正史編纂委員会『六人目の神殺し鬼崎摩桜に関する報告書』より
その際に殺した神の名はどちらもゾロアスター教の神で、火神アータルと悪神アジ・ダハーカである。
アジ・ダハーカが顕現した事でアータルが連鎖的に顕現して二柱が戦っているところを殺した様である。
彼の王は、同時期にカンピオーネとなった剣の王サルバトーレ・ドニとは真逆な性格である。
しかし、真逆と言ってもそれは私生活などにおいての事であり、まつろわぬ神、神獣、神殺し相手には、面倒と口にしておきながら笑って闘いに赴く。
彼の王の普段の姿を一言で現すなら『怠惰』である。
何も用事が無ければ自宅にずっと引きこもってテレビゲーム、小説、ドラマを見ている。カンピオーネの中で一番サブカルチャーに嵌まっている王でもある。趣味の為に色々と金策──魔術の講師や癒しの霊水を売る──をして金を稼いでいる。
そしてたまたま近くに住んでいた媛巫女に身の回りの事を勝手に世話されている。王本人は、「
草薙護堂が天性の女誑しなら鬼崎摩桜はある女性、具体的に言えば世話好き、心が強く優しい、聖女の様な女性、天然気質、責任感が強く真面目な性格、以下が含まれる女性を惚れさせる才を持つ。
一緒にいる媛巫女・万里谷祐理はこの条件に該当する。
他のカンピオーネとの交遊関係では、同時期のカンピオーネであるサルバトーレ・ドニとジョン・プルートー・スミスとの仲は比較的良好。
剣の王とは半年に一回あるかないかで戦っていた。彼の王の権能でなるべく被害が出ないようにしてもらっているが少なからず何かは必ず壊れる。剣の王の権能が彼の王が張った結界を斬ってしまうためである。
ロサンゼルスの守護聖人とは魔術関連で度々話をする間柄の模様。そして夜に一緒にロサンゼルスをパトロールをしたりしていた。
黒王子アレクサンドル・ガスコインからは一方的に毛嫌いされている。理由としては彼の王が持つ権能と性格が原因かと思われる。鬼崎摩桜の権能の使い方のリスペクト先である事も要因の一つでもあるかもしれない。
同郷のカンピオーネである草薙護堂とはあまり良い関係とは言い難い。原因はカンピオーネとしての方向性の違いによるものだと判断する。
草薙護堂の権能である『白馬』の発動条件である「民衆を苦しめる大罪人」には当てはまらないらしい。
グリニッジ賢人議会の依頼でプリンセス・アリスの身体を治した事もある。
その魔術の腕と智識、権能を持つカンピオーネとして畏敬の念を込め『魔導王』と魔術師の間でそう呼ばれている。
他の呼び名は、『悪神殺し』、『龍魔王』等がある。
割りとまともな感性と理性のある善性の神殺しではあるが、戦いにおいては完全にスイッチが入り他の神殺しと大差ないが周りに結界を張ったりする心配りはある。
不利になったり相性が悪い相手に当たると、躊躇いなく毒を使って確実に殺しているので、まつろわぬ神を倒した数は多いが権能が増えないのはそれが原因だと思われる。それでも権能の数は他のカンピオーネよりも上である。
まつろわぬ神と多く戦っているがその殆どが連鎖的に顕現したまつろわぬ神と戦っているからである。
基本的にのんびりとした人柄で来る者も去る者も拒まずだが、一度敵対すると慈悲や容赦が無くなり権能をフル活用して徹底的に潰すなり殺すなりして二度と動けない様にする。
殺すのは敵対する者が反省する事の無い悪と判断した時だけの行動なので、心優しき者や弱い者には眠らせるだけに留めている。
まつろわぬ神から簒奪した権能の数は現在判明している物は七つであり、一つを除いた六つは攻撃系統の権能である。しかし、彼の王は多くのまつろわぬ神を殺しているのでまだあるかもしれない。
火の神アータルから簒奪した権能『聖なる炎雷』。
火の神であるアータルは稲妻となる逸話も有している。その影響か、炎と雷を片方若しくは両方を纏ったり、黒王子の様に身体を雷に変えて神速で動いたり、炎になって身体の傷を無くしたりと応用が利く。炎と雷を同時に扱うと呪力の消費量が倍になって扱い辛くなる模様。黒王子の『電光石火』の様に攻撃形態があり、グリニッジ賢人議会で決められた名は『白き炎雷』。草薙護堂の『白馬』並みの破壊力で灼き尽くすが黒王子と同様に身体を変化させる事が出来なくなる。
悪神の竜蛇アジ・ダハーカから簒奪した権能『千魔の邪龍』。
アジ・ダハーカの千の魔術を扱う権能と思われていたが、千の魔術はオマケであり本質は、身体をアジ・ダハーカに変化させる権能である。
