戦闘機人 code.Archer   作:國真流

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ぐだぐだが……足りない


17/天獄

 形容し難い混沌、冒涜的な無秩序が空間を埋め尽くさんと蠢いている。その様相はあらゆる物を飲み込み、犯し、陵辱し尽くすものだった。恐らく、この世の誰も目を背けずにはいられない、それ程までに超次元的、惨憺たる有様であった。

 否、その唾棄すべき地獄からは寧ろ誰しもが目を奪われ、見入ることしかできないかもしれない。

 

 

「…んだよこれ…………なんだよこれ!!」

 

 シロウの怒号が響く。それは、目の前の情景が信じられないと、信じまいとする狂気的で支離滅裂な思考回路から放たれた、かろうじて絞り出されたものだ。

 

 険しい顔で眼光を光らせる、そのカオスに対するように真っ直ぐに深淵を見つめている。

 その、視線の先には—————

 

 —————不定形の生物(ナマモノ)に都合よく服だけを溶かされているナンバーズが居た。

 

 

 ♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

「シロウ、付き合って欲しい実験があるんだが…」

「断る」

 

 久しぶりに研究所(実家)に帰り妹たちの相手でもしてやろうかと思っていた矢先にこれである。

 ニヤニヤと怪しい笑みを浮かべ、あからさまに何か良からぬことを考えている、…と思う。

 

 そもそもドクターの『実験』に付き合っても良いことはない、と言うか碌な目に遭ったことがない。

 いつだったか、気がつけば天井にシャンデリアの如く打ち付けられブラ下がるはめになったこともあった。『ノッブ!!』と叫ぶ謎生物が研究所を埋め尽くし、なんだかんだで研究所ごと消し飛びそうになった事もあった。

 そういう訳でシロウは『実験』に過剰すぎるほどの警戒心を抱いていた。

 ところで、言い忘れていたが…新装備の調整やら、ガジェットの耐久テストならばドクターは『実験』という単語を使わない。

 普段はわざわざ『実験』などと銘打つ事は無く、アレしてコレしてと案外具体的に言ってくる。

 ならいつ使うのか、それは……

 

「いや〜面白そうな遺失物を見つけてね、シロウに効果を確かめてもらいたいんだ。」

 

 そう、よく分からない遺失物を見つけて来た時だ。

 ドクターも天才科学者を自称するだけあって大抵のことであれば推論だけで真実に辿り着けるほどの観察力、分析力をもっている。けれど、遺失物だけはそうはいかない。未知の技術の塊である遺失物は検証と実験と解析を繰り返さなければその真髄を知ることは出来ない。

 

「大丈夫!シロウなら多分死なないさ!」

 

 そして、いつも実験の被害者になるのがオレ と言うわけだ。

 

 因みに速攻で断ったが結局断りきれない、というか実は選択肢などない。ドクターに命令されたのなら実行せねばならないのだ、例えどんな無茶振りでも。

 

 ———という風にいっそ諦めの境地で半ば白く燃え尽きているシロウの前に古ぼけた茶色い瓶が置かれる。

 

 表面には饕餮紋にも似た文様が描かれており、おどろおどろしい雰囲気が滲み出ている。また、その瓶には蓋がされていたが蓋には強力な封印魔法が掛けられおり中身にこそ意味があるのだと主張している。

 

「これはフ◯ニャルドという世界の逸品でね。かつてその世界を恐怖のどん底に陥れた魔王が残した魔物が封印されている…らしい」

 

「…らしい?」

 

 スカリエッティらしくない、曖昧な返事にシロウは困惑する。

 

「ああ、実はもう封印は一度解いて中身は確かめたんだがね『オイ』…そう怒らないでくれたまえ、特に何もなくてね…ただ無限にピンク色の液体が流れるばかりで肝心の魔法生物が出てこなかったのだよ。」

 

 無限に湧き出るピンクの液体…

 シロウの背中に冷たいものが流れる。嫌な予感、虫の知らせ、第六感、言い方は何でも良いが兎に角シロウの何かが警鐘を鳴らしている。

 まるでこれから起こる悲劇を予見しているかのように。

 

「仕様がないからシロウに解析を頼みたいのだが…どうだろう?」

 

 ふいっと向けられた視線にシロウは何とか平静を保ちつつ一番気になっていることをきいた。

 

「………その水は何処に?」

「流しに捨てたよ?」

 

「チッッックショオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 シロウは全速力で研究所内を駆けた。それはもう駆けた。全力で己の全てを出し尽くして駆けた。

