悪神殺しはD×Dの世界へ   作:ヴォルト

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八話

 デパートから帰ってからそこそこの日にちが経った、アーシアに日本語を教えながら簡単な魔術を教える。

 

 

「アーシアは、支援系の魔術の才能があるな。癒しの神器と性格の影響があるかもしれんな……」

 

「そう…なんですか?自分ではよく分かりませんので……」

 

「アーシアさん、自信を持って良いですよ。摩桜さんは、元の世界で『魔導王』と呼ばれるほどの魔術の腕と知識を持っています。そんな摩桜さんが才があると言うのであれば、アーシアさんには支援系魔術の才があるって事ですよ」

 

「うう…そんなスゴい人に私は、教わっているんですね……」

 

 

 本当に支援系の才能は祐理に劣らないだろう。

 

 優しい性格が原因かは分からないが、攻撃系は全然のようだ。

 それが彼女の才能……持ち味なのだろう。ならば、その持ち味を昇華できる様に教えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「祐理?それって権能があるからじゃないのかにゃ?」

 

「違う様ですよ……摩桜さんは、権能を使う時は聖句を唱えますけど、魔術は無詠唱で行使するぐらいの才能……天才と呼ばれるほどの才と力量があって、しかも魔術は全部独学で修得したみたいなんです」

 

「ええ……。存在が既に規格外なのに、魔術に対しても規格外だったのかにゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……おっと?

 

 どっかで俺の噂を言った奴がいるな。ドニが戦いたいとでも言ったのか?彼奴は戦う為なら何だってするからなぁ……善い事だろうと、悪い事だろうと……。

 

 

 

 

 

 複数あった堕天使の気配が消滅したみたいだ……。

 

 

 権能を掌握するために日常でも使ってる『幻獣創造』で呼び出した不死の鷲エトンが報せてくれた。不死と言っても身体をバラバラにされたり身体を消滅されたらダメなんだけど。翼だけなら直ぐに再生するしカンピオーネの様に魔術の耐性が高いから特攻か偵察か護衛用の幻獣だ。

 

 

 この町の領主らしいリアス・グレモリーが漸く動いたようだ。しかし意外と遅い対応だな……。敵なんだからとりあえず倒すぐらいはしておけばいいのに……自分の領地(仮)なんだから侵入者として処理しても文句なんて言われないと思う。独断の行動なら悪魔と堕天使の戦争にはならないだろ、たぶん。

 人間に寄生してないと種族の繁栄が出来ないのに争う暇があるのか?人間界で争うなら俺が出ないと行けないだろう。人間代表としてな……。冥界で争うならどうぞ好き勝手にやってくれ。

 本来なら冥界にいて当然なのにな……何で人間界に居るんだろう?

 

 他の神話体系は自分たちの領域に籠っているのに何で聖書の三勢力は人間界に居るんだろうか……。冥界より人間界が好き、とか種族を越えた恋愛だの結婚して移り住むならまだ分かる。

 やっぱり、悪魔の駒が原因かなぁ。蘇るのは凄いと思うけど、黒歌の話だと無理矢理だったり殺した後に眷属にしたり。歯向かったらはぐれ悪魔にされて殺される。

 

 そろそろ他の神話体系から喧嘩売られるだろ……。

 

 戦いになったらとりあえず、各神話体系の軍神が出てくるハズだ。

 日本神話の須佐之男、武御雷、建御名方。インド神話ならシヴァ、インドラ、カーリー辺りか?ゾロアスターならヤザタ…つまりアータルやウルスラグナ等が。ギリシャ神話ならゼウス、ポセイドン、アーレス。北欧ならオーディン、トール、ヌアザは出るだろう。斉天大聖も出るよなきっと……。

 

 戦争とかになったら今の所助けるなら黒歌の妹だけ。それ以外はどうでもいい。

 

 

 

 

 

 

 

 アーシアは学校に行った事が無いらしいので編入できる様にしてもらった。教員の中に日本神話所属の退魔師が居たのでお願いした。

 

 まあ、居るよね普通。

 

 リアス・グレモリーに領地としての許可をした覚えがないのだが……前任者のクレーリア・ベリアルには許可していたらしい。

 

 態々自分たちに許可を求めてきたらしい。駒王町の土地神が何処かに行ってしまったらしく、繋ぎとして許可したらしい。

 

 そして、何故かクレーリア・ベリアルが死んでしまったらしい、眷属も一緒に……。

 

 退魔師の家系を派遣していたらしいが内輪揉めに巻き込まれてしまい居なくなってしまい、フリーの退魔師を派遣していたらいつの間にか──二年前に──グレモリーの領地にされていたらしい。

 

 前任者は悪魔でありながら人格者で誠意を持って許可を求めてきたのにリアス・グレモリーは許可をもらいに来たことがない、と天照は愚痴ってた。

 

 

 俺から言わせればどっちもどっちなんだけどな……。

 

 前任者が死んだ時点で暇してる神を派遣すればいいのに……。

 

 グレモリーもグレモリーだ。前任者の悪魔が居たから悪魔の領地ではない、ここは日本だ。日本の土地は、日本神話の土地だ。断じて、悪魔の土地じゃあない。

 

 

 

 

 

 

 投げ出すつもりはないが……。

 非常に面倒臭い問題ばかりで嫌になる。

 

 一度戻って、ドニと殺し合おうかな……ストレス発散に……。

 

 

 

 祐理と一緒にアーシアを連れて学園に向かう。今日からアーシアが高校デビューする。クラスは一緒にしてもらった。因みに祐理とアーシアは従姉妹である設定だ。それが無難だと思ったからだ。

 

 

 

 学園に着いたら悪魔の気配が増えていた。

 

 どういう事だろうか?

