風紀委員長のパラレル奮闘記   作:まきびし

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GW忙しかった。休みたい。





第13話 お花見①

この春で沢田綱吉は中学2年生になった。

その初日の朝は澄み渡った青空だった。

 

「なぁ、リボーン。俺はこの1年で何か成長できたのかな?」

「さぁな」

 

ツナは学期末に貰った通知表を思い出す。

諸々の教科はいつも通り全く振るわないし、勉学に限らず何かを成し遂げたと自信を持って言えることは特にない。

つまるところ何も変わっていない。

ツナは肩を落とした。

しかしふと見上げた木に桜の花が咲いているのを見てそんな気持ちはどこかへ吹き飛んでしまった。

 

 

「見て!桜が咲いてるよ!」

「満開まではあと一週間ってとこだな」

「なぁ、今週末にお花見しないか?山本や獄寺くんやランボにイーピン、ビアンキも母さんも誘ってさ!」

「いいぞ。京子やハルは誘わなくていいのか?」

「ハルはともかく、京子ちゃんを!?

おっ、男の俺から誘うのって、アリ…かな?」

「むしろ男から誘わなきゃダメだろ。

そういうのが分かってないからモテねーんだ」

「なー!何で赤ん坊に言われなきゃいけねーんだ!」

「オレはツナより女性経験あるぞ。

何だその顔。ウソじゃねーぞ」

「はいはい!とりあえず、誘ってみるよ」

 

 

ふてくされ顔のリボーンと2人でしばらく歩いていると、いつものように獄寺が小走りでやってきた。

 

 

「10代目!リボーンさん!おはようございます!!今日もいい天気ですね!」

「おはよう獄寺くん!あ、そうだ。今ちょうどリボーンと話してたんだけど、今週末お花見しない?」

ツナがそう言い終わるやいなや、獄寺は目を輝かせて、ぜひとも!と即答した。

「どこでお花見するかとかもう決めてますか?」

「ううん、それはまだ!」

「それなら、お花見に良い場所を知っています!

そこでピクニックをしましょう!」

「場所は任せるよ!お弁当は、母さんに頼もうかな」

 

唐突に、ツナは後ろから肩を叩かれた。

「よっ!ツナ。ん?獄寺と赤ん坊もいるのか」

そこには、野球のユニフォームを着た山本が泥臭い顔で笑っていた。

「おはよう山本!」

「クソッ。10代目と盛り上がっていたってのに!毎度のことながら邪魔して来やがって…!」

「アハハ…。あれ?山本、今日朝練は?」

「いや、実は家に弁当忘れちゃってな。取りに帰ってたんだ」

「それでユニフォーム着たまま走ってたんだね!そうだ!今週末にさ…」

 

 

後ろからついて歩くリボーンには山本の顔は見えなかったが、ツナの嬉しそうな顔と嫌そうな獄寺の顔を見るに、山本にもお花見参加の約束を取り付けることができたようだ。

 

何だかんだ和気あいあいと喋る3人の姿を見ていたリボーンは、心の中でツナに語りかける。

 

 

(何言ってんだ。成長してるじゃねーか。

ファミリーが二人もできて、しかもたった一年でここまで深い関係を築いたんだ。

ツナが成し遂げたことは並大抵のことじゃねぇ。

 

今までできなかったことができるようになること、今までできていたことをもっと上手くできるようになること、それを成長と呼ぶんだぜ)

 

 

しかしリボーンはツナに何も言わなかった。

成長はその人自身の中で起こるもの。

ツナ自身がそのことに気が付かないと真に成長とは言えないのだ。

 

 

(さて、そろそろ見るに徹するとすっか)

 

 

リボーンは人知れず気配を消して、ツナの後をつけていった。

 

 

ツナ一行が学校の門の近くまで来たところ、いつもいる風紀委員の面々の代わりに、小さな影が一つ。

 

 

「げっ。今日はヒバリかよ」

 

 

雲雀を視認した獄寺が警戒心をあらわにする。

 

 

