待ち人は来ず、ただただ永遠にも近い時間が流れていく。

そんな最中彼女の元に一人の旅人が

1 / 1
時たま小説を投稿させてもらっている雨雲の読み手です。

ぶっちゃけ誤字脱字の多い事や話がめちゃくちゃな時もありますが暖かなおめめで見守ってください。


雪過音

                   せっかおん

                    雪過音

 

秋が終わりて冬になる、冬が終わりて春になる、春が終わりて夏になれば、そうしてまた秋となり。

 

幾度も繰り返す季節の変わり目、その年ごとに季節も顔を変える。

 

此処が生まれてからずっとずっと彼女は季節の変わり目を見てきた、

 

あなたがこなくなってから何回季節を巡ったことだろう。

 

あなたがこなくなっても此処は変わらず誰もいない。

 

こんなへんぴな場所に来るのはあなただけだった、ただでさえ寄り付かないこの場所に。

 

奇妙な事に私に話しかけている、通りがかった周りの者はあなたを見ては早足で去っていく。

 

周りの者からはあなたは奇人変人の類と見られてる、

 

しかしあなたは何処吹く風とばかりに気にしない。

 

欠かさず毎日来ては私に話しかけに来る、私は彼には話しかける事は出来ないのに。

 

《お前も友がいないのか?私と同じだな。》

 

《今日はそんな事があったのか、・・・私もお前と共にあれたのなら。》

 

《年月をさらに重ねても、お前は此処に来るのだな。》

 

いつしかそんな光景が当たり前になった頃、

 

幾月かの夏の終わりからあなたはとんと姿を現さなくなってしまった。

 

ああ、どうしたのだろう。待てども待てどもあなたは来ない、私は不安になっていた。

 

動けない自分の体を見ては周りの者を羨ましく思っている私がいた。

 

・・・やがて冬の始まりが近づいていた、近づいて行く毎に私の不安は加速していた。

 

もう来ないんじゃ無いか、そうもう一人の私が言う。

 

いや、きっと来るに決まっている、そう思いたい私がいた。

 

私は見捨てられたんじゃ無いか、と思うことが増えて行く。

 

・・・私が生まれてからこんな不安な気持ちになることはなかったのに。

 

そうして悲しんでいるうちに気がつけば冬の半ばが迫ろうとしていた。

 

私にはもうどうする事もできない、

 

そんな時ふと気がつくと傘を持った男が近づいていた。

 

「おや?こんなへんぴな場所に花が一輪咲いているでは無いか」

 

男は私を見て物珍しそうにこちらを伺う。

 

私は待ち望んでいた人では無いことにすっかり意気消沈していた。

 

「?これは不思議な花だ、まるで頭の中に言葉が入ってくるような」

 

その言葉を聞いた彼女は驚きに体を震わせる。

 

「いやはや私も驚きだ、まさか花の言葉がわかるなんて生きていてこの方体験したことが無いよ」

 

男は笑いながらこちらを撫でるようにして触っていた。

 

私は豪快なその男に少しではあるが引き気味になっていた。

 

「わはは、花に引かれるのも新鮮な気分だよ」

 

男はちょっとやそっとじゃ気にしない性格のようだ。

 

まるで彼みたいな人だ。

 

その時ふと、私は閃いた、この男に頼んで彼に手紙でも頼もうか、

 

そうと決まったらと私は男に手紙を頼む事にした。

 

 

 

 

 

 

「なるほど・・・な。わかった、私が責任を持ってその言葉を届けよう」

 

そう言うと男は来た道を引き返した。

 

ああ、彼はまた来てくれるようになるのだろうか。

 

そうしたらいっぱいいっぱい聞きたい事や話したい事があるんだ。

 

私は待ち遠しかった彼が来てくれるのを。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、待っていたのは思いもよらない言葉だった。

 

男はやって来た、しかしその面持ちはどこか辛そうで。

 

まるで、

 

仲間が死んでしまった時のようではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これほど聞きたくない言葉は初めてだった、

 

男には悪いがそのまま帰ってほしい。

 

そう思ってしまうほどだった。

 

男は静かに口を開く。

 

「言葉は確かに伝えたぞ、だが彼は・・・」

 

ああ、聞きたくない!

 

彼が来ないなんて何かの間違いだ!!

 

私は男に気持ちのありったけをぶつける。

 

いや、本当はわかっていた。

 

人間の寿命は本当に短いという事に。

 

ただ、受け入れられなかっただけなのだ。

 

「だがな」

 

すると男は再び口を開いた。

 

「彼から手紙を預かってきたんだ」

 

私はその言葉に驚きを示した、

 

先ほどの言葉どうりだと言葉を届ける前に亡くなったと聞こえたのだが。

 

「彼は君の言葉が昔からわかっていたようでね、

 

病に伏せてからも手紙を書き続けたんだよ」

 

っ!?そんな馬鹿な。

 

そんなはずはない、彼は確かに私の言葉がわからなかったはずだ。

 

「まあそれでもだいぶ歳をとってからだと彼は笑いながら言っていたよ」

 

男は苦笑を漏らしながら私に言う。

 

そうか、彼は私の言葉がわかっていたんだな、

 

かなわないなぁ。

 

そうして私は男から手紙を見せてもらった、

 

彼が来れなくなった理由である病の詳細や、

 

私の言葉がわかるのになぜ黙っていたかの理由が書かれていた。

 

私は嬉しさで体を震わせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば冬が終わり春が近づく音がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    end




誤字脱字の指摘や感想もお待ちしております宜しくお願いします

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。