悪神殺しはD×Dの世界へ   作:ヴォルト

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十五話

 

 

「……ちょっと待って!何で小猫がそんな事を知ってるのよ!?」

 

 

 グレモリーが当たり前すぎる疑問を口にする。

 

 みんな突っ込まなかった事を敢えて言ってくれたな、リアクション芸人に転職する事をオススメする。

 

 

 

「この前集まった時に、小猫の姉である黒歌と会ってる事を小猫にバレてなぁ、そのついでに色々教えたんだよ。昨日、コカビエルと戦ってた黒の和服着た猫耳と尻尾生やしたのが黒歌だ」

 

 

「何故、あの場にはぐれ悪魔である黒歌が居たのか、お訊きしてもいいでしょうか……」

 

 

「それも昨日、生徒会長には言ったでしょ?小猫を守る為だって……ていうか、黒歌がどうしてはぐれ悪魔になったか本当の理由知ってんのか?……いや、知らねぇから聞くんだよな……」

 

 

「仙術の暴走で王を殺したのではないのですか?私が聞いたのはそういう理由でしたが……」

 

 

「私もそういう理由としか聞かされていないわ……」

 

 

 詳しく調べないのか、それとも調べさせないのか。悪魔が腐ってるのは確定的だ……この場にいる比較的マシなのは少数なんだろうな……。

 

 魔王は代替りしているのに意識改革とかしないのかねぇ。やりたいのかやりたくないのか、どっちかな……。

 

 

「俺は、黒歌の記憶を読んだから全部知っているから。後、小猫も知ってるからな。真実を言っても良いが、悪魔にとっちゃ知られたくない闇その物だ。腐った上層部…確か大王派だったか?そいつらに目ぇつけられるだろうよ、最悪口封じされるかもな。それでもいいなら教えてやるよ」

 

 

 グレモリー、シトリー、フェニックス、それぞれが険しい顔をしている。理由教えたら悪魔の腐った部分を知る事になるから、反応を見るのも面白そうだ。

 

 

 

 

「鬼崎君、訊きたい事があるんだけどいいかい?」

 

 

 木場からの質問か……憑きもんが取れた感じだな。

 

 

「良いぜ、木場。聖と魔の融合なんていう、おもしれぇ物見せてくれたからな。俺が答えられるモンなら構わねぇよ」

 

「あはは…ありがとう。さっそくだけど、鬼崎君が神殺しなら神を殺している。その殺した神の事を訊いてもいいかな?」

 

「それぐらいなら大丈夫だ。名前を教えたぐらいで対処なんて出来ないからな」

 

 

 まあ、名前からの連想で分かるのもあるけど……。

 

 …………そういえば、草薙って何で神の事を調べようとしないんだ?知っておけば直ぐに『戦士』が使えて手札が増えるのに……毎度毎度キスしてるが、アレがしたいから調べようとしないのか?事実だったら、呆れを越して感心するよ、ホント………。

 

 

「先ずは、ゾロアスターの善神アータルと悪神アジ・ダハーカと悪神アンダル。聖書からはサマエルとレヴィアタン。ギリシャ神話はテュポーン。ゴエティアの魔神フェネクス。……以上が、俺が殺してその権能を奪ったまつろわぬ神だ」

 

 

「フェネクスって……私とお兄様の事……ですわね……彼方の世界では魔神なんですか?」

 

 

「ああ、そういえば、あんたはフェニックスだったな。魔神と言えるだろうなぁ。ま、あんたの様な可愛いフェニックスじゃなかったがな。いやぁ、フェネクスを殺すのにホントに苦労したよ。絶対致命傷だろって攻撃しても不死と再生の象徴なだけあって、直ぐに再生しちまう。奥の手を使って漸く不死と再生を放棄させて、やっと殺せたんだよ。……そういや祐理、その時俺って何か壊したっけ?」

 

 

「(今、自然に口説きましたね)………私の記憶が正しければ、ピラミッドの一つの四分の一が溶解した、と思うのですが……」

 

 

 溶解……そういえば、サマエルの毒を当てる為に大量にぶん投げてたな、結界すら溶かすから危険なんだよサマエルの毒って……。血を使うから貧血になりかけたな……。

 

 後、何でジト目なんだ?カンピオーネの破壊活動は付き物だろ?

 

 

「まつろわぬ神、というのは……」

 

「語られる神話に背いてあっちこっちで災厄を振り撒く神々の事だ。神話で語られる神王や伝承の英雄、天使や怪物なんかもひっくるめて、まつろわぬ神と呼んでる。そんで、その自然災害とも言える傍迷惑な存在を殺しちゃった人間の事を神殺し、カンピオーネって言うんだよ」

 

「なんかスゲー軽く言ってるけど、神ってそんな軽く殺せるモノなのか?」

 

「アッハハハ、ムリムリ。蟻一匹が竜を殺すような偉業だぞ?俺が最初に神殺しした時なんて右半身が炭化したし、その後も何度も死にかけたし、フェネクス殺して不死になった後は、身体ばらばらにされたり、全身の骨を粉砕されたり………」

 

 

 ……なんだろうなぁ。口に出すと、死んだ方が楽な感じがする。

 

 

「神殺しの方々は、その特異性故に物を壊そうが、人を殺めようが罪に問われません」

 

 

「ど、どうして……」

 

 

「ただの人では、抗えないのと殺せないからです。摩桜さんも入れて八人のカンピオーネがいますが全員が国を、世界を滅ぼす程の力を有しています。そんな人たちの逆鱗に触れたくないのと、まつろわぬ神という天災を倒せるのは原則カンピオーネのみである為、まつろわぬ神が現れたら人類代表として戦うこと……その義務さえ守ってくれたらそれで良い、という暗黙の了解があります」

