あの子はこの世界が嫌い   作:春川レイ

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ノーバート事件の顛末

うーん、大丈夫かな。

シャーロットは湖のほとりで本を流し読みしつつ考えていた。最近三人がシャーロットによそよそしい。すぐにシャーロットはノーバート事件の事だと悟った。シャーロットに何も言ってくれないのは悲しいが、三人が話さない以上は何もしようがない。しかし、このままではグリフィンドールは大きな減点をくらう。シャーロットはグリフィンドールの寮杯の獲得については本音を言うとどうでもよかった。ただ、ハリー達はこのままだと学校中から嫌われるだろう。

「それは避けたいんだけどなぁ。」

シャーロットがブツブツ呟いていると、ハリーがやって来た。

「やあ、シャーロット」

「ハイ、ハリー。ここにくるなんて珍しいわね」

「クイディッチの練習をしていたんだ。飛んでたら、シャーロットの姿が見えたから。勉強中?」

「まあね。試験もあるし」

「試験?シャーロット、まだまだ先じゃないか」

「そんなこと言ってたら、ギリギリになって焦るはめになるわよ」

からかうように言うとハリーは苦笑いをした。シャーロットはそのまま隣に座るよう勧めたところ、ハリーはゆっくり腰を下ろした。

「…こんなふうに話すの久しぶりな気がする」

「最近あなたたち、何か頑張っているみたいだしねー」

「うっ、それは」

「いいのよ。話さなくて。何かわけがあるんでしょ?」

シャーロットが笑うとハリーは安心するように息を吐いた。

「試験が終わったら、いよいよクイディッチ杯ね。その後は夏休みが来るわ。ここから離れるのはちょっと寂しいわね」

「そういえば、シャーロットはどこに住んでるの?ダンブルドアの家?」

「まあ、そうね。ホグズミードよ」

「ホグズミード?」

「ホグワーツの近くの村よ。魔法使いだけが住んでいる村なの。学校に行く前はそこで暮らしていたわ。」

ホグズミードの事を話すとハリーは興味深そうに聞いていた。

「三年生になったら、村へ行く許可がでるわ。そのときに案内するわね」

「やった!楽しみだな」

ハリーが嬉しそうに笑った。

「ハリーは叔母さんの家にいたんでしょう?叔母さんってどんな感じ?」

「ひどいもんさ。みんなが魔法を嫌いなんだ。従兄弟のダドリーはわがままで、殴ってくるし。」

「…そう」

「僕がちょっとおかしな事をすればすぐに部屋に閉じ込められるんだ。ここに入学する前も、動物園の蛇をけしかけたせいで、散々な目にあったよ」

「蛇?けしかけたの?」

「まあね。あっちが話しかけてきたからつい」

シャーロットはハリーの話を聞いてコロコロ笑った。

「あーあ、夏休みなんて来なければいいのに。あの家に帰らなきゃいけないなんて」

「夏休みはみんなで遊ぶ約束をしましょう。きっと楽しいわ」

シャーロットが慰めるように言うと、ハリーはそうだね、と微笑み返してくれた。

 

 

 

 

 

あー……、やっぱりアドバイスするべきだったか。

シャーロットは大幅に下がったグリフィンドールの点数を見て考えていた。

 

ノーバート事件。三人がシャーロットに隠れて行動したため、結局シャーロットは特に自分から動こうとはしなかった。試験の勉強に意識が流れていたせいもあるが。

どうやら原作通り、ノーバートはロンの兄の元へ送られたらしい。そして、帰りにうっかり透明マントを忘れ、フィルチに見つかった。マルフォイやネビルとともに大量減点、罰則まであるらしい。大幅に下がったグリフィンドールの点数に、学校中が大騒ぎだった。その後のハリーへの当たりの激しさは知っていたとはいえ、かなりのものだった。凄まじい嫌われっぷりだ。

「ハリー、ロン、ハーマイオニー。中庭でピクニックでもしましょう」

シャーロットが三人に声をかけると、三人はもちろん、大広間の生徒達も驚いたように目を向けた。戸惑う三人に微笑み、シャーロットは言葉を続けた。

「ランチを用意したの。おいしいお菓子もあるわ。行くわよね?」

微笑むシャーロットは妙な迫力があり、三人は黙って頷いた。

「放っておけよ、シャーロット」

「そうよ、私たちとランチしましょう」

それを見ていたシェーマスやラベンダーなどがシャーロットに声をかけた。周囲のグリフィンドール生も声を上げ始める。シャーロットはカチンときて、笑顔を消した。

「そんなにグリフィンドールの点数が下がったことが嫌なら、自分で点数を稼げば?」

「シ、シャーロット?」

「何が勇猛果敢なグリフィンドールよ。バカみたい。嫌がらせや文句を言う暇があるのなら、もっと行動しなさいよ。他の寮もそう。スリザリンに優勝されるのが悔しければ、あなたたちが点数を稼げば?幸運にもグリフィンドールのように大きな減点はないみたいだし。ああ、元々の点数がグリフィンドールほど高くなかったものね。でも、もっと他にやることがあるでしょう。成功を収めた時はありったけ持ち上げるのに、一度の失敗で今度はお荷物状態なのね。なんてバカでみっともなくて、情けない学校かしら。バカらしすぎて涙がでるわ」

