悪神殺しはD×Dの世界へ   作:ヴォルト

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二十五話

 

 

 

「やっぱり摩桜って節操ないにゃー」

 

「言っておくが、俺は狙った事なんて一度もないからな……」

 

 

 レイヴェルを連れて部屋に帰ったら黒歌に節操がないって言われた。

 

 

「え~、本当にぃ~。祐理、実際どうだったかにゃ?」

 

 

 そもそも俺って人との接触を最低限にしていたはず………甘粕を窓口にして、巫女や魔女や魔術師、テンプル騎士…裏の関係者位しか会ってない。

 

 

 中学、高校の同級生とはカンピオーネに成ってからは一度も会ってないし、仲の良い奴も然程もいなかった。ましてや、女子となんて業務的な事以外で喋った事が無い。

 

 だから女子と喋る様になったのは神殺し後だ。

 

 

 

「今だから言いますけど………摩桜さんを慕っていた女性は少なくなかったですよ……」

 

 

「あれ、マジで?」

 

 

「はい……ほら、摩桜さんって聖ラファエロさんと一緒にテンプル騎士の方々に教えてましたよね。ラファエロさんが剣を教えて摩桜さんが魔術を教えて……その時の教え方とか魔術を手取り足取り教えてたのが原因で、魔術の話が分かる神殺し…とか、剣を重視するラファエロ派と魔術を重視する摩桜派が出来たとか……因みにその摩桜派の人の殆どが女性のようですよ」

 

 

 そんな派閥が出来ていたとはな……男女関係なく教えていたハズなんだが……。

 

 魔術の話が分かる神殺しか……俺からしたら他が出来な過ぎってだけだし……どうやったらマッチを折ろうとして樹を折る魔術が発動するんだか……。

 

 

「やっぱり、節操ないにゃ」

 

「テンプル騎士のみんなとは業務的な話しかしてないんだがな……ラファエロさんとは世間話ぐらいならしてたけど……」

 

「マオ、何故、その聖ラファエロと呼ばれる人だけさん付けなのだ?マオは猫をかぶっていなければ、基本的に誰にでも呼び捨てのはずだ」

 

 

 ああ、確かにそうだな。

 

 理由話すから、そんな半眼でこっち見るなよ………。

 

 

「あの人は、俺がカンピオーネに成ってぶっ倒れていたところを匿ってくれた人であると同時に、魔術の基礎を教えてくれた師匠でもあるんだよ。だからかな?」

 

「あれ?摩桜の魔術って独学じゃないのかにゃ?」

 

「基礎を教えてもらった後は、全部独学……って言うか、視た魔術を自分用にアレンジしただけなんだがな」

 

 

 魔女術を視て仕組みを理解して自分用に組み換えて使用している。自爆した奴と戦っていた時に空中に浮いたのは飛翔術を自分用にしただけだ。

 

 

「そういえば、みんな何処行くか決めたか?」

 

「私はお世話になった教会に……」

 

「私はママの家かなぁ~」

 

 

 

 

 

 ……………………え~っと、整理すると……イタリア、イギリス、ギリシャ、冥界に行くのか。

 

 

 

 レイヴェルから冥界で若手の集まりがあるらしく、一緒に来て欲しいとの事、それぐらいなら大丈夫だから了承する。

 

 

「そうだ。レイヴェルも力を鍛えるか?俺の側にいるなら少しでも強くなって欲しいからな。炎の扱いは得意だから色々教えられるけど、どうする?」

 

「お願いします!」

 

 

 

 

 

 修行にレイヴェルが加わり数日。終業式が終わって帰っていた時、目の前に悪魔が転移して来た。最近何もなかったから警戒してなかった。

 

 

 

「アーシアさん、むか────」

 

 

「哈ッ!!」

 

「ゴフッ!?」

 

 

 アーシアはその悪魔を視界に入れた瞬間、俺が教えた姐御の動きを真似た武術を使い、悪魔の鳩尾に呪力を籠めた掌打をぶちかます。因みに、アーシアは神器を発動させて、悪魔を攻撃すると同時に回復させている。

 

 

 アーシアは人を傷付ける事が苦手なので、逆転の発想を………つまり、相手を攻撃してダメージを与えてもアーシアの神器『聖母の微笑』で攻撃と回復を同時に行えば、相手を傷付けることなく相手を無力化出来ると教えて修行した。

 

 武器を使えない時の為にイリナとゼノヴィアも一緒にデルピュネーに頼んでスパーリングさせていた。

 

 

 そんなこんなで誕生したのが、殴りながら癒す拳系聖女なのである。

 

 修行の結果、アーシアはゼノヴィア、イリナに次いで格闘が三番目に強い。その後ろに黒歌、レイヴェル、祐理と続く。祐理は運動音痴のままだからしゃーない。

 

 

 

「哈、哈、哈ッ!」

 

「やめ、グホォ、や……」

 

 

「思い、出しました!貴方は、教会に、現れて、私が、癒した、悪魔!」

 

 

 アーシアが教会から魔女だの言われて追放された原因の悪魔ってコイツなのか……。

 

 そして、アーシアはマウントを取ってその悪魔を殴りながら、喋って、癒している。

 自分が貶められた原因が目の前に現れたら俺だって殴る。やっぱり、アーシアに武術を教えたのは間違っていなかった様だ。

 

 

「───ふぅ……。これで悔い改めて下さい」

 

 

 手に血が付くほど殴って癒したアーシアは、その悪魔の上から退いた。

 アーシアの神器のお陰で怪我は治っているが、涙と鼻水で顔面が酷いことになっている。

 

 

 

 俺以外のみんながアーシアの行動にドン引きしている。

 

 

 いや、まぁ……俺も殴るまでで終わると思ってたけど、マウントを取るとは思わなかった。

 

 アーシアの言うことは聞いた方が良いだろうな。その内殴られるかもしれん………。

 基本的に甘いから早々手を出す事はないハズだ。………たぶん。

 

 

「はい、アーシア。タオルと水使って血ィ落とせよ」

 

 

 タオルと水を召喚してアーシアに手渡す。

 

 

「マオさん、ありがとうございます」

 

 

 

「それで、コイツどうする?」

 

「リアスさんに連絡しておけば良いんじゃないの?」

 

「あの~………この人、たぶんディオドラ・アスタロトだと思うのですが……」

 

 

 レイヴェルの言葉に首を傾ける。アスタロトって確か魔王の身内じゃなかったけ?そんな奴が、怪我した状態で教会に……アーシアの前にやって来たのか……教会にこの悪魔と繋がっている奴がいるだろうな。

 

 

 

 

「まぁ、良いか。ほっといても大丈夫だろ。それよりも早く帰って宿題片付けるぞ~」

 

「旅行先は流石にダメだよねぇ……」

 

「イリナさん、それはちょっと……」

 

 

 気絶した悪魔を放置してマンションに帰り、宿題を消化していく。

 

 


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