そのままの身体の大きさで完全変化したり三つ首の内の二つだけを出したり、翼を出したりとこの権能も応用が利く。本能のままに暴れる『魔竜の逆鱗』なる敵味方関係なく破壊する攻撃手段があるらしい。左右の首にペインとディストと名を付けている。名前の由来は痛みと苦悩から来ているらしい。
力を隠していた時の権能の名は『千の魔術』。
天使でありながら蛇でもあるサマエルから簒奪した権能『神を侵せし毒』。
自分自身の血を生物はもちろん神すら殺す猛毒に変える事ができる。
権能を使用すると身体に赤い蛇の刺青が入る。
この神すら殺す猛毒を彼の王はあまり使おうとはしない。理由としてはあまりにも効果が強すぎる為であると考えられる。
以前話し合いをしていた際に、剣の王の『聖なる錯乱』で権能が暴走したら自分自身も毒を喰らって死ぬ上に周囲一帯、具体的には半径五キロ程度が生物、植物も住めない汚染された地獄になると愚痴を溢していた。汚染された場所は広がるようである。
ギリシャ神話にて最強格の怪物にして嵐の神でもあるテュポーンから簒奪した権能『幻獣創造』。
神話にてテュポーンの血を持つ幻獣、怪物、又は生み出した幻獣と精霊を己の呪力を分けて神獣として顕現させ使役する。大きさと強さは込めた呪力で変わり、カンピオーネの膨大な呪力を沢山込められた本気の幻獣は同じカンピオーネか、専門の神獣狩りが百人いても倒せないレベルだと思われる。顕現できるのは一種類につき一体、召喚は一日一回の制約がある。やろうと思えば幻獣の
現在確認されている幻獣は、ネメアーの獅子、オルトロス、ケルベロス、ラードーン、エトン、キマイラ、スキュラ、スピンクスである。
ソロモン王が使役した72の魔神の一柱で侯爵位の悪魔フェネクスから簒奪した権能『灰より出でる炎鳥』。
攻撃系統ばかりの権能の中で珍しい、完全な補助系統の権能。この権能は一度死なないと発動しない権能で、死ぬと同時に身体が灰になって灰から不死鳥フェニックスとなって蘇生する。リスクは一度この権能が発動すると一週間程度はそのままのフェニックスの状態になってしまい、アータルの炎とアジ・ダハーカの魔術以外は使えなくなる。
不死鳥の状態で死んでも蘇りはするが、蘇生する際に消費する呪力が増えるとの事。
不死鳥の状態の時にしか出せない不死鳥の涙は、死んでいなければ体力以外を完全に治す霊水で、魔術師やカンピオーネに高値で売っている。カンピオーネでも経口摂取ならば効果がある事は確認されている。
ゾロアスター教の虚偽を司る悪神アンダルから簒奪した権能『偽りの雷雲』。
アンダルはインド神話におけるインドラの事で、悪神ドゥルジと同じ虚偽を司る。
権能の名の様に雷を扱う権能でもあるが本質は虚偽、騙すのが本来の力で、雲を発生させ相手の五感、特に視覚を偽る事に特化している。カンピオーネですら一時的なら騙せる。羅濠教主、サルバトーレ・ドニには効果が薄いらしい。
海の怪獣レヴィアタンから簒奪した権能『捻れてマガレ』。
指定した空間を捻じ曲げる事が出来る。空間内にある物の強度関係なく破壊するが呪力の放出や空間外に逃げれば意味を成さない。指定する空間が小さければ早く発動し、空間が大きい程空間を捻じ曲げる速さが遅くなる。相手を自分に近付かせない為に使用している。物理法則に喧嘩を売る権能ではあるが、空間を視認出来ないと使えない、発動までが遅いという欠点ばかりで本人も「凄いが使い勝手が悪い」と愚痴を溢していた。
アータルの権能以外は悪に属する神の権能である為に色々と言われているが、本人は気にする事なく「そういう星の下って事だろ?」と、仰っていた。
現在、彼の王は一緒にいる媛巫女と共に行方不明である。
『最後の王』と自身の権能の相性を考えてアイーシャ夫人の『通廊』に入って平行世界へ行っているからである。
現在、草薙護堂が権能の次元間移動で探しているが見つかっていない模様。
恐らく、羅濠教主と黒王子の様に自力で次元間移動方法を編み出した可能性がある。
その証拠に彼の口座のお金が減っていた。防犯カメラには映ってなかったので権能で偽っていたと考えられる。移動先から帰ってきたが、『最後の王』の件が終わっている事が分かった為にまた、次元間移動したと思われる。
正史編纂委員会は出来れば鬼崎摩桜に帰って来ていただきたい。主にまつろわぬ神と神獣による被害削減の為と新米の魔術師と巫の魔術の講師をして欲しいからである。