シャーロットは静かに話したが、その声は大広間に響き渡った。周囲の生徒は無表情で話すシャーロットに恐れおののき、顔をひきつらせた。シャーロットは三人を促し大広間から出ていった。

 

 

 

「で?何があったの?」

「あの、シャーロット」

「言い訳も弁解もいいから。事実だけ正確に述べなさい。嘘は許さないわ」

中庭にて。シャーロットが初めて見せた怒りに、三人は恐れをなしポツリポツリと話し始めた。詳細を確認すると、やはり原作通りの展開のようだ。

「なんで私には話さなかったの?」

「…だって、シャーロットはダンブルドア先生が後見人だもの。きっと反対して、すぐに先生に報告するだろうって思って…」

「そうね、報告したと思うわ」

シャーロットがそういうと、三人はやっぱりと言わんばかりの顔を見せた。そんな三人の様子にイラッとしたため、

「あなたたち、本当にバカじゃないの!?」

シャーロットが吠えるように叫ぶと三人は身をすくめた。

「どうして言ってくれなかったの!せめて、卵の時に話してくれれば、お爺様は何とかしてくれたはずよ!生まれた後からでも、きっと何か方法を考えてくれたわ!ドラゴンなんて、一年生が背負うには大きすぎるじゃない!お爺様がハグリッドに目を掛けているのは知っていたでしょう!ハグリッドがアズカバンに行かなくてすむようにしてくれたはずだわ!」

シャーロットは三人の様子には構わず怒鳴り続けた。怒鳴りながら、自分が思っている以上に、三人が自分に隠れて秘密を共有していたことにショックを受けていたらしいと、自分自身で驚いていた。

「あなた達、甘すぎるのよ!なんでマルフォイにバレるような失敗をするの!なんでよりにもよって透明マントを忘れるの!真夜中に出歩くのはハグリッドだけでいいじゃない!彼は教職員なんだから見られてもご誤魔化しが利いたはずよ!」

「あ、あのシャーロット」

「そもそも、あなた達、誰も、何も気づいてないの!?ハリーやロンはともかく、ハーマイオニーも!?」

「え?え?」

「ドラゴンの卵は物凄く貴重なの!ハグリッドがドラゴンを飼いたがっているのは誰でも知っているわ!そんなハグリッドにたまたま、ドラゴンの卵を持っている人が現れたってのに怪しいとも思わないわけ!?」

シャーロットがそういうと三人は顔を青ざめさせた。

「…あ、そ、そうか。マズイ。どうしよう!」

「きっとスネイプだ!」

「…まず間違いなく、ハグリッドに卵を渡したやつは何か企んでいるんでしょうね。この後にでも、お爺様に話しに行くわ。大丈夫よ」

シャーロットが少し落ち着いて、そういうと三人は安心したようだった。

 

 

 

シャーロットは午後の授業の後、ハグリッドの元を訪ねた。授業に身が入らず、気が休まらなかった。何も感じていないであろう、ハグリッドにも一言言いたい。

「こんにちは、ハグリッド」

「おお、シャーロット。よく来たな」

ハグリッドは目が真っ赤だった。ノーバートと別れたことで大泣きしたらしい。

「あなたのドラゴンの事で話があるんだけど」

シャーロットが怒りを隠さずそう言うと、ハグリッドは驚いたようだった。

「な、なぜそれを?」

「ハリー達が話してくれたの。ハリーが真夜中に外出したせいで、減点されたのは知っているわよね?ハリーはあんなに学校生活を楽しんでいたのに、今では学校一の嫌われものよ」

シャーロットが睨むとハグリッドはオドオドと声を漏らした。

「で、でも、俺もノーバートとは別れさせられちまったし」

「あったり前でしょう!そのままドラゴンが大きく成長してたら、どうするつもりだったのよ!」

シャーロットが怒鳴るとハグリッドはさらに戸惑ったようだった。

「だ、だけどな」

「ハリー達はあなたのために危険を冒してまで、ノーバートの世話をして引き取り先まで用意してお膳立てまでして、その結果がこれよ!ハリーが学校中からバッシングを受けているっていうのになにも感じないわけ!?あなただって、生徒だったんでしょう?減点される辛さは知っているはずよ!ハリーは話そうと思えば、真実を言えるはずだわ!それを言わないのも、全部あなたのためじゃない!」

シャーロットがそういうと、ようやくハグリッドは現実が見えたようだった。

「お、俺はなんてことを!」

ハグリッドは小屋から凄い勢いで出ていった。シャーロットが慌てて追いかけるとハグリッドは大広間で、ハリーとハーマイオニーに

「すまん、本当にすまんかった。俺のためにすまん。ドラ…」

「ハグリッド!もういいから!」

「俺のせいだ。巻き込んですまんかった。ノーバー…」

「ハグリッド!」

ひたすら謝り続けていた。ハグリッドが秘密を言いそうになる度、三人が必死に止めている。ここでバレれば今まで苦労したのにすべて無駄になってしまう。大広間の生徒達は、何があったのだろうと不思議そうな視線を送っていた。

 

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