コツ、コツ、コツ、……
誰もいないホグワーツの廊下、シャーロットの足音だけが響く。
全生徒が列車に乗ったあと、シャーロットはしんとしている学校を歩いていた。自分も準備をして、アンバーの待つ家に帰らなければ。
その時、廊下の先からダンブルドアが現れた。シャーロットの足がピタリと止まる。お互いに数メートルほど離れて向かい合って立っていた。
ダンブルドアはニッコリ笑って口を開いた。
「シャーロット、この一年よく頑張ったの。わしは君を誇らしく思っておる。君は素晴らしい魔女じゃ」
ダンブルドアがシャーロットを褒め称える声がシャーロットの耳に届いた。シャーロットもダンブルドアにニッコリと笑い返した。
「いかがでしたか。あなたの育てた人形は」
シャーロットの言葉にダンブルドアは笑顔を消した。
「……シャーロット」
「ご満足でしょうね。ハリーは見事にあなたの手のひらで愉快にダンスステップを踏んでいました。英雄の最初の一歩として上々でしたね」
シャーロットは笑顔で続ける。
「不思議だと感じていました。四階の廊下、どう考えても一年生が頑張ればギリギリ突破できる程度だったので。あれは罠なんかじゃない。ハリーへの試練ですよね」
ダンブルドアは黙っていた。
「この一年、楽しかったですよ。私も介入すべきかどうかずっと悩みました。もっと改変することもできたんです。それをほとんどしなかったのはやっぱりありのままの世界を愛していたから、なんですよね。」
「……それはどういう意味かの?」
「ああ、分からなくていいです。こっちの話だから。でも、私は主人公じゃない。あなたの手駒にはなりたくありません。あなたの作った世界であなたの思う通りに、人形のように生かされるのが嫌なんです。あなたにはとても感謝しています。今も、これからも。でも、私の事を手駒程度にしか見ていないなら、あなたには心から失望します」
シャーロットは話を続ける。
「来年から、私は少しずつ世界をねじ曲げていきます。あなたが自分の信念を貫き、影で糸を引くのなら、私も自分から行動を起こしていきます。私は、ハリー、ロン、ハーマイオニーが大好きなんです。彼らが傷つくのは許さない」
最後にシャーロットは呟いた。
「あなたが操る世界なんて、クソ食らえ」
そうしてシャーロットはクルリと背を向けると再び歩きだした。後ろからダンブルドアの声が聞こえたが無視をした。
「待つのじゃ、話をしよう、シャーロット、シャーロット!」