お察しの通りあの作品のパクオマージュです。
続くかどうかは未定ですが、とりあえずパクオマージュなのは間違いないので怒られたら土下座して消します。
瞼越しに光を感じる。
目を開くと自分の最後の記憶と明らかに違う風景が広がる。
元いた薄暗いすくつではなく満点の青空。
目の前には今まで旅してきて見たことの無い人工の壁。
すっと視点が上がる。
何か見えるものが変わるわけでもないが、今まで座り込んでいたと理解する。
その様子を不審に思ったのか傭兵のような格好をした男が寄ってきた。
「どうかしたのかい?」
そう話しかけてくる男にあなたは首を傾げる。
自慢ではないがあなたは色んな意味で有名人だ。
街を歩けば同業者の大半が逃げ出し、商人は鞄を握りしめ、王侯貴族は財布の紐を絞り、傭兵はあなたを煽り、清掃員は血眼になってあなたを探す。
そんな自分を知らない傭兵がいるとは。新人なのだろうか。
そう思ったが男の視線がやや下向きであることに気づいた。
そこでやっと理解した。
傭兵らしき男はあなたに話しかけているのではなく、あなたの下にいる妹猫に話しかけているのだ。
あなたは妹猫に騎乗しているかたつむりである。
◆ ◆ ◆
改めて周りを見回す。
ちらちらと人の姿を見かけることはあるが、どれも知らない顔である。
はてさてここはどこなのだろうか。また妹猫が自分の知らぬ間に歩き回ってサウスティリスまで来てしまったのだろうか。
サウスティリスの地理には詳しくないが、町の名前であればある程度分かる。
そんな事を考えていると妹猫が、「お兄ちゃん?」と声をかけてきた。
話しかけられているが答えなくていいのか。そんなニュアンスの声であった。
そこで傭兵に聞いてみた。ここは何という街だろうか。
「えっ…と、ここは駆け出し冒険者の街アクセルだが…えっ」
妹猫の頭部から聞こえた声に顔を上げあなたと目が合った後、何故かあなたと妹猫を交互に見ながら答えた。
傭兵の目には明らかに困惑の色がある。はて、何か聞き方が不味かっただろうか。
いずれにせよ必要な情報を得ることは出来たので、折角だからアクセルという街を観光することにした。
あなたは礼を言った後、妹猫を携え町中へと歩みを進めた。
傭兵は呆然としてた。
◆ ◆
街中を観光し、色々と話を聞きながら回っていった結果、ある程度の結論を得ることは出来た。
話しかける人々が揃いも揃って困惑していたのが解せなかったがそれもなんとなく理解できた。
まず、何らかの原因で異世界、少なくてもティリスでない場所に来てしまったこと。
地名や人物に覚えがなく、帰還の魔法が使えなかった。
おそらくすくつで仮眠をとっている時に連れのペットが勝手にムーンゲートを起動してしまったりしたのだろう。
たまによくある話だ。ペットの管理をきちんとしようと改めて感じた。
次にこの世界には種族として自分と同類の生き物が存在しないこと。
かたつむり自体はいるようだが、あくまで小動物の一種としてのようだ。
道理でかたつむりであるあなたが話しかけると困惑した目で見られるわけである。
ちなみに街中で清掃員に会ったが、血眼になって塩を投げてきたりしなかった。かたつむりに優しい世界である。
3つ目、何故か帰れないこと。
ムーンゲートで異世界に来たときには必ず帰路が用意されているものだが何故か帰れない。
てっきりアクセルから出れば帰れると思っていたあなたにとって小さくない衝撃であった。
とはいえ別に困ることでもない。最悪死ねば帰れる。だが死んだあとが面倒なので出来れば生きて帰りたい。
あなたは今アクセルの冒険者ギルドなる施設へ向かっている。
流れ者が身分証明を得る手っ取り早い方法が冒険者になることだそうだ。
あなたはノースティリスの熟練冒険者であるが、こちらの世界では駆け出し冒険者になる。
二度目の駆け出し冒険者としてこの世界を楽しむとしよう。
ティリスに帰ったら納税の件で傭兵と殺し合いになるな、なんて思いながら
あなたはこのちょっとした異世界旅行を満喫することにした。
《妹猫》
あなたのペットの一人。
別に騎乗用ではないのだが、普段はあなたが頭の上に乗っている。
あなたが出来ないこと(武器を用いた近接戦闘やラグナロクの終末発動)を代わりにやったりする。
両手に大鎌を持って近づいてきた敵の首を刎ねるのが主なお仕事。
《あなた》
かたつむり。
特技は清掃員を半殺しにしてサンドバッグに吊るすこと。
射撃武器と魔法が得意。それしかまともな攻撃手段がないとも言う。