ハリーは車の中で、手紙が来なかった事やドビーの件を話した。
「一体その屋敷しもべ妖精は何者なんだ。今年、ホグワーツで何が起こるっていうんだ」
「分かりません。ドビーは何もいいませんでした」
ウィーズリー氏はじっと考え込んでいる。
「そいつ、何を知ってるんだろう。シャーロットはどう思う?」
「…分からない。でも、その様子なら何かまたしてきそうね」
シャーロットがそう言うと、ハリーはげんなりとしていた。
その日の夕方、ハリーがウィーズリー家に到着すると、家族は大歓迎をした。ジニーは顔を赤くしてハリーを見つめており、シャーロットは将来夫婦になる幼い二人を見てほっこりしていた。
それからの数日はとても平和だった。シャーロットはハリーとロンの宿題を手伝ったり、双子と悪戯をしかけ怒られたり、みんなで箒に乗りキャッチボールをして遊んだ。ちなみにシャーロットの箒の腕はそこそこだ。下手ではないが、クィディッチ選手になるほど特別に上手いわけではない。それでも、箒に乗って空を飛ぶのは素晴らしく楽しい。箒を自由自在に操り、空を駆けるハリーの姿を見て、シャーロットは自分もクィディッチ選手になりたかったな、と羨ましく感じた。
「ホグワーツから手紙が来たわよ!」
ウィーズリー夫人の声が響き、子供たちが集まる。当然のようにハリーとシャーロットの分の手紙も来ていた。
「見ろよ!ロックハートのオンパレードだ!新しい先生はロックハートのファンにちがいない!」
ロンが唸るのを見て、シャーロットは危うく本人よ、と声をかけそうになった。
「ダイアゴン横丁に買い物に行かなくちゃ。」
さっそく買い物に行くべく、準備を始めたみんなに、シャーロットは声をかけた。
「あの、すみません。実はちょっと家の用事を思い出したんです。私は買い物に同行せず、一度帰りたいと思います。」
「え?シャーロット、教科書はどうするの?」
「後で自分で揃えるから。心配しないで。それよりも、…注意してね」
「え?何が?」
「まあ、いろいろと。ハーマイオニーによろしくね」
シャーロットはハリーに曖昧に微笑んだ。そしてウィーズリー家の両親にこれまでのお礼をいうと、みんなの別れを惜しむ声を背に、ウィーズリー家を後にした。
「ジニーには悪いなぁ」
シャーロットは独り言を呟く。ダイアゴン横丁の書店で、ルシウス・マルフォイに日記帳を渡されるだろう。それを阻止しようかとも考えたが、それによって原作の流れが変わり、他の人物が日記帳を手にする恐れも十分にある。それよりは流れに逆らわず、ジニーに日記帳を手にいれてもらおうとシャーロットは考えた。しかし、罪悪感が心に重くのしかかる。
「さて、こちらはこちらでドビーの対処をしなくちゃね」
教科書の購入はアンバーに事前に手紙で頼んだので、そちらは心配いらない。シャーロットはキングス・クロス駅に足を踏み入れた。
駅の中、ベンチで購入したココアを飲みながら、9と4分の3番線に繋がる壁を見つめる。ドビーはハリーを締め出してしまうつもりだ。どうすればいいだろうか。
「ドビーを説得する?でも会えるとは限らないし。いっそ、何も手を出さないで置くべき?」
シャーロットは考えたが、一向にまとまらない。でも、できれば彼らには安全に学校へ行ってほしいのだ。
「……そうだ。頼んでみようかな」
シャーロットはある考えを閃いた。これなら、きっと安全に学校に行けるはずだ。きっと二人からは文句を言われそうだけど。シャーロットはそんな二人を想像して苦笑する。
そして、再度巡ってくるホグワーツの一年に思いを馳せながら、駅を後にした。