10月31日、ハロウィーンの朝。お菓子の匂いにホグワーツ中が浮わついていた。そんな中で、フリットウィック教授による授業が始まる。例の浮遊術の実技が行われる。シャーロットはハリーと組むことになった。ロンとハーマイオニーは原作通りペアとなり、お互いに嫌そうに顔をしかめていた。
その後、シャーロットは早々と浮遊を成功させ、フリットウィックから誉められ、5点を稼いだ。ハリーにアドバイスしつつ、ロンとハーマイオニーを見守る。予定通り、ロンの呪文をハーマイオニーが注意し、ハーマイオニーは浮遊を成功させ、グリフィンドールにまたも5点が入った。
授業が終ったとき、ロンの機嫌は最悪だった。
「誰だってあいつには我慢できないって言うんだ。まったく、悪夢みたいな奴さ。」
あ、言っちゃった。ハーマイオニーがその言葉を聞き、泣きながら走っていくのが見えた。
「…ロン」
「なんだよ。シャーロット。君もそう思っていたろ?」
「本当は分かっているんでしょ?あなたの気持ちも分かるけど、今のは言い過ぎ。」
ロンは気まずそうに目を逸らした。ハリーもうつむいていた。
シャーロットは二人に背を向けて走った。
「シャーロット、どこに行くの?」
「ロン、私があなたに謝るように言っても、今のあなたは渋々謝るだけでしょう?それじゃダメなの。本当の意味での謝罪にはならないから。」
シャーロットは振り向いて言った。
「ハーマイオニーのところに行く。」
「え?すぐに次の授業が始まるよ!」
「サボるわ。先生にはあなたたちから適当に言い訳して。それくらいはして。」
シャーロットは二人の反応を確かめる事もなく、再び走り出した。
行き先は分かっていた。女子トイレでハーマイオニーは泣いていた。シャーロットはハーマイオニーに声はかけず、ただ泣き止むのを長いこと待っていた。その間、何人か女子トイレに訪れたが、シャーロットが無言で追い返した。やがてハーマイオニーの泣き声が徐々に落ち着いてきた。それでもしゃくりあげる声は聞こえる。シャーロットはそっと声をかけた。
「ハーマイオニー?大丈夫?」
「シ、シャーロット、あなたなの?」
ハーマイオニーが驚きの声をあげたが、すぐに涙声で一人にしてちょうだいと続けた。
「ハーマイオニーは一人じゃないよ。私、ハーマイオニーがここに入ってからずっとこのトイレの扉の外で待っていたよ」
「え?え?あなた、ずっとここにいたの?」
「うん。」
「授業は?」
「サボった」
「今、大広間はパーティーよ」
「そんな事よりもハーマイオニーの方が大事だから」
シャーロットがそういうとハーマイオニーの息を詰まらせたような声が聞こえた。
「ハーマイオニーが嫌なら、もう出ていく。でもさ、これだけは覚えてて。私はハーマイオニーの事、友達だと思ってるよ。ロンの事なんて気にしないで。今度あんなこと言ったら、魔法とか関係なくビンタするから。ロンだけじゃなくて、他の人の言うことなんか気にしないで。ハーマイオニーはみんなよりちょっと大人なだけ。ハーマイオニーの言うことは正しいんだよ。でも、もしできるならもうちょっとだけ、ハーマイオニーも周りを広い目で見てくれると嬉しいな。」
シャーロットがそういうと、しばらくの沈黙ののち、ハーマイオニーがゆっくりとトイレから出てきた。ハーマイオニーは涙をこぼしながら口を開いた。
「…ロンのことだけじゃない。あなたのことが羨ましいの」
「私?」
「あなたは何でも持っている。有名な魔法使いが後見人で、優秀で、美人だわ。おまけに私と違って性格までいい。私が欲しいもの、なんでも持っているんだもの」
ハーマイオニーは声を絞り出した。シャーロットは静かにその話を聞いていた。
「…ごめんなさい、シャーロット。そしてありがとう。こんな私を友達って言ってくれて」
シャーロットはニッコリ笑い、手を差し出した。
「大広間に行こう、ハーマイオニー。今日はお菓子をいっぱい食べよう。」
「ええ!私、寮のみんなに、ハリーやロンにも謝るわ!」
ハーマイオニーも笑顔を取り戻し、二人が手を繋いでトイレから出ようとした時だった。
大きなトロールが姿を現した。
「…ホグワーツの新しい職員かな?」
「そんなわけないでしょう!逃げるわよ!」
そういえば、ハーマイオニーの事に夢中で忘れていた。思わずボケがでてしまい、ハーマイオニーが突っ込んだ。
トロールが棍棒を振り上げる。とっさに杖を出し、呪文を口にした。
「エクスペリアームス!」
棍棒がトロールの手を離れ、後ろに落ちた。この後は…
「ハーマイオニー!シャーロット!」
ハリーとロンがトイレに飛び込んできた。そんな二人に構わずシャーロットは杖を振った。
「ステューピファイ!」
呪文の効果は抜群で、一瞬でトロールが倒れこんだ。シャーロット以外の三人が呆然と倒れたトロールに近づいた。
「これ、死んだの?」
「まさか。気絶させただけよ」
シャーロットは三人に説明すると、ハリーとロンに微笑んだ。
「二人とも、来てくれるって信じてたわ。ありがとう」
二人は照れ臭そうにもじもじした。四人の耳に教師たちの慌ただしい足音が聞こえた。
その後のことは別に特別な事は起こらなかった。四人はマクゴナガル先生を筆頭に事情を聞かれた。ハーマイオニーは原作通りに自分が悪いという嘘をでっち上げ、ハリーとロンを驚かせた。また、シャーロットが失神呪文を使い、トロールを気絶させたことを説明すると今度は先生達が驚きで言葉を失った。
その後はハーマイオニーは減点され、三人は加点された。シャーロットはスムーズに事が運んだことに大満足だった。
その後、ハリー、ロン、ハーマイオニーは急速に仲を深めた。シャーロットはハーマイオニーと時には図書館で勉強したり、時には三人に混じって遊んだりと、楽しい日々を送った。