その後のことについては、三人よりもシャーロットの方が忙しくなった。大広間で学校中に喧嘩を売ってしまったため、周囲の生徒達はシャーロットにちょっとよそよそしくなった。元々、あまり親しい人は作っていなかったため、それは特にかまわない。ただ、あんなことを言った手前、シャーロットは行動を開始した。授業中は今まで以上に積極的に手を挙げ、先生が望んでいる以上の完璧な答えを述べた。宿題は今まで自制していたが、上級生が書くレベルの最上のレポートを作製した。それによってグリフィンドールの点数がやや上がり始めた。スリザリンにはまだまだ遠く及ばないが。
ところで三人組に対して、学校の生徒達は少し態度が軟化した。ハグリッドの謝罪は多くの人に見られていたため、よく分からないが、何か事件があったらしいと噂になった。まだまだ刺々しい空気は残るものの、少しずつやわらいでいった。試験が迫っているということもあるだろう。学校の意識は試験に向けられていき、生徒達は勉強に集中していた。
シャーロットが教科書を抱え、廊下を歩いているとニンニクの匂いが漂ってきた。角を曲がると、出会い頭にクィレルと鉢合わせした。
「…こんにちは。クィレル先生」
「こ、こ、これはミ、ミス・ダンブルドア。し、し、試験勉強ですか?」
「はい。できるだけ、満点を目指したいので」
「そ、それは、よ、よいことですね。き、今日はミ、ミスター・ポッターとは一緒じゃないんですか?」
クィレルは微笑んでいたが、目は全く笑っていなかった。
「ええ、彼は最近、考え事で頭がいっぱいで」
「か、考え事?」
「はい。赤ん坊に倒された闇の(笑)帝王とかいう人のことを考えていまして。赤ん坊に倒されるとか、当時は更年期障害でも抱えていたんじゃないですかね」
この言葉は半分本当だった。最近ハリーは賢者の石を守る方法ばかり考えている。クィレルが話しかけてきたのはそれを探っているのだと分かっていたが、その顔がムカついたので煽ってみた。予想通り、クィレルの表情が怒りで歪む。口を開いたその時、
「何をしているのかね」
「校長先生!」
シャーロットの後ろから、ダンブルドアが姿を現した。ダンブルドアの姿を見たクィレルは
「で、では、私はこれで!」
と走って逃げ出した。
「…シャーロット、あまり彼を煽らんでおくれ。君の身も危なくなるのは困るんじゃよ」
「あら、大丈夫です。私、そんな簡単にはスキを与えませんから。襲われても簡単には倒されませんよ。お爺様もご存知でしょう?」
シャーロットは挑むようにダンブルドアを見ると、彼は困ったように髭を撫でた。
「スネイプだ!」
「うーん」
「賢者の石を盗もうとしているんだよ!何とかしなきゃ!」
「うーん」
ハリーは罰則の後、興奮したように早口で言った。禁じられた森のなかでユニコーンが襲われる恐ろしい光景を見てしまったらしい。三人は口々に話す。そんな三人に対してどう口を挟めばいいのか分からず、シャーロットは曖昧な返事をした。
「シャーロット!どうすればいい?」
「いや、どうするも何も、お爺様がホグワーツにいる限り、賢者の石には手を出せないはずよ。それだけは絶対だわ」
「…でも」
「お爺様は例のあの人が唯一恐れる人。絶対に大丈夫よ」
シャーロットが断言すると三人は安心したようだった。
「…それよりも、スネイプ先生が犯人って本当なの?私にはどうしてもそう思えないんだけど」
シャーロットがそう切り出すと、ハリーが噛みついた。
「あいつに決まってるさ!あいつはフラッフィーのところに忍び込んで怪我までしたんだよ!」
「お爺様はスネイプ先生の事をとても信頼しているわ。私にはこの一連の騒動の犯人がスネイプ先生とはとても思えないのよ。」
「絶対にスネイプだ!あいつはクィレル先生を脅してる!僕は見たんだ!」
「何かの間違いじゃない?本当にそんな会話だったの?」
「…もういいよ!シャーロットには頼らないから!君も僕らの邪魔はしないでくれ!」
しまった、と思ったがもう遅い。ハリーは目を背けると談話室から出ていってしまった。ロンとハーマイオニーも慌ててハリーを追いかけていった。
やっぱり言うべきじゃなかったかな、とシャーロットは後悔し始めた。犯人はスネイプ先生ではない事はいつか言わなければならないと思っていたが、完全にタイミングと言葉を間違えた。こんなふうにこじれてしまうなんて。あれ以来、ハリーは全くシャーロットに話しかけない。目も合わせようとはしなかった。ロンやハーマイオニーとは普通に話すが、二人もスネイプ先生を犯人と考えているのは明白だった。そんな三人を見て、シャーロットは無理して説得するのを諦めた。
ホグワーツで試験が始まった。シャーロットは筆記試験では完璧な回答をし、実技では教授達が求めている以上の技術を見せた。