悪神殺しはD×Dの世界へ   作:ヴォルト

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九話

 

 

 悪魔との対話が拗れたらどうしようか……。

 

 

 戦闘になったらネメアだけでいいか?ああ、でもネメアって物理耐性凄いけど魔術耐性が意外と低いんだったな。

 

 物理耐性をモノともせずに羅濠のババアに撲殺されたけど……。

 

 

 カルキノスか?物理と魔術の耐性は高いけど動きが遅い。

 動きが遅いせいで、ドニに関節を切られて動けなくなった。ドニの魔剣は治癒を阻害するから再生出来ない。ヒュドラもでっかくなった魔剣に首を斬られてしまいアウト。

 

 

 

 金羊毛の番竜(コルキオン)とラードーンとデルピュネーは、拠点防衛用の幻獣だし……。

 

 

 

 

 無難なのはスピンクスか……。

 

 耐性もあるし、知能が高くて空も飛べる。戦いになったらスピンクスでいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の放課後。

 

 

 

 リアス・グレモリーとその眷属がいるのは分かるが、何で生徒会長までいるんだよ……。悪魔だって知ってたけどさ。

 

 

 

「さぁ、言われた通り此方から来て上げたわよ」

 

 

 ……上から目線だなぁ。

 

 悪魔って自尊心だけは高そうだ。実力が伴っているなら別段言う事はないのだが……。

 

 そういえば、悪魔って貴族社会だっけ?ああ、弱かろうが家柄だけでふんぞり返る奴がいそうだ。

 

 

「ああ、そうですか」

 

 

 ────パチンッ。

 

 

 指を鳴らして俺ら三人と悪魔の周りを結界で囲む。効果は人払いと認識阻害と防音だ。指を鳴らさなくても他の動作でも出来るが、演出は大事だ。

 

 

「結界!?今の一瞬で、ですか……」

 

 

 生徒会長が冷静に分析しているが、こんな簡単な結界で驚かないで欲しいな。付与した効果は最低限のものだし、強度はほとんどないに等しい。

 

 

「面倒なのでとっとと自己紹介しますね。俺は、日本神話の食客呪術師をしている鬼崎摩桜だ」

 

 

「私は、日本神話所属の媛巫女をしています。万里谷祐理と申します。現在は、摩桜さんとペアを組んで仕事をしています」

 

 

「私は、教会でシスターをしていました。アーシア・アルジェントです。今は、日本神話所属の巫女見習いで、摩桜さんと祐理さんの元で生活しています」

 

 

 

 祐理とアーシアの立場は、天照に認可されている本物である。

 

 

「日本神話の人間が何で此処に居るのよ!?」

 

「何でって此処は、日本神話の土地だぞ?日本神話所属の人間が居ても普通の事だろ」

 

「此処はグレモリーの領地よ。日本神話の土地じゃないわ」

 

「はぁ……まあ、分かってはいたがな。悪いけど前任者が居たからとか言うなよ?アンタの前任者であるクレーリア・ベリアルは、日本神話から駒王町をお金で借りていたんだ。前任者のベリアルが死んだ時点で駒王町は日本神話の土地に戻っている。つまり、アンタは日本神話の許可を得ず、勝手に駒王町を領地と言っているんだぞ」

 

 

 そこまで言うと悪魔の顔がどんどん悪くなっている。

 

 

「う、嘘よ!?そんな話聞いてないわよ!」

 

「残念だが、日本神話の主神である天照から言われてるから本当だぞぉ。天照の手元にベリアルとの契約書有ったからな。あ、今更だけど天照に電話するか?ちゃんと金払うならそのまま領地にしていいって言ってたがどうする?」

 

 

 考えてるな……。前任者が死んだ時点で駒王町は日本神話の土地になっているのをずっと悪魔の領地だって言ってるから凄いと言える程代金が溜まっている。

 グレモリーは一応学生だから親に相談するだろうな。

 

 

「一度、両親と話をさせてくれるかしら……」

 

「構いませんよ。グレモリー先輩は、一応学生で未成年ですからね」

 

 

 悪魔の寿命とか年齢とかは知らんが、学生しているんだから未成年って事だろうな。

 

 

「失礼ですが、何で日本神話はそんな大事な事を言わなかったのですか?」

 

 

 生徒会長の支取蒼那からの質問か……。

 

 天照に俺もその疑問をぶつけた。そして、返ってきた答えは……。

 

 

「ああ、その疑問は俺も直接天照に訊いた。どうやらグレモリーが超越者と呼ばれる魔王の妹だったからだそうだ。下手に動けば戦争になるし、現在の日本神話は、アンタらが野放しにしているはぐれ悪魔の対応に追われているのも原因の一つだ」

 

「野放しになんてしてないわよ!」

 

「そうか?そう言うけどこの町にもはぐれ悪魔が隠れてたぞ。しかも、犠牲者が出ていた」

 

 

 唇を噛んでるな。領地と言っているのに、野放しにしてないって言ったのに、はぐれ悪魔が隠れてたからプライドが傷付いたか?

