悪神殺しはD×Dの世界へ   作:ヴォルト

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四話

 

 

 アジ・ダハーカの魂を取り込んで数日後、日本神話の土地なのに何故か悪魔の領地になってる駒王町のマンションに住む事にした。因みにペットオッケーのマンションだ。これで幻獣を出しても怪しまれないだろう。

 

 

 そして、祐理にお願いされ一緒に高校──駒王学園──に入る事になった。俺って一応二十歳越えているんだがな……まあ、カンピオーネになってから高校を中退したから丁度良いか?

 

 

 カンピオーネになったせいか、身体が成長してないんだよなぁ……そこらの魔女みたいに見た目を変えてる訳じゃないんだよな……。四年経っても高二の時と変わってない。変化の魔術使えば良い話だけど、呪力が漏れるからやりたくない。呪力が駄々漏れすると厄介事が来るかもしれないから今は、結構ムリして呪力を身体の中に蓄えている。いざとなれば、呪力の放出だけで戦いが終わるかもしれないな……。

 

 カンピオーネとまつろわぬ神以外ならって付くがな……。

 

 

 

 

 三月という事もあってか駒王学園への編入はすんなり──少し催眠暗示を使ったけど──と済んだ。

 

 

 そして、四月になり高等部二年に編入した。因みに祐理と同じクラスでもある。

 

 

 クラスの三人程人外がいた。モルスが言うには悪魔らしい。

 

 確かに気配が少し変わってるのが判るが、それでも何故か人間の要素の方が強いな……。これが転生悪魔って事か?

 

 もっと語られてる悪魔を想像してたんだがな……まあ、悪魔も姿を変えれるよな。

 

 殺したフェネクスは、人と鳥の中間みたいな見た目だったし……。

 

 

「よぉ。俺は、匙元士郎だ。何か分からん事があったら訊いてくれよ?こう見えて生徒会役員だからな」

 

「さっきも自己紹介したが…鬼崎摩桜だ。了解、何かあったら訊かせてもらうよ、匙」

 

 

 流石に俺の隠形で偽ってる気配を見抜くのはムリがあるか……。

 

 そもそも俺の隠形を破れる奴なんて、羅濠のババアと剣バカぐらいしかいない。あ、後は、祐理の霊視と祐理の妹であるひかりの禍祓いぐらいか……。

 

 

 姿、権能の力や呪力、気配、熱、匂い。考えられる要素を全部偽ったのに正確に攻撃仕掛けてくるからな…あの二人は、俺にとってはまつろわぬ神より厄介な相手だ。

 

 

 そして、万里谷姉妹も敵にすると厄介だよなぁ……。ひかりの禍祓いに幻獣たち強制脱出させられるからな。一日一回の制約に刺さるんだよな……。家に遊びに来た時に偶然分かったからな…ひかりが家に来た理由って祐理の行動に疑問に思って尾行したんだっけ……。それで、幻獣と遊んでた時に禍祓いを発動させてしまい幻獣を消してしまって泣いちゃったんだよな……。小学生で、俺の噂とかカンピオーネの事を聴いていたと思うし、殺されるとでも思ったんだろうな。泣き止ましてから空中散歩とかしたのは良い思い出だ。

 

 

 

『(オイ、マオ。そいつから悪魔と微かだが、ヴリトラの匂いがするぞ。ヴリトラの魂を封じ込めた神器を持っている様だぜ)』

 

 

 モルスが心に語りかけてくる。

 

 ペインとディストは、一応アジ・ダハーカの権能だから発動させないと話せないが、モルスは魂その物を身体に入れて力は権能に吸収したが、意識はどうやらそのままになった様だ。

 

 

「(どういう事だ?神器は、人間しか持たないんじゃないのか?それに、ヴリトラってお前と同じ邪龍だったよな。ヴリトラの意識は無いのか?)」

 

『(原則的にはその筈だ。ここで考えれるのは…そいつが悪魔と人のハーフの場合、他人から移植した場合、神器を持ったまま悪魔になった場合……単純に考えられるのはこれだろうな……。後、ヴリトラの奴の意識は無いみてーだな。恐らく、魂を斬り刻まれて封印されたんだろうな。ヴリトラは邪龍の中でも肉体が滅んでも一年ぐらいで復活するからな。魂を刻んで封印したのは復活させないための措置だと思うぜ?)』

