悪神殺しはD×Dの世界へ   作:ヴォルト

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二十六話

 

 

 旅行先で色々と有って大変だった。

 

 

 ギリシャに行ったら英雄を名乗る集団がやって来て返り討ちにしたり。

 

 イタリアに行ったら何故か生きてたタラスクがアーシアの使い魔になったり、壊れてないコロッセオ見て少し「おお」と声を出したり。

 

 イギリスに行ったら親バカと戦い、魔法使いが勝負を挑んできたのを返り討ちにして、メガネのシスコンが突撃して来たが、メガネの連れである猿と白龍諸ともパイアで轢き逃げしたり。

 

 冥界では、フェニックス家現当主に何故かお礼を言われた。

 

 

 

 

 意外と中身が濃い夏休みであっただろう。

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 ギリシャに着いてすぐに紫色の霧に囲まれた。

 

 

 

 反射的にアンダルの権能を発動させ、アンダルの雲を発生させて雲で霧を押しのけていたら、オーフィスが腕を横に薙いだ衝撃で霧だけを吹き飛ばした。雲だけ操作して飛ばないように動かし盾の様にする。これに包まれたり、当たるだけで幻覚を見せる事が可能になる。

 

 そして、霧の中から人が現れた。

 

 

「流石はオーフィスだな。ゲオルクの霧を風圧だけで吹き飛ばすなんてな」

 

「テメェは何者だ?」

 

「人の名前を尋ねる時は、自分の名前から言うモノだって親から教わってないのかい?」

 

 

 こいつらはオーフィスを知っているって事は、禍の団だろうな。オーフィスが言っていた、神器を持つ人間たちだな。

 テロリストでもあるんだったか?聖書勢力に恨みを持つ人間って事か、それともただ単に暴れて破壊したいだけなのか……どっちかな。

 

 

「残念ながら物心ついた時点で死んでたから知らんね。まぁ、何となく訊いてみただけだし、お前らの名前なんざぁ興味ないから……取り敢えず、俺の邪魔するつもりなら半殺しで勘弁してやるよ」

 

 

 左手に雷、右手に焔を発生させて見せつける。

 

 

「おお、怖い怖い。これは勧誘しても無駄かな」

 

 

 聖なる力を感じる槍を持ち、槍を肩に当てている漢服らしきものを着ている青年がくだらない事をほざく。

 

 勧誘ねぇ………俺の逆鱗に触れないならどうでもいいし、今回は観光で来ただけだから俺から争うつもりはない。

 

 

「ムダだな、俺は組織とか大っ嫌いでね。自由気ままに過ごしたいし、テロ行為ぽいのはやった事あるし、魔術の研鑽もしたいし、神と殺し合いして殺せればそれでいいからな」

 

 

 背を向けて街の方へ歩こうとして止める。

 

 背後で剣がぶつかり合う音が木霊する。

 

 ゼノヴィアとイリナが相手側の剣士二人の攻撃を防いでいた。丁度良いな、二人がどのくらいレベルアップしたかチェックしないとな。

 

「丁度良い。ゼノヴィアは男の方で、イリナは女の方な。……因みに負けたら、これから食う飯がゲテモノになるからなぁ~」

 

「ゼノヴィア!負けないでよ!?」

 

「それはこっちの台詞だ!」

 

 

 二人は叫びながら各々の相手に向かっていく。男の方から龍の気配がしたからイリナは女の方にした。蛇殺しのハバキリに斬られたら一発で死ぬ可能性があるから仕方ない。

 

 

「ジャンヌとジークフリートを相手にして彼女らは無事じゃあ済まないだろうけど、良いのかい?」

 

 

 コイツ……ニヤニヤしててウゼェ……。

 

 視たところ相手の二人はそれなりの練度……と言っても人間にしてはだろうな。はっきりと言ってゼノヴィアとイリナの相手としては物足りないだろう。幻獣やドニの劣化コピー剣技を相手に死ぬ一歩手前まで闘ってるからレベルが違う。それに、相手の二人は慢心してるから簡単に倒せる。

 

 ジャンヌとジークフリート?

 

 英雄、偉人の名前を使ってんのかこいつら………馬鹿馬鹿しくて何も言えん。

 

 

 

 俺はまつろわぬジークフリートとは戦わず、ヴォバンのじいさんと戦ってたから詳しく知らんけど……ドニがジークフリート殺したせいでじいさんキレるし、それで劫火落とすし、巫女や魔女を逃がすのに大忙しだった。

 

 

 

「おい、曹操!オレも行くからな!」

 

「分かった。行ってこい、ヘラクレス」

 

 

 ジャンヌ、ジークフリートに続いて曹操とヘラクレスか……。ジャンヌとジークフリートと曹操はまだ分かる。人だからな、でもヘラクレスって神に成ったハズだ。この世界は神が実在しているから、ヘラクレスは神の一柱として居るハズだけど………コイツ、自称か?それともヘラクレスは半人半神だったから、神に成る際に人の部分を削ぎ落とした結果がアレか?

