暗い。暗い闇の中。寒い。怖い。呼吸も苦しくなってきた。
ここはどこだろう。シャーロットはこれが夢の中だとぼんやり認識していた。闇が恐ろしくてギュッと目をつぶった。もう一度、目を開ける。何も見えない。
早く、帰りたい。アンバーが待つあの場所へ。シャーロットだけの温かい特別な場所だ。きっと、アンバーは、ずっと待っている。帰らなければ。シャーロットは闇の中を走り出した。足を動かす。呼吸も荒くなる。走っても走っても、光は見えてこない。
「アンバー……」
自分の保護者同然の屋敷しもべ妖精の名前を、呟くように呼んだ。誰も応えなかった。
とうとう足が止まる。諦めたように、その場にポツンと佇む。
「……お爺様」
シャーロットがそっとダンブルドアの名前を呼んだその時だった。
誰かの視線を感じて、シャーロットは振り向いた。視線の先には、大切な友人の姿があった。グシャグシャの黒髪に、眼鏡をかけた青年。
「ハリー!」
シャーロットが安堵のあまり、大きな声で名前を呼び駆け寄ろうとした。その時だった。いつの間にかハリーと自分の間に、黒いフードがついたローブを身につけた人物が現れた。
「……?」
シャーロットは誰だか分からず、思わず立ち止まる。
その人物はシャーロットに背を向けた状態で杖を振り上げた。
「アバダケダブラ!」
その瞬間、緑色の閃光が炸裂する。それはまっすぐにハリーへと向かっていった。
「ハリー!」
ハリーの体が後ろへと倒れる。シャーロットの目にはそれがスローモーションのようにゆっくりと見えた。
「ハリー!うそ、やめて!」
たまらずハリーに駆け寄ろうとした時、黒いフードの人物がシャーロットの方へ振り返った。シャーロットはその顔を見て、目を見開いた。
その人物は赤い髪に、緑色の瞳。シャーロットに向かって残酷な笑顔を見せた。それは紛れもない、シャーロット自身だった。
「え……、あ……、やめて、違う!」
シャーロットは戸惑いのあまり、ハリーに駆け寄るのも忘れて、後ずさった。黒いフードのシャーロットは高笑いをする。その姿は、ヴォルデモートにそっくりだった。
「やめて!違う!違う違う違う違う違う違う違う違う!わたし、……私は……!」
シャーロットは混乱のあまり、その場でうずくまる。耳を抑えて高笑いを聞かないように、ギュッと目をつぶった。
高笑いはそれでもシャーロットの耳に入ってきた。シャーロットは絶望感から、大きな声で悲鳴をあげた。
悲鳴は闇の中で響き渡った。高笑いと悲鳴は闇に纏われるように共鳴し、闇の果てへと吸い込まれるように消えていった。
もうすぐ新章を始める予定です。長い間更新せずに申し訳ありませんでした。
次回予告『不死鳥の騎士団には頼らない』