あの子はこの世界が嫌い   作:春川レイ

18 / 118
準備

「今夜、三人であの廊下に行くことになったの」

試験最終日。ハーマイオニーがランチの際、こっそりとシャーロットに話しかけてきた。

「今夜?いきなりね」

「ええ。実は、マクゴナガル先生が話していたの。シャーロット、ダンブルドア先生は魔法省に、急な呼び出しを受けたらしいの。今夜、先生が不在なのよ。おそらくスネイプ先生が忍び込むつもりよ」

シャーロットは難しい顔をした。

「危険だよ。他の先生に言った方がいい」

「言ったわよ、もちろん!でもダメ。マクゴナガル先生は相手にしてくれないの」

やっぱりダメか。まあ、分かっていたが。

「…くれぐれも気をつけて。何かあったらすぐに逃げるのよ」

「ええ、分かってる」

ハーマイオニーはコクリと頷いた。

 

 

 

「うーん、素晴らしい。これならいけるわね」

シャーロットは四階の廊下の奥にて腕を組んでうんうんと頷いた。今は一人で、時刻は夕方である。夕食を早めに切り上げて、一連の罠を確認に来た。フラッフィー、悪魔の罠、空飛ぶ鍵、魔法のチェス、トロール、そして今、論理パズルを前にして安心していた。三人に、何も言わず送り出すつもりではあったが、もしかしたら突破不能な罠が仕掛けられているかも知れないため、確認に来たのだった。論理パズルの奥にはみぞの鏡があるのだろう。あの三人ならば絶対に突破すると分かっていた。

「ハーマイオニーがいれば大丈夫だろうし、ロンもいるからチェスもオッケーね。よかった」

まさか、原作とは違った罠があるのではないかと勘ぐっていたが、それはないようだった。

 

 

 

真夜中、ハーマイオニーがこっそり寝室から出ていくのを確認し、しばらくシャーロットはベッドの上で待っていた。まるで何も悪いことなんか起こりそうもない、静かな夜だ。三人の事を思い、目を閉じる。どうか、予定外の事なんて起こりませんように。

それから少しあと、シャーロットが寝室から出ていくと、談話室でネビルが固まっているのを見つけた。シャーロットは苦笑し、「フィニート・インカンターテム」を唱える。ネビルはたちまち元に戻った。

「シャーロット!どうしよう!ハリーとロンとハーマイオニーが!僕、止められなかった!」

「大丈夫よ、ネビル。分かっているから。今から三人を追いかけに行くわ」

「そんな!君まで行くの!?」

ネビルは絶望したように表情を歪める。そんなネビルを安心させるように微笑んだ。

「大丈夫よ。ネビル。あの三人は校長先生の宝物を守りに行ったの。今から校長先生が帰ってくるから、二人で助けに行くわ」

「え?宝物?そ、それって、だ、大丈夫なの?」

「んー、まだ完全に大丈夫とは言えないの。でも朝食には間に合わないかもね」

シャーロットはクスリと笑うと、言葉を続けた。

「ネビル、あなたは本当に勇気がある人ね。その勇気できっと私たちはたくさん助けられるの」

「シャーロット?」

「意味が分からないでしょう?それでいいのよ。あなたはあなたのままでいて。ネビルにはたくさんの可能性が眠っているんだから。自分を信じることを恐れないで」

シャーロットがそう言うと、ネビルは困惑したような顔をしたもののコクリと頷いた。

「あと、ネビル、お願いがあるの。朝になっても私たちが戻らなかったら、朝食を用意しててくれない?大広間から持ってきてほしいの。三人分。」

「え?いいけど四人じゃないの?」

「ええ、三人分」

シャーロットはそう言い切り、もう一度ネビルを安心させるように笑うと、グリフィンドール寮から出ていった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。