悪神殺しはD×Dの世界へ   作:ヴォルト

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二十話

 

 

 スッゲェ~……マジで時間が止まってるな。規模と範囲がデカイな、この学園全体か……クロノスかカイロスでも来たのか?でも身体が反応してないから魔術師による時止めの禁術か?でも止められる時間なんて凡人魔術師百人くらい居て精々十秒から六十秒くらいのハズ……もしかして神器の能力か?何でもアリだな~。

 

 

 一部分の時止めって代償あるよな普通……龍脈とか止まってないよな?ダムみたいになって下手したら土地が死なねぇか、コレ……此所って土地神が居ないから多分……。

 

 

 

 

「摩桜くん……私とゼノヴィアにも結界掛けて欲しかったな~なんて……」

 

「……ん?ああ、危機管理能力のテストみたいな物だと思え。わざとらしく修行の時に殺気とか出してたからそれぐらいは反応できる様になっただろ?一瞬で武器を持つぐらいはやって欲しかったからな。二人とも武器出して動けてるからホンの少しだけ強くなってるって事だ」

 

「ハハハ…あんな修行をしていたら嫌でも身に付くさ……」

 

 

 イリナとゼノヴィアの眼から光りが消えて、遠くを見ている。

 

 死ぬ一歩手前の攻撃をしてるからトラウマになっちまったか?強くなればもう少し余裕が持てるだろうけど……後、一ヶ月以上は掛かるだろうな。

 

 

 

「それぞれのトップとヴァーリとガブリエルとサーゼクスの女王、神殺しとそのお付き、聖魔剣使いだけしか動ける者がいないって事はこいつはハーフ吸血鬼の『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』を強制的に暴走させたって所か……」

 

 

 アザゼルの考察が耳に入る。

 

 ハーフ吸血鬼?そんな奴居たのか?

 

 

「なあ、そのハーフ吸血鬼ってのは?」

 

「ギャスパー・ヴラディくんと言って、リアスの眷属の一人なんだけど……恐らく旧校舎の方を襲撃され捕まってしまったんだろうね、この場に居ない塔城小猫くんも多分一緒に捕まっている筈……」

 

 

 小猫が居ないのはその吸血鬼と留守番してたからか……仕方ないから黒歌に行ってもらうか。

 

 

「(黒歌、今から旧校舎に転移させるから小猫を助けに行ってこい)」

 

「(ありがと、摩桜。直ぐに助けてくるにゃ)」

 

 

 念話で会話して旧校舎に転移させる。俺から離れたから隠形は消えたが黒歌の仙術なら大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

「摩桜さん、このまま待機ですか?」

 

「ああ、今旧校舎に黒歌を送ったからその内時止めは消えるだろうから蹂躙の準備だけはしておくがな」

 

 

「おい、神殺し。今、黒歌を旧校舎に送ったって言ったか……?」

 

「言ったがそれが?黒歌ならずっと猫の状態で俺の肩に乗ってたよ。まあ、隠形で隠したけど……」

 

「この近さでも気付けない隠形とは……レベルが違い過ぎますね」 

 

 

「そりゃあ、あれだ。俺は神殺しであると同時に魔術師でもあるんだよ。このぐらい出来てもまつろわぬ神と同族は普通に破って来るからメンドイんだよなぁ……」

 

 

 ため息を吐きながら聖句を唱える。

 

 

 

「耳を傾け我が言霊を聞け、神を畏れさせる怪物の血を継ぐ怪物共よ。我が力喰らいて今一度常世にその姿を顕し全てを蹂躙し尽くせ…デルピュネー(コーリュキオンの番人)スキュラ(美しき女怪物)コルキオン(金羊毛の番竜)ラードーン(黄金林檎の守護竜)

 

 

 

 聖句を唱え幻獣たちを呼び出す。

 

 

