チャーリーことシャーロット・エバンズは目の前の老人を怪しみながらも、不思議な感覚に包まれていた。ダンブルドア?どこかで聞いた気が…。
『お姉ちゃん、ダンブルドアは割りと腹黒いよ』
あれ?そう言ったのは誰だっけ?この人と会うのは初めてなのに…。
その瞬間、シャーロットの脳裏に本を抱える少女がよみがえった。そして全てを思い出した。ここ、ハリー・ポッターじゃん!
シャーロットは以前、日本で暮らす一般人だった。なぜ、私は海外、イギリスの孤児院にいるの?と戸惑っているうちに記憶が流れ込んでくる。私は日本人、名前は忘れたけど、妹がいた。妹は大のハリー・ポッターファンだった。その妹からよくハリー・ポッターの話を聞かされていた。本も読んだし映画も観た。
なぜ自分は今、小さな少女で、しかもイギリスにいるのか?よく分からないが、前世の世界でよく聞いた転生とかいうやつだろうか?シャーロットは必死に記憶を探るが死んだ記憶はなかった。死んだ記憶どころか、妹とハリー・ポッターの事しか思い出せない。そんなシャーロットを見つめるダンブルドアはニコニコ笑いながら、話しかけた。
「チャーリー、君は魔女じゃよ。不思議な能力が使えるじゃろう?それは魔法なんじゃ。」
「あ、はい、そうですか…。」
さっきまでの警戒心剥き出しの姿から突然途方にくれたかのように呆然とするシャーロットに対して、ダンブルドアはうんうんと何度も頷きながら話を続けた。
「驚いたじゃろう。君はマグルの世界で暮らしておったからの。君のご両親はマグルじゃが、君は魔女としての才能があるんじゃ。おっと、マグルというのは非魔法使い、魔法を使えない人々の事をいうんじゃよ。」
勝手に話し続けるダンブルドアに対して、シャーロットは、いや、驚いてるのは自分が転生した事なんですけど、とは言えなかった。ただただ呆然とダンブルドアの話を聞いていた。
「チャーリー、君に会いに来たのは他でもない。君を引き取りに来たんじゃよ」
「え?」
シャーロットは驚きであんぐりと口を開けた。
「あなたが、私を?」
「そうじゃ。君の後見人となり、君の保護者となる。ホグワーツに入学するまでの世話も援助しよう。」
「ホグワーツ…」
「ああ、君が11歳になったら入学する魔法学校じゃよ。わしはそこで校長をしておる」
「じゃあ、入学するまではあなたと暮らすんですか?」
「いや、わしは普段ホグワーツで生活しておるからの。入学するまではホグワーツのそばにある、ホグズミード村に住居を用意しよう。君のための世話人もつけるから大丈夫じゃよ。」
次々と降ってわいてくる話にシャーロットは混乱しながら頭のなかで話を纏めた。自分はこのクソみたいな孤児院を出て、ホグズミード村に住めるらしい。しかし…、
「なぜなのです?あなたは偉い立場にいるようですが、なぜ、私を?」
ダンブルドアは少し悲しそうにしながら口を開いた。
「おお、それを聞いてくるか。チャーリー、君は賢いの。わしはてっきりすぐにこの話に飛び付くと思ったんじゃが。」
「質問に答えてください。」
ダンブルドアは首をふりつつ答えた。
「すまないが、それは言えんのじゃ。実は少し込み入った理由があっての。まだ幼い君には言えん。いつかその時がきたら、全てを話そう。それではダメかの?」
シャーロットは怪しみながらも折れた。
「分かりました。あなたと共に行きます。」
ダンブルドアは目をキラキラと輝かせながらニッコリ笑った。
「そうか!君ならそう言ってくれると思っておったよ。それならばチャーリー、今すぐ手続きしようかの」
「ひとついいですか?お願いがあります」
「なんじゃ?」
「その呼び名、やめてもらっていいですか?」
ダンブルドアは不思議そうな顔をした。
「呼び名?」
「私の名前はシャーロット・エバンズです。チャーリーは母だけの特別な呼び名なので。」
シャーロットがそう言うと、ダンブルドアは再びニコニコと笑いながら、
「君はお母さんの事を深く愛しておったようじゃな」
と呟いた。シャーロットはフンと鼻を鳴らし、ダンブルドアから目を背けた。
その後、ダンブルドアは面倒な手続きを終え、その日にシャーロットは新しい名を手に入れた。
シャーロット・グレース・ダンブルドアと書かれた書類を見つめながら、そういえば美しく優しい母の名前はグレースだったっけ、と思い出した。
シャーロットとダンブルドアは孤児院から追い出されるように外に出た。シャーロットが親戚でもない怪しい老人に引き取られるというのに、孤児院の職員は大喜びだった。厄介払いができたことに嬉しさを隠しきれていない職員や子供達を睨みながら、シャーロットは新しい世界に足を踏み入れた。