 

 

「何か……魔王みたいだな……」

 

 

「実際にカンピオーネの方々を魔王と呼んだりしてますよ。神と戦うのは良いのですが、神を殺すためなら周りの被害を考えないので、カンピオーネの皆さんを歩く天災、理不尽の塊が服を着て歩いている、と認知されていますから」

 

 

 

 歩く天災って………いや…まあ、事実だから何も言えないわなぁ。

 

 

 気晴らしに行った姫路城でまつろわぬ刑部姫と出会して、姫路城を半壊させたっけ……。でも、あれって刑部姫の攻撃避けたら城に当たったから厳密に言えば俺のせいではない、ちゃんと結界を張っていたけど………そんな所で戦うな?…無茶言うな。

 

 テュポーンの時はカシオス山を崩しかけたな……地面に結界は効果薄いから。

 

 

 

「呼び方の大体は、権能の力からとった二つ名や通り名で呼んでいます。因みに、摩桜さんは『魔術師の王(ロード・オブ・メイガス)』や『魔導王』、『悪神殺し(イヴィルゴッド・スレイヤー)』、『龍魔王(ドラゴニック・デーモン)』などと呼ばれています」

 

 

 

 

「…………中二病…………」

 

 

「ゴフッ……!?」

 

「マオさん!?」

 

 

 

 小猫の放った何気無い言葉という名のボディーブローが俺の胃に炸裂した。

 

 

 スマナイ、小猫……。中二病という言葉(それ)は俺に効くんだ………。

 

 俺は、中二病患者じゃねぇ!

 

 甘粕が三徹した頭でノリと勢いで報告書に書いた物が、グリニッジ賢人議会の奴等が読んでからそう呼ばれるようになったんだ。

 

 断じて俺から言ったモンじゃねぇ!

 甘粕の自腹で回らない寿司を食べさせてもらったがな。

 

 

 魔王ロールした事は何回かあるさ。上のジジイどもを脅した時とか、脅す時とか、脅迫する時とか………あ、脅すも脅迫も一緒か……。

 

 相手を脅迫する時しか魔王ロールしてないな……。

 

 

「『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』!………は、効かないんでしたぁ……」

 

 

「神器が効かないのですか?」

 

「神器が、と言うより異能の力が、効かないんだよ。良いも悪いも含めてな。呪力……ああ、悪魔の魔力も俺には効かないから殺したかったから物理しか効かないからそのつもりで」

 

 

「か、完全に悪魔殺しな身体ですわね……」

 

 

 確かに悪魔殺しの体質とも言えるな……悪魔はどうやら魔力だよりの様だし物理系は少数だろう。

 

 

「つまり、そこにいるフェニックスと一緒って考えてもらって結構だ。悪魔じゃないから聖水とかは効かないがな……」

 

「い、一緒……」

 

 

 何で顔を赤くしてんだ?おかしな事なんざぁ、一言も言ってないハズなんだが………言ってないよな……。

 

 

「……疑問というか、聴いてて思ったことなんだけど……」

 

 

 次は、兵藤からか……。

 

 

「おう、答えられるモンなら答えてやるよ」

 

「何で神を殺そうとしたんだ?自然災害な奴等なら逃げるだろ普通は……それに鬼崎の他にも神殺しがいたんだろ?そいつらに任せれば良いんじゃないかって思ったんだけど……」

 

 

「ま、普通は逃げるだろうさ。……全員に訊くが、お前らは蟻を気にして常に歩いているか?歩かねぇだろ。たまに下向いた時に視界に入れるぐらいだろ?まつろわぬ神にとって同じ神かカンピオーネ以外は、等しく蟻なんだよ。視界に入れないんだよ、入れてもそれは単なる気紛れだ。死にたくなかったけど、それ以上にムカついたんだよ。直ぐ側にいるのに気にせず暴れる奴等を視たら身体が勝手に動いたって感じだ」

 

 

「たったそれだけの理由で……?」

 

 

「俺にとっては、そんだけで十分なんだよ。他の神殺しも大差無いと思うぞ?」

 

 

 

 そろそろ時間だから締めに一応言っておくか。

 

 

「一応言っておくが俺は、今の聖書の三勢力を信用していない。お前たちは、それだけの事をしているからだ。俺の身内に手を出せば、冥界だろうと天界だろうと他の神話群だろうと俺の全てを使って滅ぼす。……お前らはこの世界に来たのが、俺である事に感謝しろよ?他の神殺しは、問答無用で殺しに来るからな……割りとマジで……」

 

 

 ヴォバンのじいさん、姐御、ドニは当然として、スミスと草薙は理由が出来たらやるだろうな……正義感強いから。

 黒王子とアイーシャは、分からん。邪魔したら戦うだろうな、きっと。

 

 

 祐理が苦笑いしてるから、祐理もそう考えているだろう。

 

 

「日が沈むからそろそろ帰らせてもらうぞ。ああ、最後に一つ、俺は何処かの勢力に付く気はない。魔王どもに言っときな、此処は人間が住む人間の世界だ。テメェ等が我が物顔で踏み荒らす権利なぞ有りはしない。次、人間の世界で聖書勢力の争いが有ったら神獣を冥界と天界に放ってやる。それが嫌なら他の神話体系の様に自分等の領域に引っ込め。これは人類代表をしている神殺しの魔王からの忠告だと伝えな。そんじゃあ今日はこの辺で……」

 

 

 何か言いたそうなのが居たが、無視して転移して帰る。

 

 部屋に入ると……怠け者が三人に増えていた。

 

 


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