 固有時制御十重速と自前の体術をフル活用して駆けた。あと風圧で窓ガラスが割れないように衝撃を殺しつつ駆けたせいで体への負担は多大なものとなっている。

 

 シロウがようやく足を止めた時には身体の至る所が紫色に変色しており、体表面に近くの毛細血管が千切れ飛んでいるのが分かる。

 よく見てみると身体から湯気が上がっており、幾分かの血液も蒸発しているようだ。

 

 シロウは辺りを見回し誰も居ないことを確認する。基本的に誰も立ち寄らない研究所内でも端っこの方にある場所だが注意しておいて損はない。

 シロウがそこまでしてたどり着いた場所、それは研究所に備え付けられている下水濾過装置だ。

 

 スカリエッティの研究所では基本的に水は循環させて再利用する様にしている。水を一々供給するのは案外手間が掛かる上に汚水をながすと管理局に勘づかれる恐れもある、というのが理由だ。

 

 そういうわけで汚水は全て一度タンクに貯められ、ここにある濾過装置で再度利用出来るように浄化されるのだ。

 

 閑話休題

 

 シロウが真っ先にここに来たのにも理由がある。スカリエッティの『流しに捨てた』という発言だ。

 もし、もしもだが、その捨てた水が魔法生物だったら?

 

 スカリエッティに湧き出る水自体が魔法生物だという事がなぜ想像できなかったのかは分からない、……事もない。

 粗方、魔王が残した魔物と聞いてレッド◯イズブラックドラゴンみたいなのを想像していたのだろう。或いはラ◯ュタのロボみたいなのを期待して居たのかも知れない。

 スカリエッティは基本中身は子供だし、馬鹿と天才は紙一重とも言う。ワクワクしながら蓋を開ければ水しか出なかったためがっかりし過ぎて碌に確認もしなかったのだろう。

 

 とは言え、そんな事はどうでもいい。

 起ってしまったことを一々気にして居ても始まらないし、シロウ自身の思い違いなら御の字だ。

 

 そんな淡い期待を抱きつつシロウは濾過装置にある内部確認用スコープを覗く。

 

『ぷるぷる』

 

 シロウは一度スコープから目を離し、目をこすり深呼吸して再度スコープを覗く。

 

『ぷるんぷるん』

 

 巨大な不定形の生物がいた。

 

『ぷるんぷるん』

 貯水槽を埋め尽くすほどの量、15万ℓぐらいだろうか、蠢くその物体は薄いピンク色をしており、ドクターの言っていた液体の色と一致する。

 だが、…多い。ドクターは流しに捨てたと言っていた。つまり無限に湧き出るとは言ってもそう大した量では無かったはずなのだ。

 なのに……

 

「………どうしてこうなった」

 

 力なく項垂れるシロウ、その顔には影が落ち、心なしか周囲の背景は煤けていて物寂しい雰囲気を醸し出している。

 

『キャアアアアアアアア』

 

 シロウが地面に半ば突っ伏しながらこれからどうするか思案していたところ誰かの悲鳴が聞こえてきた。

 

「しまった!!」

 悲鳴のした場所まで急いで向かう。

 

 くどいようだがもう一度言う、この研究所はほぼ全ての生活用水を再循環させて使っている。

 つまり…

 

「無事か!!」

 

「シ、シロウ兄!…たす、……ひぁゃん♡だ、めぇ…そんな、そんなとこ…いじっちゃ……んんっ////////」

 

 被害者はセイン、スライムの触手?の様なもので逆さ宙吊りにされ、

 身体中を締め付ける様にスライムに覆われている。

 

 そしてスライムは蛇口から今なおとめどなく流れ出ている。

 

  …つまり水場は全て危険地帯というわけだ。

 

 

 ♢♢

 

『ジュウウ…』

 

 セインに触れている触手の周辺から突如煙と共に嫌な音が響く。

「ヒッ…」

 セインは泡立つスライムの接触部を見て、ウツボカズラに溶かされる小動物を想起する。

 ぐずぐずに溶けて骨だけになった無残な死骸を思い出し、背筋を凍らせる。

 

「セインッ!!」

 

 シロウもすぐさま双剣を投影しスライムに斬りかかる。

 目にも留まらぬ斬撃がセインを縛り上げていた触手を切断する。宙に投げ出されたセインだが、疑うことなく自然落下に身を任せる。

 すとん、と衝撃を感じさせない様シロウは柔らかくセインの体を受け止めた。

 所謂お姫様抱っこの格好だ。

 

 もう既に辺りにスライムの姿はなく逃げたか、シロウの干将・莫耶で滅殺されたかのどちらかといったところだ。

 