「新学期の初日だもんね。最近見かけてなかったけど忙しいのかな?」

「忙しそうだよな。ヒバリが並中から離れるなんて、よっぽどのことがないとしねーもんな」

 

 

山本は少し考えてから、門の前で眠そうにあくびをしていた雲雀の元に一行を離れて歩いて行った。

 

 

「や、山本!?ちょっ、待っ!」

 

 

ツナが呼び止める声は聞こえていないようだ。

 

 

「よっ!ヒバリ」

山本が雲雀の前で立ち止まると、雲雀は怪訝そうに山本の顔を見上げた。

「何の用だい?」

「いや、最近ヒバリを学校で見ねーなと思って。最近何してんだ?」

「別に。学校にいるかいないかは僕の勝手だし、何より詮索されるのは嫌いなんだ」

「またこの前みたいに人助けか?」

「君、人の話聞いてる?」

「きーてる!また夜通し誰かを助けて寝不足なんだろ?ちゃんと寝ろよ、ヒバリ」

「………はァ…」

雲雀はため息と共に少し頭を抱えていた。

 

山本と雲雀のやりとりを見ていた2人は驚いていた。

「ヒバリさんと普通に喋ってる…」

「むしろヒバリがアイツに押されてるぞ…!?」

「そうだね…山本って実はすごいのかも」

「ええ……バカなんでしょう」

「そこまで言ってないよ俺!?」

 

「君たちコソコソ話してないで早く門の中に入りなよ。咬み殺されたいのかい?」

「はいィ!!入りますぅ!」

ツナは飛び上がりながら獄寺を引っ張って門に入ろうとする。

「君もだよ山本武。君の戯言にこれ以上付き合っていられない」

「えー?人が心配してるってのにその態度はねーだろ」

「いいから!山本、行くぞ!」

 

 

半ばツナが引きずる形で山本を雲雀から引き離した。

 

その後、しぶしぶ門をくぐった山本が考え込むように、うーんと唸った。

 

 

「あそこまで焚きつけられて手を出さないヒバリは珍しいな」

「あれ、言われてみればそうかも?いつもだったら秒殺だよね」

「何かしぶる理由があったんじゃないスか?」

 

 

その獄寺は、門の裏に咲いていた桜を見て、思い出したように言葉を紡いだ。

 

 

「あ、それよりも十代目!週末のお花見の集合時間はいつ頃にしますか?」

「お昼…だと、場所が取られちゃうから、朝にしよっか!」

「了解っス!」「りょーかい!」

 

 

◇◇◇

 

 

そして週末。

早朝の公園は人気が無く、そして桜も満開だった。

 

 

「おーラッキー」

「一番乗りだ!」

「いい場所取れるねー」

 

 

場所取りをしようとしたツナと獄寺と山本は、後ろからかかった低い声により、その作業の手を中断せざるをえなかった。

 

「ここは立ち入り禁止だ」

「!?」

「この桜並木一帯の花見場所は全て占領済みだ。でてけ」

 

 

見ると学ランに髪をリーゼントにした不良がこちらをにらんでいた。

すると山本がずいと身を乗り出して言った。

 

 

「おいおい!そりゃズリーぜ。私有地じゃねーんだしさー」

 

 

するとその不良はさらにガンを飛ばしてドスの効いた声で叫んだ。

 

 

「誰も話し合おうなんて言っちゃいねーんだよ!出てかねーとしばくぞ!」

「ひいいい!!」

 

 

不良の態度にビビってしまったツナだったが、すかさず獄寺が進み出て、その不良をひざげりで倒してしまった。

 

 

「獄寺くん!」

(何てことしてくれてんだーー!!)

 

その後の報復等を考えて、ツナはかなり慌てた。

その時、

 

 

「何やら騒がしいと思えば君たちか」

「ヒバリさん!!…あ!この人風紀委員だったんだ」

 

 

倒れた不良の腕に風紀と書かれた腕章を発見したツナはさらに慌てた。

 

 

(ヒバリさんの目の前で風紀委員を倒したら、絶対見逃してもらえないーーー!)

