戦闘機人 code.Archer   作:國真流

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5/強襲

新暦67年

 

 

 

突然だが、スカリエッティは広域指名手配される次元犯罪者である。

その生体科学技術はミッドの100年先を行っているとさえ言われており、もし犯罪者で無ければ歴史に名を残したであろうとされる程の天才である

 

当然ながらそんな彼にはアジトであり研究所であり住処でもある場所がある

 

彼は日々そこで研究を重ね、違法実験を繰り返していると言うわけだ

 

 

さて、ここで話は変わるが時空管理局と言うものがある。この世に無数あるという次元世界を管理し平和を保つ正義の機関である

 

当然ながら次元世界を管理するというのは非常に難しく、テロリスト相手に戦ったり、内部の汚職を摘発したり、まだ見ぬ次元世界で危険な遺失物を発見し、世界が滅びるのを防いだりしなければならない

 

つまり、局員に求められるレベルは非常に高い。

最前線であれば尚更である

 

 

 

話を戻そう。

つまり、何が言いたいかと言うと、スカリエッティの研究所を発見する事もある。と言う事である

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

「アルピーノ!!そちらは、無事か!?」

「ゼスト隊長!大丈夫、私含め、隊員5名 全員無事よ!」

 

癖のある茶色の長髪の男が問うと、紫の髪を真ん中で分けた女性が答える

アルピーノと呼ばれた女性の側には怪我こそしているものの自力で動ける局員が4名いる

 

「そうか…、ナカジマはどうした?」

 

「部下数名を連れて奥に進んだわ。」

「そうか……総員!聞け、怪我人の治療が終わり次第我々も、奥に向かう」

 

ゼストは状況を確認し、すぐさまナカジマの援護に向かう事に決める。今のところ、ガジェットしか出ていないから良いものの、魔導師が出てくればどうなるか分からないからだ

クイントはそう言う意味では抜けているところも、あるのでゼストは心配しているという側面もある

 

彼女はもともと母性の強い女性だったが3年前だろうか…2人の戦闘機人の子供を引き取ってから、更に強くなった様な気がする

クイントは子供が実験体にされているのが許せないのだ。その事も相まって先行してしまったのだろう

 

 

「すまないが、それは許可できない」

 

ゼスト、メガーヌ、他隊員らは突然の声に警戒する。見ると、少女が三人立っていた

 

「ごめんなさぁい、ここで通行止めでーす」

 

甘ったるい、神経を逆なでする声が響く

その声に反応したかの様に大量のガジェットが姿を現わす、ガジェットはゼスト達の退路を断つ様に取り囲む

 

「我々は時空管理局だ、投降すれば釈明の余地が与えられる……」

ゼストの言葉にも三人の少女は反応しない

 

「動ける者はガジェットを、動けない者は後方支援に回れ! 俺とアルピーノは魔導師を捕縛する!

アルピーノ、いけるな?」

「ええ、もちろん」

 

ゼストはすぐさま臨戦態勢を整え、部下に指示を送る

 

(ナカジマ…俺が行くまで持ち堪えろよ)

 

ガジェットが飛び上がったのを切っ掛けに戦いが始まった。

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

その頃、クイントは部下2名と共に通路を走っていた

 

(設備が整ってきた…そろそろメインプラントも近いはず)

クイントは長年の経験から此処からメインプラントがそう遠くない事に勘づいていた

 

だいたい違法研究所というものは、外側から見るとただの廃棄された建物や工場に見えることが多い

しかし、中を少し進むと足元が見えるぐらいの灯りがあり、更に進むと こう言っては何だが、生活感のある様子になってくるのだ

 

(もう少しすれば隊長たちはの増援も来るはずだし、このまま順調にいけば…)

 

だが現実は非情である

 

『ヒュッ…カ カ カ カ カッ!』

 

「ッ?!」

 

目の前に放たれた矢にクイントとその部下の足が止まる。矢はクイント達の足元からほんの数センチ先に正確に撃ち込まれている。

矢の飛んできた方向を見ると、1人の少年が天井のパイプの上に立っていた

 

「此処から先は立ち入り禁止だ……」

「………一応聞くけど、投降の意思とかある?」

「ない!」

「そうよねっ!!」

 

こちらを睨む少年にクイントは管理局の義務として投降を勧めが、取りつく島もなく断られる。しかし、予想どうりだったようで、足元に三角形の魔法陣を展開し

拳を地面に打ち付けた

 

『ウイングロード!!』

 

シロウが立つパイプまで光の道が形成される

クイントはその道をローラースケートの様なデバイスで突き進む。

 

シロウは両手に黒白の双剣を投影し迎え撃つ

クイントはスピードに乗った拳を振りかぶり前に突き出した。

 

『ギィィィン』

 

クイントの拳とシロウの剣が交差する

「クッ!」

シロウはあまりの衝撃にこらえきれず体制を崩し落下する双剣は弾き飛ばされたのか手元にない

 

そこにすかさず2人の局員がバインドを仕掛ける

 

「「バインド!!」」

 

魔力の帯がシロウを捉えようと二方向から迫り来る

シロウは手に巨大な斧剣を投影し一線する事でそれを防ぐ。

斧剣を消し地面に降り立った

 

「投影開始!!」

 

「「ッッ!!」」

 

蒼電と共にシロウよ両手にそれぞれ赤色の布が現れる

何処と無く神聖な雰囲気を感じさせるその赤い布は蛇の様に、或いは紫煙のように揺らめいている

隊員2人は警戒し、身構える

 

「我に—触れるな」

 

その言葉が合図かの様に瞬時にその布は隊員2人を拘束する。魔法を使って抜け出そうとするも魔力どころかろくに体を動かすことも出来ない

 

【マグダラの聖骸布】

男性を拘束し、捕縛する力がある

神の子に付き添ったとされる聖人の聖骸布である

 

シロウは遠心力を使って、赤布を引っ張り2人を正面から激突させ気絶させる

 

「その布、遺失物かしら?」

「………………」

「ダンマリか…ここは君みたいな子供が居ていい場所じゃないんだよ」

 

クイントは困った様な悲しい様な複雑な表情をシロウに向ける。相対して見てわかったが、目の前の少年は自分が思っていたよりもずっと幼く見えた

こんな子供を実験に使っている違法研究者への怒りとこの子供救いたいと言う気持ちが湧き起こってくる

 

「キミ、名前は?」

「……………」

「そう…、私はクイント!。クイント・ナカジマ!!