 

 

 幻獣(エトン)を出して置きたいが人が多い今は保留だ。怪しまれない幻獣が少ないからな……大きさは変えれるけど姿は変えれない。イヤ、出来るハズだが幻獣たちが許可しないだろう。強いけど意志があるから強要出来ない、したら絶対反発するから。

 

 

 

 アーシアの自己紹介が終わったらクラスの男どもから嫉妬の念が漂っていた。アーシア用の(まじな)い掛けなきゃ。

 

 

 

『(やっぱり、過保護だろ。相棒)』

 

「(アーシアは人が良すぎるんだよ。それがアーシアの良い所だが、良すぎたせいで悪魔の罠に嵌まっちまったんだよ)」

 

『(お、相棒もそう思うか?)』

 

「(当たり前だっての。何で好き好んで敵が居る教会に傷付いた悪魔が来るんだよ。明らかに罠だろ…アーシアを狙った…な。きっと罠に嵌めた悪魔は、頭が逝かれた下種野郎だ。見つけたらプロメテウスと同じ刑にしてやる)」

 

『(あ~、それってつまり、磔にして腹を鷲に啄まさせるって事か?)』

 

「(ああ、そうだよ。エトンはプロメテウスの腹啄んだ鷲だから丁度いい。お、磔に使う十字架は祝福儀礼済みのにするか、悪魔にとっちゃあ苦痛でしかねぇだろうな)」

 

『(クククッ、愉しそうだな相棒。なぁ、だったら十字架に磔てオレかアータルの炎で焼くのはどうだ?良い声で鳴くと思うぜ?)』

 

「(モルスだって愉しそうじゃねぇか。アーシアが気に入ったか?)」

 

『(祐理とアーシア二人とも、だな。あの二人は、聖女の素質を持った女だ。雄の(ドラゴン)は、心が綺麗な女が好きなのが多いってのもあるが、邪龍のオレ様との会話を臆さなかったのもポイントが高い)』

 

 

 あの二人はどうやら龍に好かれやすい様だな。

 

 さぁーってと、龍の逆鱗に触れるのはどんな奴かな?

 

 飛びっきりの下種野郎なら殺りがいがあるってモンなんだがなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 増えた悪魔はどうやら善人にしてやった堕天使のレイナントカだった様だ。

 

 

 アーシアが驚いて堕天使の名前を言ってしまった。

 

 元堕天使の隣に居た変態三人組の兵藤だっけ?に聞かれてしまった。

 

 

 モルスが言うには、二天龍の片割れである赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)、赤龍帝ドライグの神器を持っているらしい。

 

 

 黒歌の情報では、十三種類の神滅具(ロンギヌス)と呼ばれる、極めれば神を殺せる(・・・・・)かもしれない(・・・・・・)神器の一つに赤龍帝ドライグの神器〈赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)〉があるとの事。

 

 

 神を滅する道具……ねぇ……。

 

 御大層な名前を付けたもんだな。

 

 俺から言わせれば…かもしれない程度で神滅具だぁ?

 

 

 ちゃんと殺してもいないのに道具に神を殺すなんて謳い文句付けんな。付けるならちゃんと殺してから付けるべきだ。

 

 道具…神器に付けるより扱う奴が凄いと思うのだが……違うのかねぇ?

 どんな能力を持っていようが上手く扱える方が俺は凄いと思う。

 

 

 

 

 放課後にイケメンの木場だっけ?が来た。

 

 

「アーシア・アルジェントさんは居るかい?」

 

「私が、アーシアですけど……」

 

「グレモリー先輩の遣いで来たんだ。旧校舎のオカルト研究部まで付いてきて───」

 

「アーシア、買い物行くから帰るぞぉ」

 

 

 イケメンの言葉を遮ってアーシアを呼ぶ。

 

 

「───欲しいんだけど……」

 

「悪いなイケメン。用事があるなら用事がある本人が直接来いって言っておけ」

 

「え、あの、すみません!」

 

 

 

 

 

 買い物行く途中からつけられている。おそらく使い魔で監視しているのだろう。

 拒否した事による処置か?グレモリー先輩はプライドが高い様だ。

 

 エトンに監視している使い魔を攻撃させてもいいけど、話が拗れそうだから撒くか。

 

 

「偽りの雲よ、立ち篭めろ。我が望む偶像を魅せ給え。我が望む景色を魅せ給え。世界を、万人を欺き給え」

 

 

 アンダルの権能を発動させ使い魔の目に映るものを偽る。使い魔の目には自然に道を歩いているように見えているだろう。時々曲がったりして同じ場所を回るようにしておいて、俺らが家に着くまで動かしておく。家に着いたら自然な感じで消滅させる様にする。

 

 

 

 

 

 

「さてと、明日絶対グレモリーが来るからどうすっかね?」

 

「とりあえず、日本神話所属なのは言うべきかと……」

 

「そうだな……ああ、二人とも、俺が神殺しだって事とアジ・ダハーカの魂を持ってるのは秘密だぞぉ。俺は魔術師……呪術師で通すからな」

 

「分かりました」

 

「は、はい……」

 

 

 

 明日、悪魔はどう来るかなぁ。

 

 


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