 

 

「領地と言うぐらいならちゃんとやってくれないと困るのはそこに住む無辜の民だ。出来ないなら領地と言わない方がいい。まあ、ほったらかしにしていた日本神話も悪いがな……」

 

 

 貴族社会って面倒しかなさそうだなぁ。体裁とか評価を気にしてんのかね。

 

 

 まあ、他人よりも自分が大事なのは、普通だ。俺だってそうだから。

 

 心にもない事を言ってる自覚はある。

 

 俺もドニの様に君臨すれど統治せずだったし、草薙がカンピオーネになってからは丸投げしていたからどの口が言うかって甘粕に言われそう。

 

 

 

「おい!部長が悪いみたいに言うのやめろ!」

 

 

 兵藤か……変態って言われてるのに熱血なのか、自分の正義を疑わない奴か……?偽善者……だな。自分が悪い事をしてる迷惑野郎って自覚がなさそうだな。

 

 

 カンピオーネたる俺に言うのは間違ってる。俺は自覚がある迷惑野郎だ。草薙は一緒にするなって言ってたがブーメラン過ぎて笑った。他の奴らは苦笑いだった。

 

 

「ん?全部悪いとは言っとらんだろ。ほったらかしにしていた日本神話も悪いって言ったろ?」

 

「言ってないかもしれないけど。お前の言い方はそう聞こえるんだよ!」

 

「……そうか。それは悪かったな……」

 

「悪かったなんて思ってないだろ!ちゃんと謝れ!」

 

 

 あっちゃー、バレたかー。

 

 それにしても、ちゃんと謝れ……か。それがブーメランだって事を分かっているのかねぇ?いや、分かってないから言ってんのか。

 

 女生徒に対して、ちゃんとお前は謝ってんのか?

 

 このままだと兵藤の言い方で話が拗れそうだから終わらせよう。俺がイライラして手を挙げない為にも。

 

 

「リアス・グレモリー、親との相談が済み次第、自分に声を掛けて下さいよ。日本神話の主神天照に連絡しますので」

 

「ええ、分かったわ。…感謝するわ」

 

「この程度で感謝する必要はないですよ。それでは今日の所はこの辺で……」

 

 

 ────パチンッ。

 

 結界を壊して元に戻す。

 

 

「ウチの猫が腹を空かせていると思うので失礼しますね」

 

 

 お開きとなったけど少し失敗したな。

 

 あの白髪の娘、黒歌の妹である塔城小猫(白音)が何かを確信したかの様に、じっとこっちを視ていた。後、鼻を少しヒクヒクさせていたから黒歌の匂いを嗅がれた可能性があるかも。

 

 

 

「摩桜さん、よく我慢出来ましたね」

 

「祐理さん、どういう事ですか?」

 

「先程の兵藤さんの言動に対して、摩桜さんが少し苛ついていたのが分かっていましたので」

 

「スゴいです、祐理さん!私もそれぐらい分かるようになるでしょうか?」

 

「一緒に暮らしていれば自然と分かる様になりますよ。本来なら火か雷が飛んでてもおかしくありませんからね」

 

 

 そういえば、祐理って俺が神殺しになって三年目の時から学校とか神事以外は家に居たっけ……。たまに転移による日帰り旅行にも一緒に行ったりしたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───そんな訳で悪い(わりぃー)な黒歌。お前の妹にお前と接触してるってバレたかもしれん」

 

「何がそんな訳にゃ!いつもの警戒心は何処行ったにゃ!うぅ~、白音に会いたいけど、依然としてはぐれのままだから色々面倒事が起きるにゃ~……」

 

 

 葛藤で身体が捻れてる。そこまで捻れるか……あ、ちょい待て、和服がはだけて胸が見えるって……。

 

 

 

 

 

─────ゾクッ!

 

 

 

 ヤバイ。この感覚はいつものアレだ。

 

 身体が戦闘体勢に移行する感覚。日本神話の神と会う時もこれでちょいと苦労したが仕方ないそういう身体だからな!

 

 いかんいかん、口角が上がってるのが分かる。

 

 

「摩桜さん、どうしました!?」

 

「ちょっと何で嗤って…まさか、神が来たかにゃ!?」

 

 

 得体の知れない力の塊がマンションの頭上に現れやがった。

 

 アーシアと黒歌の二人は俺の異変に気付いたみたいだ。祐理の方は……丁度霊視している。

 

 

 

「死と再生…円環…身喰らう蛇……無限……、摩桜さん!?」

 

「わぁーってるよ。今の霊視で大体分かったからな。……我は全てに死を与えるモノなり。モルス」

 

 

 聖句の一部分だけ唱えてモルスを呼び出す。

 

 

「相棒、相手は祐理の霊視通りの奴だ。しっかし、よく此処が分かったな……遮断した上で気配とか違和感が無い様に相棒と一緒に作り上げた結界のハズなんだがな。流石は『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィスだ」

 

 

 この世界でのツートップの片割れ。

 

 無限を司る龍神か……。頭の中がどう倒そうかと動いてる。最悪、毒を使えば良いがつまらない事はしたくはない。

 

 

「ちょちょ、ちょっと待つにゃ!オーフィスってあのオーフィス?!今近くにいるのかにゃ!」

 

「マンションの真上でスタンバってるぞ?そろそろ行かんと向こうから来そうだから俺、行くから」

 

 

 

 

 転移でマンションの屋上に到着。

 

 力とか隠してるのに伝わるこの気配。

 

 龍のオーラの方が強く微かだが確かに感じる神気。

 

 姿は、あのアテナよりも幼い容姿をした痴女なロリが無限の龍神オーフィスか……。

 

 

 ……あの服装はふざけてんのか?ゴスロリなのに前が無くて乳首の所にバッテンのテープ貼った感じなんだよ。

 

 

「色々考えてる所悪いが相棒。オーフィスには決まった姿が無いんだよ。封印される前に会った時はジジイの姿だったからな」

 

「マジかよ、相棒」

 

 

「その声、アジ・ダハーカ?何で人間の中にいる?」

 

 

 感情がイマイチ分からん表情で問い掛ける無限の龍神とのファーストコンタクトである。

 

 

 


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