 

「(成る程な…参考になったぜ、モルス。魔術関連とかこの世界の事に詳しくて助かる)」

 

『(クククッ、今のオレとオマエは、一心同体だしな。神殺しという頭がイカレてる事をしたオマエを視ていてーからな。後、女の尻に敷かれるオマエを見るのも楽しいしなっ!)』

 

「(モルス、アータルの炎を口の中にブチ込むぞ……)」

 

『(チョイ待てや!?嫌がらせにしてもそれは、オレにとっちゃあタチがワリーぞ!?)』

 

 

 神話の通りならアジ・ダハーカは、アータルに「口から入って腹の中から燃やすぞ」と、言われて撤退したと云われている。

 

 アータルの炎を扱える俺はその言葉を有言実行できる。口の中に炎をブチ込んだら身体の中が弱点のカンピオーネでも死ねるけど、アータルの炎を使うなら死ねないよなぁ。自分が出した物で傷付くのか?炎になれる俺に効果は無いよな。そういえば、自分が出した炎で傷付いた事無いな。

 

 

 そして、授業が終わり放課後になった。

 

 

「匙は、これから生徒会か?」

 

「ああ、特に何もなければそのまま生徒会室だな。この学園の生徒会って結構仕事が多くてな。色々と大変だけどそれなりに遣り甲斐があるんだよな」

 

「へぇ、匙は──「待てぇぇぇ!変態三人組ーー!!」──何だ、今の………」

 

「ハァ~…また、彼奴らか……」

 

「また?どういう事だ…」

 

「去年の時から女子の更衣室を覗いたり、教室内での猥談やそういう雑誌を堂々と広げてる変態三人組が同じ学年に居てな……」

 

 

 ………はぁ?

 

 何やってんだ、その三人は……。

 

 

「匙、普通ならそいつら停学か退学にならねぇか?ならなくても厳重注意とか反省文とか、警察沙汰にならねぇのか?生徒会に苦情とか来ねーのか?」

 

「やっぱり鬼崎の様な疑問が出るのが普通だよな……。生徒会と風紀委員で注意はしてるんだが効果が無くてな…生徒会にかなりの苦情が来てて会長もあまりの多さに眉間に皺を寄せててな……」

 

 

 大変そうだな、生徒会……。

 

 とりあえず、祐理にそういう目を向けない様に(まじな)いを掛けておくか……被害に遭った後じゃあ遅いからな。

 

 

「摩桜さん、そろそろ買い物に……お話中でしたでしょうか?」

 

「うん?ああ、大丈夫だ。じゃあな、匙。そろそろ帰るわ、生徒会頑張れな」

 

「お、おう。またな、鬼崎」

 

 

 

 匙と別れ、祐理と一緒に夕飯の買い物に行く。もちろん、俺は荷物持ちだ。

 

 

 スーパーからの帰り道で、カンピオーネとしての直感がイヤな予感がする事を報せて来る。

 

 

「摩桜さん、何かイヤな予感がします……」

 

「奇遇だな、俺も感じた」

 

「神殺しである摩桜さんの直感は当たりますからね」

 

「そういう祐理もよく当たるだろ?」

 

 

 得体の知れない何か、と思ったが学園でも感じた悪魔の気配を町の隅から感じた。

 

 結界は、マンションの周りにしか仕掛けてないから気付かなかったな。

 

 

「俺は今から気配を追ってみるが祐理は……」

 

「ご一緒します」

 

「そう言うと思ったよ。ま、結界で護るし、幻獣も陰から見てるから大丈夫か」

 

 

 気配を追って行き廃工場に辿り着いた。

 

 

「確かに此処になんかいるな……念には念を、と…」

 

 

 祐理に更に魔術を掛けていく。魔術師でも最高位クラス二十人以上ではないと突破出来ないレベルの結界だ。

 

 

『(過保護過ぎねぇか?)』

 

 

「(カンピオーネとかまつろわぬ神が相手だと、これでも足りないっての……カンピオーネは魔を弾いてしまうから魔術は効きが悪い、まつろわぬ神でも魔術神とか智慧の神だと今の結界を結構簡単に解除される事もあるからな……)」

 