 

 

案の定、雲雀は心なしか楽しげな表情で話しかけてくる。

 

 

「僕は群れる人間を見ずに桜を楽しみたいからね。彼に追い払ってもらっていたんだ。でも君は役に立たないね。あとはいいよ。自分でやるから」

「い…委員長」

 

 

獄寺に蹴られてのびていた風紀委員は、何とか起き上がって雲雀の顔色を伺った。

その風紀委員を見る雲雀の目は冷ややかだった。

 

 

「弱虫は土にかえれよ」

 

 

一瞬のことだった。

どこからともなく仕込みトンファーが現れ、雲雀は風紀委員を一撃で吹っ飛ばした。

その後、ツナ達3人の前に一陣の風が吹いた。

「え?」「は?」「ん?」

気付いた頃には、三人は抗えない力によって吹っ飛ばされていた。

雲雀は軽く息をつくと、近くで見ていたリボーンの方へ歩いていく。

 

 

「また会えたね、リボーン」

「やっぱ雲雀はつえーな」

「あとは君だけだよ」

 

 

リボーンと戦うために身を乗り出しかけた雲雀だったが、リボーンが手を広げてそれに待ったをかける。

 

 

「いや、オレはお前と拳じゃなく言葉で話し合いてえ」

「へえ?」

 

 

雲雀は片方の眉を上げながら怪訝そうに答えた。

 

 

「最近人助けばっかやっているみたいじゃねーか。

不良のトップ張っているお前が何でそんなことしてんだ?」

「不良のトップ…?何の話か分からないけど、別に僕は風紀の乱れを正しているだけだよ。広い意味で捉えたら、人助けもその一貫。

それがどうかしたの?」

「質問を変えるぞ。元々お前は並中や並盛町への愛着はあってもそこにいる人に対しては無頓着だっただろ。いつの日からか、並中の生徒や並盛の住人を守るために動くようになった。何でだ?」

 

 

それを聞いて雲雀は少し考えるようなそぶりを見せた。

 

 

「…へえ。それは僕でも気付いていなかったよ。だから理由はよく分からないな」

「だけど、人助けの手が回っていない。

おめー、いつ見てもどっか無理してるぞ。

現に今だって、隠しているみてーだが足元フラフラじゃねーか」

「……」

「もしお前が並盛にいる全ての人を守りたいのなら、ボンゴレファミリーの一員になれ。

ボンゴレの時期ボスはツナだ。

言われずとも並盛を守る。

それに、ボンゴレは元々自警団が発祥のマフィアだ。

地域住民との繋がりは深い」

「…入らないよ。僕は弱い小動物が群れているのが一番嫌いなんだ。

それに、沢田綱吉がボンゴレの時期ボス?

はっきり言うけど、彼には無理だ。

なる意思もなければ、描く理想もない。

そんなボスに誰が従うんだい?」

「10代目には俺たちがいるだろ……!」

「獄寺隼人、山本武…どいつもこいつも本当に弱い。そんな軟弱なマフィアに堕落したボス。こっちから願い下げだよ」

 

 

挑戦的な目で雲雀がリボーンを捉える。

こけにされたリボーンの目が急に険しくなる。

 

 

「軟弱?堕落?ふざけんな。てめー、マフィアに喧嘩売りやがったな」

 

 

その反応を見た雲雀は嬉しそうに嗤った。

 

 

「さて、リボーン。

君と戦う機会を僕はずっと失っていたからね。

手加減はしない。全力でいくよ」

 

 

そういうと雲雀はリボーンに向かってトンファーを振り下ろす。

その時、リボーンがツナに向かって叫んだ。

 

 

「行け!名誉挽回のチャンスだぞツナ!」

「ってオレなの!?」

 

 

ツナが雲雀とリボーンの間に引っ張り出され、ツナは雲雀のトンファーをもろに食らった。

 

 

「10代目!!」「ツナ!!」

 

 

ツナがのびているのを見た獄寺と山本にスイッチが入る。

 

 

「全員まとめてかかってきなよ。全員、咬み殺す」

 

 

雲雀は不敵に嗤った。

 

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