「無事か?セイ…ッ」

「…う、うん大丈夫…だけど?………ひゃあ!!」

 

 脅威が去って漸く落ち着いたのか互いの無事を確認しあったが途端、シロウは首を明後日の方向に曲げ、セインも顔を真っ赤にしてわたわなと震えている。

 

 溶かされていた。

 Q.何が? A.服が。

 

 しかもご丁寧に局部を重点的に溶かされている。普段から身体に張り付く様なスーツなだけにある種の色気の様なものがあったが、中途半端に溶かされることで比べ物にならないエロティックさを醸し出していた。

 しかも、それなりの時間弄ばれていたためか、肌は熱く上気し流れる汗と健康的な赤みがより一層、蠱惑的な魅力を引き出している。

 潤んだ瞳に見つめられ、熱い吐息が肩にかかるたび、背徳的なエロスをシロウは感じずにはいられなかった。

 抱きかかえる様な格好のこともあったのだろう、丁度腕を回している肋骨のあたりと太ももの辺りはスーツが溶けていて直に触れる形になっている。

 

 セインは涙を溜めた瞳で兄の双眸を見つめる

 、シロウも妹の上気した顔を見つめ顔を近づける。

 

 

 

 

 

 

「……シロウ…兄……」

 

「セイン…………………………………………………もう大丈夫か?」

 

「へ?」

 

 セインはひょいと脇で持ち上げられ、すとんと地面に立たされる。

 素っ頓狂な声がつい出てしまったが、あっけにとられていたせいか気づいていないようだ。

 

「ほら、取り敢えずこれ着とけ流石にそのままじゃまずいだろ」

 

「ああ、えっと…うん」

 シロウは投影した服をセインに渡し、何事も無かったかのように振る舞う。

 

 否、シロウにとって先程の事は本当の意味で何事でもなかったのだろう。

 そもそも、シロウはもう大人だ。妹相手に変な気持ちを抱くほど歪んだ性癖を持っている訳でもない。それに、開発中のマッパの姿をシロウとて何度も見ているので、今更ある程度扇情的な格好をされたところで『だから?』ぐらいの反応しかできないのだ。

 顔を背けたのも婦女子に対する気遣いでしかなく全くもって他意はなかった。

 

 そんなシロウの様子をみて、一方的に意識していたのが急に恥ずかしくなったのかセインはますます顔を赤くした。

 

「 本当に大丈夫か?……顔赤いぞ?」

 

「わ、私は大丈夫だからっ!それより他のみんなも助けに行かないと」

 

 一時的に脅威は去ったとはいえまだあのスライムは全て駆逐された訳ではない。

 それに被害が出ているのがここだけとも限らない。

 蛇口なんてそこら中にある上にトイレや風呂、シャワールームなど水が出てくる場所は案外多い。

 

 シロウは頷き気を引き締める。

 

「それじゃあ俺はシャ『無事か!!シロウ!!!!』

 

 怒号が響き渡りシロウとセインの鼓膜を揺らす。

 こころなしか廊下も軋んでいる様な気がする。

 声の主は三女トーレだ、ウィンドウが開きトーレと他数名の姉妹の顔を映し出す。

「トーレ姉!、無事だったのか」

『無論だ、そちらも大丈夫そうだな』

「ああ、セインの服をやられたぐらいで他は何も」

『そっちもか……』

「も?」

 

 急に思案顔になったトーレを疑問に思い聞き返す。

 

『ああ、こちらも服をやられた、クアットロとセッテがな。二人とも怪我はないが若干の体温の上昇と発汗が見られるな』

 

「これは……」

『ああ、服だけ溶かしていると見て間違いないだろう。』

 

『その事についてぇ、わたくしからお話がございますぅ。』

 割り込む様に出てきたのはクアットロ、彼女もセインと同じようにスーツを殆ど溶かされたようで半裸だ。

 なお、シルバーカーテンを使って光を屈折させ、擬似モザイクをかけている。何故完全に隠さないかは分からないが、おそらく彼女の趣味だろう。

 

 

『あの、下等原始生物なんですけどぉ、どうやら服そのものというより服に染み込んだ体液を摂取しているみたいなんですぅ』

 

 その言葉にその場の全員の肌が粟立った。

 特にシロウは貯水槽で大量繁殖した理由に得心がいってしまったせいか更に顔色が悪い。

 

『この発汗作用もぉ、それを狙ってのことみたいですねぇ』

 それは、案外まずいのではないだろうか。いくら汗とは言っても流し続ければ脱水症状を起こしやがて死に至る。

 不定形という事もあり相性次第では中々の強敵にもなりある

 

