あの子はこの世界が嫌い   作:春川レイ

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閑話です。次の章は更新がまだまだ先になりそうです。すみません。









閑話
あの子の知らない裏側の話


シリウス・ブラックはジェームズ・ポッターの事をこの世で一番の親友だと思っている。もちろん、彼の息子であるハリー・ポッターの事は自分の息子同然だ。恵まれた人生を送ってきたとはいえないシリウスにとって、この世で一番愛しい存在だった。

今年、ホグワーツ魔法魔術学校にて三校対抗試合が開かれると聞いて、シリウスも少しだけワクワクした。自分が今、学生だったらよかったのにと残念でならない。きっと親友のジェームズだったら喜んで代表選手に名乗りをあげたはずだ。そういう派手なことが大好きな青年だった。そんなふうに考えたとき、ふと気になった。ハリーは代表選手に立候補するだろうか?きちんと試合の事を調べてみたところ、代表選手の規定は十七歳以上と決まっていたため、シリウスは安心した。命をかけることになるイベントだが、ハリーは危険なことに巻き込まれずに済むだろう。

そんな考えはハリーの手紙がきたときに覆された。シリウスは頭を抱えた。何者かがハリーの名前を勝手にゴブレットに入れたらしい。

「頼む、行かせてくれ!」

「ダメだよ、シリウス。とにかく落ち着いて」

「離してくれ、俺は行くんだ!ハリーーー!!」

すぐにでもホグワーツに飛んで行きたかったが、さすがにルーピンに止められた。シリウスは仕方なく手紙を何度も送り、ハリーの近況を確認した。どうやら試合自体は友人であるシャーロットやハーマイオニーの助けもあり、順調に進んでいるらしい。年上の選手を差し置いて一位になったと知り、シリウスは誇らしかった。

 

 

 

 

いろいろあったが、試合は第三の課題を残すのみとなった。その当日、シリウスはダンブルドアから代表選手の家族として招待され、大喜びしながらホグワーツに足を踏み入れた。ホグワーツには、ハリーの家族として友人のウィーズリー一家が招待されており、シリウスは丁寧に挨拶をした。ウィーズリー夫人は少々複雑そうに、ビルはにこやかに挨拶を返してくれた。久しぶりに会ったハリーはグッと顔つきが大人っぽくなっている気がした。こうして見ると、ますますジェームズに似ている。輝くような笑顔で向かってくるハリーを思い切り抱き締めながら、シリウスはいろいろな感情がごちゃ混ぜになって胸が痛くなった。

ちなみに、ハリーと食事をとっているとき、数年ぶりにセブルス・スネイプと顔を合わせた。テーブルが離れているため、遠くからではあるが、あっちが殺気がこもった視線で睨み付けてきたため、シリウスも同じように睨み返した。できれば、教員席へと向かい、「久しぶりだな、スニベルス」くらいは言いたかったが、ハリーがいたため自粛した。

そんな姿をウィーズリー家の双子、フレッドとジョージがコソコソ何かを話しながらチラチラ見ているのに、シリウスは気づかなかった。

「なあ、なあ、シリウス」

「あ?なんだ?えーと、」

「俺たち、フレッドと」

「ジョージ・ウィーズリーさ。ロンの兄貴」

「あ、ああ。どうした?何か用か?」

「シリウスって、ハリーのお父さんと大の親友だったんだろ?」

「ロンから聞いたんだ」

「ああ、そうだが……」

「じゃあ、これ」

「欲しいんじゃないのー?」

そう言って双子がピラリと一枚の写真を差し出してきた。訝しげに写真を見たシリウスは思わず声をあげた。

「こ、こ、こ、これはー!!」

それは、ハリーとシャーロットの写真だった。恐らくはダンスパーティーの時のものだろう。ハリーはドレスローブをきっちり身にまとい、シャーロットはシリウスがプレゼントした純白のドレスを着ている。写真の中の二人は、まるで恋人同士のように見つめ合い、楽しそうに踊っていた。

「もっとよく見せてくれ!」

シリウスが写真に手を伸ばしたところ、サッと写真は取り上げられた。

「おっと、ただではあげられないよ」

「そうそう、交渉しようじゃないか」

「なんだ、何が欲しい!?金か!」

「身も蓋もないな…」

「お金はいいよ。その代わり…」

「俺たち卒業したら、悪戯専門店開くつもりなんだ」

「もし将来困ったときは助けてくれない?」

「あまり無茶な事はしないからさー」

「お願い!」

双子にそう頼まれて、シリウスは少し迷った。写真は喉から手が出るほど欲しい。しかし、なぜだろう。この双子のお願いは簡単には聞いてはいけない気がする。っていうか、関わったらヤバい予感がする。長年の勘が、断れとシリウスに助言していた。しかし……、

「くっ、仕方ない…」

「やった!」

「じゃあ、約束な!毎度あり!」

欲望に逆らえなかったシリウスは歯噛みしながら、写真を受け取った。フレッドとジョージが顔を見合わせて、ニヤリと笑った姿を見て、シリウスは早くも後悔したが、写真を再び見たときそんな考えは吹っ飛んだ。

「ああ、なんと素晴らしい…」

写真の中で優雅なダンスをする二人に、シリウスはうっとりと視線が釘付けになった。こうして見ると、シャーロットは本当にリリーに似ている。ジェームズそっくりなハリーと、リリーそっくりなシャーロット。写真の中の二人はまるで結婚式をあげているようで、シリウスはジェームズの結婚式で花婿介添人をしたことを思い出した。

「素晴らしい写真をありがとう、フレッド、ジョージ……。君たちは天使だ……。」

涙ぐみながら魅了されたように写真を見るシリウスに双子は顔をひきつらせながらドン引きしていた。

「あ、ああ。どういたしまして」

「喜んでもらえて、こっちも嬉しいよ」

シリウスはそれから第三の課題が始まるまでうっとりと写真を見続けていた。

 

 

 

 

 

ゾクリ

「うん?なんかすごく嫌な事が起きている気がする」

迷路の中では、シャーロットが突然の悪寒に首をかしげていた。

 

 

 

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