているつもりだよ」
「ふうん・・・じゃ、芳村愛支の内臓が未来ちゃんに移植されたってことも
知ってるわけ?」
「え!?・・・・・」
「だろうな。移植に関してはマル秘条項だから、BJとオレ、そして
妃乃子しか知らないことだ。」
未来の家へ向かう途中
晧仁から聞かされた話を思い起こしていた金木だった。
どうりで惹かれるはずだ・・・・そして、未来といると
なぜか懐かしい感覚におおわれるのは、当然のことだったんだと
先日会ったときの、未来の表情が脳裏から離れなかった理由が
はっきりした金木だった。
「なんだか私達似ているわね」
手の甲に顎を乗せ、どこか寂しげな笑顔で
金木をみつめる未来。
そのしぐさと表情をみた瞬間
はっとして、心臓を素手でつかまれた気がした。
未来の家の前に車を止めて、ゆっくり部屋に向かう金木。
「お待ちしていましたよ。研さん」
姓ではなく、下の名前で呼ばれた金木は一瞬、狼狽した。
「あ・・・未来さん。これ、妃乃子さんからです。
一緒に召し上がってくださいって」
「ありがとう・・・私はあとでいただくわ。研さん、
どうぞいただいて。いま、お紅茶を入れてくるわね」
(もしかして、食事に問題があるからあとで食べるって
言ってるのかな・・・)
「研さん、このお紅茶は伯父がイギリスに出張に行ったときに
買ってきたお土産なの。アールグレイよ。パイと合うから
召し上がって。まあ、おいしそうな匂いね」
「はい、いただきます。」
本来なら未来と一緒に食したかったが
通常食には抵抗があるやもしれぬ、そんな思いがよぎり
あえてパイを勧めなかった金木だった。
「気分が整ったらでよろしくてよ。セッションのタイミング」
「あ、ありがとうございます。僕ならいつでも大丈夫ですよ」
「研さん、パイがお好きなんでしょ?残りは持ち帰ってくださいね」
「え・・・いいんですか?」
「ええ。今度はあたくしがチェリーパイをご用意してお待ちするわ!」
「な、なんでそれを・・・・」
「妃乃子さんから伺ったのよ。今回は妃乃子さんが作ってくださるっていうから
ご厚意に甘えたの」
「そう、だったんですか・・・では、未来さんのチェリーパイも是非!
楽しみにしています。そろそろ始めましょうか?」
流れるような旋律が室内に響く。
静寂と情熱。静けさを打ち破るかのような未来の打音と
繊維のように細く強く繊細な金木の音質がが美しく混ざり合い
独特な空気感を生み出していた。
弓を動かしながら、金木はある日の事を
思い出していた。
「私達って似ていない?まっすぐ突き進むけど
あるとき、ふと立ち止まって、とてつもない孤独を感じる。
あなたもそうでしょ?」
公演のベンチに座り、子供たちが遊ぶ姿を見ながら
愛支が晧仁に寄りかかり、そうつぶやいた。
晧仁は愛支の涙を感じていた。笑顔でいても
心は涙であふれていた愛支を、晧仁はそっと抱き寄せた。
長いセッションが終わった。
「このセッションは、名付けてモノクロームレクイエム。
私を二度助けてくださった方々への追悼曲よ」
そう言いながら、ゆっくりと顔を上げ、晧仁を見つめる未来が
かつて自分が愛した愛支と重なって見えた。
自分で書いていて、あれ?って
内容や名前をド忘れしちゃうこと多々あり・・・
(てか、固有名詞は辞書登録すればいいだけの話)←めんどくさくて放置。単漢字で変換中。
夢だったか、現実に書いちゃってたかわかんなくなったり・・・
大丈夫か!自分・・・