『いえ、それはなさそうですねぇ』

 思わず口からこぼれていたシロウの言葉をクアットロが否定する。

 

『体液を摂取するといいましたけど、正確には体外に排出された老廃物を摂取しているようですねぇ』

 

 成る程、ドクターフィッシュの様なものか。

 

『まぁ、その辺はどうでもいいのだが…、それより他の姉妹達の救援に向かうぞ、チンクは多少マシだろうが他は対処できんだろう。』

 

 トーレの言う通り年長組でなければ対処するのは難しいだろう。半液状なので、打撃、斬撃はほぼ効かない上に見た目よりも動きが早く触手での拘束はリーチが予想以上に長い。

 冷静に対処出来ればまだ芽はあるかもしれないが、年少組にそこまで要求するのも酷と言うものだ。

 

「わかった、こっちも見つけ次第救助する。けどトーレ姉達もあんまり無理するなよ?危なくなった呼んでくれ」

 

『了解した。シロウも助けが必要なら言え、可能な限り救助に向かう』

 

 

 通信を終え、シロウは向き直る。

 そこにはいつの間にやら廊下を埋め尽くすスライムの群れ。ぬちゃぬちゃと音を立てながら這い寄ってくる。

 

「悪いが、お前らの相手を一々するのは面倒でな 一撃で決めさせてもらう!!」

 

 回路を戦闘に切り替え、矢を番える。

 

「———我が骨子は捻れ狂う………【偽・螺旋剣(カラドボルグ)】!!!!!!」

 

 

 空間を削り抉る螺旋の矢がスライムを引き裂き奔る。

 空気を震わせ大地を軋ませる。

 研究所の一角が消し飛んだわけだが気にしてはいけない。

 

 シロウはできた道を掛け妹らの下まで駆けた。

 

 

「あの〜私もいるんですけど……」

 

 セインの声が廊下に響くが気にする者はいなかった。

 

 

 ♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 ぬりゅぬりゅ…ズリュゥゥゥゥ!

 グチュゥゥゥゥゥゥゥヌロ〜

 

 水っぽい音が木霊する

 訓練場とおぼしきそこでは既に複数の少女が宙吊りにされており最後の一人が丁度スライムに捕まったところだった。

 

「くっ、離せ!っっっぅう!やめ、ろぉおお!ぉぉぉおお♪そ…それ以上はぁ♪だめだぁああああ!!」

 

「チンク姉!」

 

 銀糸を乱れさせチンクは身をよじる。それを楽しむかの様にスライムも服を溶かす触手の数を増やしていく。

 既にトーレは疲れ切っており自身を呼ぶウェンディの声のに構う事もできないのか視線すら向けることはない。

 

「ディエチ!なんとかできないっすか?」

「無理だよこいつら掴めないし脱出もぉぉぉっふぅぅひっ♪無理だよぉぉぉ♪」

 

 粗方溶かされ切った二人はあまり触手が動かなくなっていたのか普通に会話できていたが、脱出の計画を練ろうとした瞬間触手が蠢き四肢をより一層強く拘束する。

 

 ギリギリギリ

 

「…もう、げん……かいっすぅぅぅ♪ああぁぁぁぁぁっ♪」

 

 少女たちの苦悶の声が辺りに響く

 もういっそここで意識を手放した方が楽なのではないか、そう思い始める。

 ウェンディは目を閉じ、このまま身を任せようと意識を闇に沈め始める。深い海に潜る様に、徐々に徐々に暗い闇にその身を沈めていく。

 

 暗い

 

 暗い

 

 暗い

 

 …

 

 …

 

 

「悪い、遅れた」

 

「「「ッッ!!!」」」

 

 霧が晴れる様に光が戻る。

 身体を拘束していたものはとうに無く、その身は自由に——

 

 

 ———落下していた。

 

 

「ちょっっっっつとおおおおぉぉ!!」

 

 文字通り全身の肌で風を感じつつ重力に逆らうことなく落下する。然も顔が上を向いているせいで下の様子が分からない。

 

「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁ」

 

 ぼすん

 

 絶叫の割に衝撃が少なくホッとする。ふと見ると兄が微妙な笑みを浮かべて笑いかけていた。

 

「シロウ兄!!?ありが、ぐぇぇ!!!??!!?!」

 

 美少女にあるまじき声を上げるウェンディ、だがそれも仕方がないいきなり自分と変わらない重さのものが腹部に直撃したらそうなる他ない。

 むしろ、この程度で済むのは一重に戦闘機人と言う丈夫な身体を持っているがゆえである。

 