………もし、私が勝ったら君の名前を教えてね」

 

両者共に構え直す。

ピリピリとした空気が2人の間に流れる

耳が痛いほどの沈黙の中、シロウは限界まで集中する攻撃においてシロウにアドバンテージはないからだ

彼の剣は防御主体、距離を詰められた時点で弓も使えない。ひたすら耐えてカウンターを狙う

 

 

 

 

 

「あっ、後ついでに私の息子にならない?」

 

 

 

「………………はっ?」

 

急に空気が弛緩する。先程までの張り詰めた空気は何だったのかという程、なんとも言えない雰囲気になっている。シロウは訳が分からないと言った風に目を白黒させている

 

「いや〜。私、違法研究所で見つかった子供を2人引き取ってるんだけどさ…、どっちも女の子だから 旦那が肩身狭そうにしてるのよね

だから……こんな事やめてさ、私の息子にならない?」

「……馬鹿かお前は、俺は戦闘機人でお前は管理局だ」

「私は大人で君は子供だよ。それに戦闘機人って言うのなら私の娘達もそうだよ」

 

 

話が噛み合わない。シロウは最早、訳が分からないとかではなく 何を言っているのか分からなくてなっていた。そもそも自分は望んでこの場にいるのだ、そこをいきなり『息子にならない?』だ。思考が混乱してもしょうがないだろう

 

…ただ、ここまで真っ直ぐな愛情を向けられたのは初めてだったからだろうか。少しだけ、ほんの少しだけむず痒い様な感じがした

 

「………勝ってから言え!」

「それもそうね!」

 

示し合わせたかの様に同時に前に飛び出す

シロウは両手に双剣を、クイントは四肢に魔力を纏わせる。クイントはステップを踏み、鋭く 速く 重い拳を乱打する。一つ一つの一撃が並みの魔導師であればシールドごと吹き飛ばされてもおかしくないほどのものだ。

シロウは両手に持った干将・莫耶でその一つ一つをひたすら丁寧にひたすら丹念に、往なし、躱し、防御する。戦闘機人であるとは言え構造的に脆いシロウは一撃でもまともに喰らえば昏倒させられかねない。

【全て遠き理想郷】は通常時は肉体ダメージの修復しかしない。それ故に非殺傷設定による気絶を防ぐ事は出来ないのだ、多少復帰が早いだろうがそれだけだ。

 

『ギャィィィィィィィンッ!!』

 

クイントの拳をシロウが弾く様に上に撥ねとばし、 空いた脇腹に蹴りを入れる。フィールド魔法で軽減したもののクイントは後方に後ずさった。

 

「—全投影連続層写」

 

シロウは手を振りかぶり、宙に十数本の剣を投影し射出する。丁度クイントを取り囲む様に突き刺さったそれはさながら剣の牢獄の様だ

 

「—壊れた幻想」

 

詠唱と共に剣群が爆発する。

その爆発は床を抉り、空気を裂く。本来であればその中心にいるクイントが無事であるはずがない

 

しかし、クイントは煙の中から前に飛び出しウイングロードを駆使してシロウの退路を塞いだ

 

シロウも仕留められるとまでは思っていなかったものの四肢の一つ位は潰せた筈だと思っていたせいか反応が遅れる

(どうやって防いだ? 普通ならただでは済まないはずだが…)

そう思った矢先クイントの背中が目に入る

火傷と酷い裂傷でボロボロになっている

 

「成る程。前方の剣は叩き折り左右にシールドを張ったか。」

 

左右のシールドで威力を軽減し後方からの爆発をモロに受ける事で前に飛び出たという訳だ

簡単に言えば火縄銃だ。

前のスペースが銃口、左右のシールドが銃身、後ろの剣が火薬と言ったところか。まともな人間であれば実行しない様な危険な戦法だ

 

「それにしても、よく剣が爆発すると分かったな」

「直接剣で狙ってきたなら分からなかったけどねわざわざ周りに突き刺してくれたおかげで勘付けたよ」

 

成る程とシロウは素直に感心する。

確かに何か狙いがなければわざわざ剣を突き刺したりはしないだろう

 

「さてと、もう逃がさないよ。見たところ君、近接は得意じゃないでしょ?

ここはもう私のフィールド。私は空を飛べないけどこの道の上なら誰よりも強い自信がある!」

 

 

魔力の道が縦横無尽に展開されているせいでシロウは思ったように離脱出来ない

その気になれば固有時制御で逃げ出せるかもしれないが反動の事を考えると安易な仕様は避けるべきだろう

 

(仕様がない、サンプルになるかもしれないから極力傷をつけない様にしていたがそうも言ってられないか)

 

シロウは両手に持っていた双剣を消し、代わりに物々しい銃を取り出した。

クイントも今までとは様相が違うと警戒心を高める

 

その銃は彼のが持つ双剣と似た意匠が凝らされておりけれど何処か機械的で冷たい雰囲気が感ぜられた

 

 

 

 

「I am the born of my sword……」

 

 

鉄の歯車は回り出した……

 

 

 

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