 最初に顕れるのはデルピュネー。下半身がドラゴンの半竜半人で頭が少し緩い……要はバカであるが戦う時は本能で戦うから問題はそこまで無いが、難しい命令が出来ないのが難点だ。……いつも何故かタンクトップとホットパンツの姿で顕れる。まあ、真っ裸よりかはマシだから良いんだけど……。

 

 

 

 次は、スキュラ。下半身が魚って言うか蛇で普段は隠しているが、腹の部分から犬の首が六個飛び出す。後、攻撃方法が剣である。……コイツは何故かポニーテールでビキニ着けてやって来る。ホンの少しだけ聖ラファエロに剣術を教えてもらった影響かもしれない。今思ったがスキュラをゼノヴィアとイリナの修行相手にすれば良いじゃねぇか。

 

 

 

 金羊毛の番竜としか名前がなかったのでコルキオンと名付けた。眠らないドラゴンのハズなのに、魔術で眠らされて金羊毛を盗られてあまり活躍してない奴だ。まあ、今は神獣だから呪詛系が効かないのでネメアとカルキノスと同じく盾要員でもある。

 

 

 

 ラストは、ラードーン。頭が百ある大蛇で敵が多い時なんかには重宝している。頭全部から吐き出される炎の範囲の広さは遠い目をしたくなる程圧巻だ。

 

 

 

 

 

 

 あれ?何かラードーンがおかしい。

 

 呪力は一%で呼び出したから小さいのだが……。

 

 色は同じ茶色だが赤い双眸で………何で枯れ木みたいな身体(・・・・・・・・・)をしているんだ?

 

 

 ………まさか、もしかして…コイツ。

 

 

 

『(おいおい、スゲェーな相棒の権能はよぉ。まさか、オレと同じ様に滅んで魂だけのハズのラードゥンを呼んじまうなんてな!)』

 

 

 

 

 アジ・ダハーカ(モルス)の声を聞いて理解した。

 

 

 

 俺が呼んだラードーンは、この世界のラードーンである邪龍の一体『宝樹の護封龍(インソムニアック・ドラゴン)』ラードゥンであると………。

 

 

 メンドイな~……アジ・ダハーカの話を聞く限りだと邪龍って自分勝手を貫く奴で命令を聞くような存在じゃあねぇんだよな……。ああ、カンピオーネの俺にとっちゃブーメランだな。

 

 

 

 

 ま、いいか。

 

 そもそも今の体は、俺の呪力で創られたモンだし。

 

 

 

 それに木ならアータルの白炎で燃やして消すか、ヒュドラ呼んで同じ死に方をさせるか、サマエルの毒で確実に殺れば良いな。呪力も渡さなければ言い訳だし。

 

 

 

 うん、なんとかなるだろ。

 

 

 

 

「フム、(ヒュドラ)の毒で死んだハズの私が何故、意識と身体を持っているのしょうか?」

 

「エー!まさかコイツ、ラードーン!?アッハハハ、面白ーい!!枯れ木みたーい!」

 

「ええ、本当に……。頭の多さとコルキオンと同じ様に眠らないのが売りで少し引っ込み思案な性格の()ですからね、ラードーン(あの子)は……」

 

「グルゥ、グルルゥ……(そういえば、アイツってそんなだったな……)」

 

 

 

 自分の状態を確認しているラードーン。

 

 その身体を見て面白がる天真爛漫な感じのデルピュネー。

 

 淑女なお姉さんな感じで剣を回しているスキュラ。

 

 スキュラの言葉に相づちを打つコルキオン。俺はキュベレーの権能があるから言っている事は、把握している。

 

 

 

 トップ共が警戒しながら遠い目をしているな……ああ、滅んだハズのラードーンを一時的に蘇らしたからか。

 

 

 

 コレは、俺も予想していなかったから知らねぇよ。

 

 

 

 後、そこの戦闘狂はギラギラした眼と上がりまくった口角でこっち見んな。幻獣たちでコロコロさせるぞ。

 

 

 


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