「ちょっディエチ!!痛いじゃないっすか!!」

「しょうがないだろ、こっちだって咄嗟だったんだから。先に受け止めて貰えただけマシだろ」

 

 珍しく饒舌なディエチだが、それだけ怖かったという事でもあるのだろう。

 

「やめんか、それ以上は姉も黙ってないぞ」

 

 仲裁するのはチンク、二人と違いまだ服は完全に溶かされ切っておらずギリギリのラインが保たれている。

 ちなみに彼女は二人とは違い自力で着地した。これができるか否かが年長組と年少組を分けているのかもしれない。

 

「ともあれシロウ、助かった。私達では対処しきれなかった。」

「気にするな、これは俺でも手に余る」

 

 冗談の様に口にするが、実際非常に厄介なのは事実だ。今もドクター主導で封印の準備が進んでいるが時間がかかりそうだ。

 

「これで後はノーヴェだけなんだが……」

「ノーヴェは途中まで一緒にいたんだが……」

「……また単独行動か…」

「………すまない」

 妹を一人にしてしまった自責の念からか、チンクは俯き唇を噛む。

「いや、チンクの謝る事じゃない、わかった…俺がなんとかするからお前達は避難してろ。もう少しでセインが迎えに来るから待っていればいい」

 

「悪いな、世話を掛ける」

「兄貴だからな」

 

 チンクの言葉に笑顔で返し、歩を進める。

 

「はぁ…世話焼ける妹だよお前(ノーヴェ)は」

 

 ♢♢

 

 

「はぁはぁ、クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 ドパンッッ!!!

 

 重い蹴りがスライムを散らす。風穴を開けられたスライムは一時蠢き何度か融合するとまた同じように立ち上がる。

 

 もう幾度となく繰り返された行為だが、ノーヴェはひたすら繰り返す。

 

 ドパンッッ!!

 

 

 ドパンッッ!!

 

 ドパンッッ!!

 

 

「ああああああぁぁぁぁぁ!!」

 

 拳を振り下ろし、蹴りを放つ。何十回も繰り返す。

 当然だが戦闘機人とはいえ、疲れがないわけではない。だが、ひたすらに繰り返す。繰り返す。繰り返す。

 何が彼女をそこまで駆り立てるのか、本当のところは彼女自身にもわかってはいない。けれど、言いようのない焦燥感がただ前へ前へと進ませるのだ。

 

「ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 ドパンッッ!!

 

 渾身の一撃を放ち倒れる。

 もう指一本さえも動かすことは出来ない。身体は石で出来ているかのように重く、感覚が無かった。

 

 ずるずる ズリュズリュ

 スライムがたかるようにノーヴェを取り囲む。

 胸の中で悪態を吐きつつ、ノーヴェは意識を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当、無茶するなお前は」

 

 

 

 

 

 予想もしていなかった声に急に目が覚める

「すぐ助けるから、待ってろ」

 

 目を閉じていても感じられる剣戟

(おせぇよクソ兄貴)

 

 温かく包み込むような安心感。誰に言われるでもなく、もう大丈夫なんだと直感する。

 

 幾度かの音が響いたあと、身体を持ち上げられる。身体に力は入らず目も開けられないがなんとか強がってみせる。

 

「別に……助けなんか…呼ん…でねぇ……し」

 

「別に呼ばれたから来たわけじゃない、そんなことよりとっとと避難するぞ、封印術式に巻き込まれたら面倒だ」

 

 そんなことを言いつつ駆けるシロウを睨むが全く気にしてない風だ。

 

 結局ノーヴェは久し振りに会った兄に甘えて最後まで運んでもらったのだった。

 

 

 

 

 

 ※おまけ

 

 スカ「フォォオオオオウ!触手プレイキタァーーーーーーー」

 1「録画しときましたけどどうします?」

 スカ「後で上映会だ!!」

 1「了解です( ͡° ͜ʖ ͡°)」

 5「ああああああああああああああああああああ」

 6「ああああああああああああああああああああああああ」

 9「ひにゃああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 士「もしや、わざとか!!」

 

 





やめて!このままのペースで進めたらドゥーエの出番がほぼゼロになっちゃう。
まだ、原作開始(タイムリミット)まで時間は残ってる、頑張って書きあげれば登場させられるんだから!!

次回、【シロウ人妻をNTRる!!】デュエルスタンバイ!!

自分はドゥーエが大好きです(やっつけ)
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