悪神殺しはD×Dの世界へ   作:ヴォルト

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幕間 『剣の王』が語る『魔導の王』

 

 

 

───サルバトーレ卿、御時間頂いてよろしいでしょうか。

 

 

「ん?ああ!誰かと思ったら日本の忍者の人じゃないか。どうしたんだい僕の所に来るなんて」

 

 

───実は、摩桜さんの資料を作ってまして……。摩桜さんと交流が多かった貴方に話を聞きに来たんですよ。

 

 

「成る程~。うん、良いよ。丁度暇をもて余していた所だったからね」

 

 

───ありがとうございます。では、早速ですが摩桜さんと出会ったのは、ヴォバン侯爵の『まつろわぬ神招来の儀』の時……サルバトーレ卿がまつろわぬジークフリートを倒した後でよろしいでしょうか?

 

 

「合ってるよ。初めて視たときは驚いたよ。灰色の人狼と三つ首の龍人が戦っていたんだからさ!それを視た僕は一目散に駆けつけて三つ巴をしたけど……あんなにも心踊ったのは今でもなかなかないよ」

 

 

───そこまで言いますか……。

 

 

「言っちゃうよ?後は摩桜と羅濠のばぁさんと三つ巴した事かなぁ?後は、護堂とかだから今は良いよね」

 

 

───ええ。次に摩桜さんとしっかりと相対したのは摩桜さんが三つ目の権能を手に入れてからですね。

 

 

「そうそう。人間の姿を見ていなかったからのと、摩桜って二年目までフットワークが凄く軽かったせいでなかなか捕まえられなかったけど、丁度良く摩桜とバッタリ会っちゃってね。そこから一緒にランチしてから殺しあったんだ」

 

 

───確か、エベレストの麓で殺りあってエベレストの一部が崩れましたね……。

 

 

「摩桜酷いんだよぉ。山に思いっきり吹っ飛ばして減り込んでいた所に毒を流したんだよ!危うく死ぬ所だったよ。それにしても摩桜のあの毒は僕らカンピオーネに効くよね。ばぁさんですら治すのに苦労してたみたいだし。僕の『鋼』すら溶かすからねあの毒ハッキリと言って卑怯だよね」

 

 

───ですが、余り使ってない様でしたけど……。

 

 

「ああ、僕とばぁさんと闘う時は、バリバリ使ってたよ。しかも、狙いが手とか足ばっかりでさ、身体を動かす方の僕とばぁさんに遠慮せず狙ってきたよ」

 

 

───成る程。では、摩桜さんの内面的な事を訊いても良いですか?

 

 

「内面、か……。まあ、僕らと闘うのは拒まないから付き合いは良いよね、彼。護堂と違って確実に殺しに来るし、面倒臭がりでオタクでありながら知識欲と苦労人気質で自分の領域を害される事を極端に嫌うのが彼かな?」

 

 

───(苦労人気質なのは貴殿方のせいですよね……)自分の領域ですか?

 

 

「自宅と自分が定めた身内の事さ。一度彼の自宅に行こうとしたら海に叩き落とされたからね……」

 

 

───では、摩桜さんの才能についてはどうですか?

 

 

「……そうだね。摩桜は僕とは真逆の才を持つ天才だね」

 

 

───それは術士、としてですか?

 

 

「そう。皆僕の事を剣の天才である『剣の王』って言うでしょ?摩桜は逆、魔術の天才である『魔導の王』ってね。実際彼は天才だ。いくら魔術関連の権能を手に入れたっていってもセンスが無いとね。護堂の様に権能で上手くなっている訳じゃないのは確かだね」

 

 

───良く分かりましたね。摩桜さんに魔術の才があるって。

 

 

「最初は半信半疑だったよ。けど、闘う内に分かったけど彼って魔術使う時に詠唱せずに無詠唱で発動させるからね。それで摩桜は魔術の天才だって分かったんだ。しかも、彼って権能の聖句は口に出す癖に魔術は無詠唱が当たり前って考えてるよ絶対。いや、ホントに……」

 

 

───何処かズレてるんですよね。摩桜さんって本当に護堂さんと同じ様に一般家庭で魔術師の家系でもないんですけどね。神殺しをして権能を手に入れたお陰で埋もれていた才能を開花させたでよろしいでしょうか。

 

 

「そうだね。普通の人は魔術何て使わないからね。僕としては嬉しく思うよ、その才を持って同じ舞台に立っている事をさ」

 

 

───そうですか。そう言えば、摩桜さんが不死の権能を手に入れてから何度も戦ってますが……。やはり死なない同族相手と戦うのは高みを目指す剣士として最高ですか?

 

 

「全く持ってその通りだよ!摩桜が不死の権能を手に入れてから何度も戦ってその度に、毒を浴びせられて治して戦うを繰り返したのはとても良かった。ばぁさんですらそうしていたからね。まあ、殺り過ぎたせいか摩桜が痛みに鈍くなって、顔色一つ変えずに攻撃して来る様になったかな?カンピオーネの身体は痛みに強くなるけど、腕や身体を斬り刻まれたら流石に顔を顰めたりするハズなんだけど摩桜はそれが無くなっちゃったんだ」

 

 

───ええ……。

 

 

「三つ巴の時にやった魔術と権能とドラゴンブレスによる絨毯爆撃。後、幻獣もヤバかった。ライオンとか蟹とかヒュドラとかオルトロス、僕の剣やばぁさんの拳があんまり効かなかったのは驚いたね。幻獣倒した後のラスボスの如く出されたテュポーンはヤバイの一言だけだ」

 

 

───ヤバイ……他の言葉はなかったんですか?

 

 

「だってさぁ、ばぁさんの衝撃波を風で相殺したり、僕の呪力を込めた大地の剣でさえもビクともしないんだよ?奥の手と言える代物だよ、アレは。消耗していた時に出されると本当に面倒ではあるけど、倒しがいがあると思うね」

 

 

───その言い方は倒してないのですか?

 

 

「そうなんだよ。テュポーン(幻獣)に集中し過ぎたせいで毒を浴びせられてゲームオーバー。ラスボスを倒そうとしたら真のラスボスに攻撃されちゃったのさ」

 

 

───成る程、流石はカンピオーネ。一瞬の隙を逃さなかったということですか……。それでは、私はそろそろ帰りますね。御時間頂いてありがとうございます、サルバトーレ卿。

 

 

「どういたしまして。ああ、そうだ。護堂と摩桜が戻ってきたら殺し合おうって言っておいてよ?摩桜は来てくれると思うけど、護堂は拒否するからこっちから行くねって伝えといてよ。ああ、護堂が無視したら護堂の大切なモノを斬ってあげるって言っておいて」

 

 

───分かりました。しっかりと伝えます。

 

 

 

 

 

 

───はぁ……。(サルバトーレ卿は、人の逆鱗に触れてまで何故戦おうとするのでしょうかねぇ。ああ、また何処かが護堂さんによって世界遺産か建築物が破壊されるんですね……。護堂さんも摩桜さんもまだ帰ってこないで下さいよぉ)

 

 

 

 

 

 

 


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