 今の所考えられるのは、その二つの可能性だろうな。

 

 

「───出てこい、ネメア」

 

 

 テュポーンの権能を発動させて喚び出すと空中からシュタッ、と降ってきて着地するネメアーの獅子。

 

 

「グルルゥ…(何用か、主…)」

 

「彼処にいるデッカイ奴がヘラクレスらしいから遊んでやれ」

 

「ガウ?ガルルゥ…?(なに?アレがヘラクレスだって?)」

 

「らしいよ……物足りないだろうけど、アイツの心をへし折るくらいやって良いから…………今度、戦ってやるから働いてくれ」

 

「……ガウ(……了解)」

 

 

 汎用性が高く、耐久性も抜群な為に雑用が多いネメア。

 

 打撃とか斬撃が効かないハズなのに殴殺されたり斬殺されたりする割りと苦労獣な一体。

 

 ネメアがのそのそとヘラクレス(仮)に近付くと爆発が起きる…………のだが無傷で立っているネメアと驚くヘラクレス(仮)。

 

 

「何でオレの神器の爆発食らって、無傷なんだよ!?クソ、もう一ぱ──グハァ!?」

 

 

 ネメアの体当たりが炸裂し、吹っ飛んでいくヘラクレス(仮)。

 のそのそ歩いていたのに何故当たる………驚く暇があるなら動けば良いのに……。

 ネメアが溜め息を吐きながら吹っ飛ばした相手の方に歩いて行った。

 

 

「ヘラクレスを吹っ飛ばす一撃…だと……。あのライオンただの使い魔じゃないのか!?」

 

「落ち着けって、ゲオルク。まぁ、今回は動かなかったヘラクレスが悪いさ。敵が攻撃をしないなんてあるはずがないのに、考えなしの脳筋が悪い」

 

 

 脳筋……バカっぽいとは思ってたが、本当のにそうだったのか。

 後、ゲオルクって誰だ?そんな偉人か英雄いたか?コイツらは、英雄・偉人の名前を語るテロリストだからたぶん、ゲオルクってのもそれに類するんだと思うがピンッと来ない。

 他が有名過ぎるせいで、マイナーな事まで頭が行かないようだ。

 

 

「なぁ、祐理?」

 

「何でしょうか?」

 

「ゲオルクって名前の英雄か偉人っていたっけ?」

 

「……すみません。覚えがないです……」

 

 

 

 相手にも聞こえる様に会話したからか、ゲオルクと呼ばれる眼鏡が項垂れている。

 

 …………そんなにも知らんかったのがショックなのか。自意識過剰な奴か……エゴサーチしてみろ。自尊心が傷つくだけだろうがな。

 

 

「え~っと、槍持ってるお前。お前らって何がしたくてテロリストやってんだ?」

 

「まぁ……禍の団は色々と派閥があるから人それぞれではあるが、俺たち英雄派は、聖書勢力に対しての復讐や、ただ単に自身の力が異形たちにどこまで届くか、とかそういう理由が大半だ。因みに俺は後者さ、英雄曹操の子孫として、この聖槍…『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』に選ばれた者として、どこまでいけるか試してみたいのさ」

 

「ふぅ~ん、あっそう。案外下らない理由だな…………」

 

「………下らない、だと………」

 

「ああ、下らんな。英雄の子孫だから?たかが聖人が死んでるか確認する為に刺した槍を持ってるから?はぁ……せめて、生まれだの何だのより、槍一つで世界最強に成るとか言って欲しかったのが本音だわ~」

 

 

 ありゃりゃ、顔を赤くしてるな。もしかしてなけなしの自尊心が傷ついたか?

 

 

「どうでもいいが、学生服に漢服っていう変な奴と知名度無い眼鏡野郎は、戦わないのか?今ならこの『魔術師の王』が、血筋とか神器とかない弱っちぃ人の身で神を殺した神殺しの魔王が相手をしてやっても良いぞ?人間の超越者と呼ぶべき俺から尻尾巻いて逃げるか、自称英雄共?まぁ、別に戦わないで逃げても良いぞ。そん時は、お前らは相手にビビって逃げた臆病者(英雄)に成るけどな」

 

 

 わざわざ英雄の名前を名乗るなら俺から逃げるのはアウト。

 名前に泥を塗るだけだから逃げる選択は先ずないだろう。プライドだけは高そうだし。

 

 

 

「好き放題言ってくれたな……。ゲオルク、禁手を……ゲオルク?」

 

 

 反応が無いのは俺の雲の幻術に囚われているからだ。相手の移動手段を潰すのは普通の事だ。

 

 

「叩いてもムダだぞ。今そいつは、ヤンデレに追いかけられるっていう終わりの無い幻を視てるから動けんよ」

 

「ヤンデレって………摩桜?それって私たちにも視ることって出来るかにゃ?」

 

「うん?ああ、ちょい待ってろ。見えるようにするわ」

 

 

 アンダルの権能を発動している状態から更に聖句を唱える。

 

 

「悪魔に堕ちし偽りの雷雲よ、魅せたまえ。我、望むは囚われ人が視る夢なり。」

 

 

 雲をスクリーンの様に広げて、第三者の視点で映像が映る。

 

 

 

『───ゲオルク、ねぇ、待って。』

 

『待ったら手足を切り落とすつもりだろ!』

 

 

 走り続ける眼鏡を両手に包丁を持ったジャンヌと呼ばれていた女性が追いかける。

 

 

 

 随分とテンプレなヤンデレの幻を視ている様だな………。

 

 

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