「今夜、三人であの廊下に行くことになったの」
試験最終日。ハーマイオニーがランチの際、こっそりとシャーロットに話しかけてきた。
「今夜?いきなりね」
「ええ。実は、マクゴナガル先生が話していたの。シャーロット、ダンブルドア先生は魔法省に、急な呼び出しを受けたらしいの。今夜、先生が不在なのよ。おそらくスネイプ先生が忍び込むつもりよ」
シャーロットは難しい顔をした。
「危険だよ。他の先生に言った方がいい」
「言ったわよ、もちろん!でもダメ。マクゴナガル先生は相手にしてくれないの」
やっぱりダメか。まあ、分かっていたが。
「…くれぐれも気をつけて。何かあったらすぐに逃げるのよ」
「ええ、分かってる」
ハーマイオニーはコクリと頷いた。
「うーん、素晴らしい。これならいけるわね」
シャーロットは四階の廊下の奥にて腕を組んでうんうんと頷いた。今は一人で、時刻は夕方である。夕食を早めに切り上げて、一連の罠を確認に来た。フラッフィー、悪魔の罠、空飛ぶ鍵、魔法のチェス、トロール、そして今、論理パズルを前にして安心していた。三人に、何も言わず送り出すつもりではあったが、もしかしたら突破不能な罠が仕掛けられているかも知れないため、確認に来たのだった。論理パズルの奥にはみぞの鏡があるのだろう。あの三人ならば絶対に突破すると分かっていた。
「ハーマイオニーがいれば大丈夫だろうし、ロンもいるからチェスもオッケーね。よかった」
まさか、原作とは違った罠があるのではないかと勘ぐっていたが、それはないようだった。
真夜中、ハーマイオニーがこっそり寝室から出ていくのを確認し、しばらくシャーロットはベッドの上で待っていた。まるで何も悪いことなんか起こりそうもない、静かな夜だ。三人の事を思い、目を閉じる。どうか、予定外の事なんて起こりませんように。
それから少しあと、シャーロットが寝室から出ていくと、談話室でネビルが固まっているのを見つけた。シャーロットは苦笑し、「フィニート・インカンターテム」を唱える。ネビルはたちまち元に戻った。
「シャーロット!どうしよう!ハリーとロンとハーマイオニーが!僕、止められなかった!」
「大丈夫よ、ネビル。分かっているから。今から三人を追いかけに行くわ」
「そんな!君まで行くの!?」
ネビルは絶望したように表情を歪める。そんなネビルを安心させるように微笑んだ。
「大丈夫よ。ネビル。あの三人は校長先生の宝物を守りに行ったの。今から校長先生が帰ってくるから、二人で助けに行くわ」
「え?宝物?そ、それって、だ、大丈夫なの?」
「んー、まだ完全に大丈夫とは言えないの。でも朝食には間に合わないかもね」
シャーロットはクスリと笑うと、言葉を続けた。
「ネビル、あなたは本当に勇気がある人ね。その勇気できっと私たちはたくさん助けられるの」
「シャーロット?」
「意味が分からないでしょう?それでいいのよ。あなたはあなたのままでいて。ネビルにはたくさんの可能性が眠っているんだから。自分を信じることを恐れないで」
シャーロットがそう言うと、ネビルは困惑したような顔をしたもののコクリと頷いた。
「あと、ネビル、お願いがあるの。朝になっても私たちが戻らなかったら、朝食を用意しててくれない?大広間から持ってきてほしいの。三人分。」
「え?いいけど四人じゃないの?」
「ええ、三人分」
シャーロットはそう言い切り、もう一度ネビルを安心させるように笑うと、グリフィンドール寮から出ていった。