絶体絶命   作:ぴのこ

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どうもきな臭い・・・


襲撃事件

東都6区の襲撃事件は皆を震撼させた。

なんとライフルを所持した男が

通りで乱射したらしい。

 

被害者は2人、一人は大腿部を打ちぬかれ

もうひとりは、鎖骨付近を打たれた。

 

犯人は逃走中に、パトロール中のCCG捜査官によって

取り押さえられた。

 

襲撃現場はなんと、未来の家のすぐ目の前だったため

未来邸は報道陣に取り囲まれていた。

当然、彼女の家にも取材陣が詰めかけた。

 

「あのお!お話聞かせていただけませんか!

お宅の目の前で襲撃事件があったんですよ!」

 

インターホン越しに、取材班の男が声を荒らげる。

応対したのは、未来の家の執事だった。

 

「わたくし共は当時、室内にいて音量を上げ

映画鑑賞をしておりましたので、外での出来事には気づいておりませんでした。

申し訳ございませんが、ご協力できかねるかと存じますので

どうぞお引き取りください。」

 

「そのあとは、なにか変わったことはありませんでしたか?」

 

執拗にくらいついてくる記者の質問に、淡々と応じる執事。

 

「なにもございません。それでは(ぶちっ)」

 

執事はインターホンの受話器を置き、記者とのやりとりを終了させた。

 

テレビで混沌とした状況をみていた晧仁、姫乃子そして金木は

ニュース映像を食い入るように見ていた。

 

「ここ・・・未来ちゃんの家だ・・・・」

 

「ああ。間違いない。でも、犯人は捕まったんだよな」

晧仁が二人に確認するかのように、声を発した。

 

「パトロール中のCCGが捕まえたって言ってる・・・・

まさか・・・・犯人は・・・・」

 

金木は青ざめた顔で、ペットボトルの水を口に含んだ。

 

CCGとは、グール捜査官であり、特殊な能力と武器をもったチームを持つ。

彼らは特別な訓練を受け、グールと同等、もしくはそれ以上の能力を持ち、

グールを仕留めるのが仕事である。

 

CCGに捕まったということは、もしかして、この狙撃犯が

グールだったのかもしれないとの憶測が、当然、晧仁、姫乃子、金木の脳裏をよぎった。

 

「グールそのものとの共存、捕食の開発、グールDNAの解析を進めて

一人でも多くの命を救うことはできないのだろうか・・・

 

もちろん、無差別に人間を食い荒らすグールは捕まえて成敗するのは

人間の犯罪者とて同様の措置が必要ではあるが・・・」

 

晧仁は、ため息交じりにつぶやいた。

 

「愛する人がもし、グールだったら・・・たまたま愛した人がグールだったら・・・

またその逆だったら・・・そう思うと、1日も早く開発をすすめなくちゃって

あたいも焦るばかりなの・・・先生もきっとそれを望んでいたんじゃないかって

思うの」

 

姫乃子も目頭を熱くして、唇を震わせながら語った。

 

「晧仁君、姫乃子さん、僕に考えがあるんだ」

 

金木はまだ完治していない体を起こしながら、何かを決意したかのように

晧仁と姫乃子に話を始めた。

 




東都6区襲撃事件はグールとなにか関係があるのだろうか。

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