『(アアァ……確かにそんな奴らと戦えばそうなるか……)』

 

 

 

 廃工場の中を進んでいくと、裸の女が立っていた。

 

 

「あれは()、ですか?」

 

「祐理、あれの後ろをよく視てみろ。その疑問の答えがあるぞ」

 

 

 日が沈んで薄暗くなっていたが、まだ見えるだろう。

 

 

「まさか、あれが……!?」

 

「そうだな、たぶんあれが『はぐれ悪魔』だ」

 

 

 女の擬態の後ろに蜘蛛みたいな姿をした、化け物がいた。

 

 

 三月に祐理と一緒に日本神話の神がいる高天ヶ原に行き俺の存在を知らせ、日本神話の神と裏京都の大将と関東の大将との間に協定を結んだ。

 

 簡単に言えば、敵の排除とお互い行き過ぎた干渉をしない事が大体の内容だ。……他にも細かい事もあるが概ねそれで良い。

 

 

 俺の正体を教えたり、アジ・ダハーカの魂を取り込んだ事を報せた時の奴らの驚いた顔は中々良かった。

 

 

 駒王町の事や聖書の三勢力の問題を教えてくれたのは日本神話である。

 

 後、偶々拾った黒猫の妖怪で転生悪魔である黒歌からだ。

 

 確か、猫魈っていう猫又の上位種らしく、仙術の使い手で気配を探っていたら違和感のある俺の所に来たが、俺がキュベレーの権能で声を聴いたので、取っ捕まえてお話をした。事情訊いた上で現在は、マンションに匿っている。

 黒猫から人の姿になったのは驚いた。後、祐理にだらしないって叱られてたな。服装の事で……。

 

 

「見た感じだと力に溺れた方だな、コイツ」

 

「そうですね、王を殺して逃げた黒歌さんとは違ってますね……。つまり、黒歌さんが力に溺れたとは言えない証拠ですね」

 

 

 裏京都の大将八坂の話だと力に溺れた転生悪魔の猫魈だって言ってたな。……キュベレーの権能のお陰で黒猫状態の時に本音は聞いているからな。キュベレーの権能の良い所は、本音を聞く事が出来る所だな。ま、動物が嘘を言うとは思ってないけどな。

 本音を聞いたからこそ匿うって決めた。

 

 

「そうだな。とりあえず、コイツを排除しておくか……」

 

「排除されるノハ貴様らの方ダ!」

 

 

 痺れを切らして襲い掛かってきた。

 

 ただ祐理と話していた訳ないだろ。

 

 お前を視認したときから魔術を使ってたっての……アジ・ダハーカの権能を手に入れてからほとんど無詠唱で出来るからな。力に溺れて考えなしで良かった。

 

───バチッバチバチバチバチ!!

 

 

「ギィィィヤァァァ!?」

 

 

 結界魔術の中でも初歩である〈地雷(マイン)〉。単純に、結界に入ったら爆発する魔術だ。その〈地雷〉を改良した〈電撃地雷(エレクトリック・マイン)〉。

 

 普通ならスタンガン程度の電流で良いけど、今回は強めに設定しておいた。

 

 

 長引いても特に意味もないからアータルの権能の聖句を唱える。

 

 

「我は世界を脅かす悪を挫き、世界を守護する者なり。いと聖なる御方よ、我が聖なる焔を以て行う、我が聖なる献身をご覧あれ」

 

 

 アータルの炎を使う時の聖句を唱え、右手に生み出した炎を名も知らないはぐれ悪魔に放つ。

 

 

 電撃で痺れて体が動かせなかったのか声も出せずに燃え尽きた。

 

 

「人を喰うはぐれ悪魔が隠れてるのに暢気だなこの町の領主とやらは……」

 

「……どうか安らかにお眠りください……」

 

 

 祐理の言葉を聞いて、祐理の体の向きの先を見て納得する。

 

 血痕と男性用の靴が置かれていたからだ。きっと、さっきのはぐれ悪魔に喰われたのだろう。

 

 

 これがこの世界の現実か……。

 

 語り継がれる異形が跋扈する、ただの人には厳しい世の中。

 

 

 元の世界も神とカンピオーネがいて荒れていたが、この世界は、それ以上かもしれないな……。

 

 

 


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