「なんでスネイプなんかを連れてくるんだい。よりにもよって!」
ハリーとロンはホグワーツに続く道を歩きながらブツブツ文句を言っている。
シャーロットは二人をなだめつつ一緒に二人の荷物を運んでいた。自分の荷物は事前にホグワーツに送ってある。
スネイプ先生に頼んだのはシャーロットの頼みを断らないだろうと考えたからである。特にハリーが関わる事ならば。
「なんで、列車に通じる入り口は開かなかったんだろう」
「壊れたんじゃないか。魔法の効力が切れたとか」
「違うわよ。よりにもよって二人が通る瞬間に入り口が塞がれるなんておかしいじゃない。直前まで開いていたっていうのに。どうしてもハリーを学校へ行かせたくなかったんだわ」
「え?じゃあ…」
「私はハリーが話していたドビーとかいう屋敷しもべ妖精が仕組んだと思うわ」
「ドビーが?でも、なんで?」
「そいつは一体何が目的なんだよ!?」
「…分からない」
三人は話しながら学校に到着した。途中二人はホグズミード村を興味深く眺めていたが、一年後には行けるのだからとシャーロットは引っ張るようにして連れてきた。
学校では意外な人物が三人を出迎えた。
「久しぶりじゃの。元気だったかの」
「…校長先生」
シャーロットは静かにダンブルドアを見つめた。
「ダンブルドア先生!列車の入り口が…」
「分かっておるよ、ハリー。スネイプ先生が話してくれた」
ダンブルドアはニコニコ微笑んでいた。シャーロットは自分から話すとは言ったが、あのしかめっ面の教授はわざわざ上司に報告したらしい。
「調査を頼んだから、入り口についてはすぐに分かるじゃろう。さあ、三人とも今日は一番乗りじゃ。大広間に行きなさい」
そう言うとダンブルドアは静かに去っていった。シャーロットはほっと息をついた。ダンブルドアと話すのは夏休み前のあの出来事以来である。ダンブルドアはハリーやロンがいたためか、シャーロット個人には話しかけようとしなかった。正直安心した。結局のところ、シャーロットはダンブルドアに喧嘩を売るような発言をしたものの、自分の保護者でもあるあの魔法使いが本当は怖いとも感じるのだ。いつか、話さなくてはならないとは分かっていたが、今は避けたかった。
荷物はいつの間にか二人の制服を残し、消えていた。ダンブルドアが寮まで送ってくれたらしい。ハリーとロンは適当な教室で着替えをして、三人は大広間に向かった。
大広間は入学式前でガランとしていた。もうすぐ列車が到着し、生徒たちが学校に入ってくるだろう。三人は雑談しつつ待った。やがてガヤガヤと生徒が入ってきた。
「ハリー、ロン、シャーロット!」
声がし、振り替えるとハーマイオニーが3人の元へ走ってきた。
「ハーマイオニー、久しぶり」
「久しぶり、シャーロット。ハリー、ロン、どこにいたのよ!?シャーロットはともかく、あなたたち二人が列車のどこを探してもいないから、ロンのお兄さん達が乗り遅れたかもしれないって…」
「乗り遅れたっていうか、そもそも乗れなかったんだ」
三人が小声で事の詳細を手短に説明した。
「何なの?その屋敷しもべ妖精は。何がしたいのよ」
「それが分かれば苦労しないよ」
四人はブツブツ話す。途中、ウィーズリー兄弟も大広間に入ってきた。ウィーズリー兄弟はハリーやロンが来ていたことにほっとしていた。事情を聞きたがっていたが、すぐに入学式が始まった。
「…ねえ、あれ」
「あ、シャーロットははじめてね!ギルデロイ・ロックハート先生よ!あの有名な本の作者!今年の『闇の魔術に対する防衛術』の先生なんですって。」
ハーマイオニーがうっとりと教職員席のロックハートを見つめた。シャーロットは顔をしかめる。
「シャーロットはロックハートのファンじゃないの?」
「よしてよ、ハリー。こればかりはハーマイオニーの目を疑うわ。」
ハリーと小声で話す。ハーマイオニーはうっとりとするのに夢中で気がついていない。周囲の女子生徒はハーマイオニーと同じ目をしているものが少なくなかった。
「僕もあいつ嫌いだ」
「何かあった?」
「ダイアゴン横丁での買い物の時にね…」
そう話し続ける間に、一年生の組分けがどんどん進んでいく。終盤に、
「ウィーズリー・ジネブラ!」
ロンが少し身を乗り出した。
「グリフィンドール!」
少しの間の後、帽子は叫んだ。ジニーは緊張が解けたようにグリフィンドールの席へ向かってくる。ウィーズリー兄弟が一際大きな歓声を上げた。
「これからよろしくね。ジニー。」
「シャーロット!ありがとう」
ジニーは嬉しそうに笑っている。これからの一年を想像してシャーロットは歓声の中、少し物思いにふけった。
それからの入学式は順調だった。ダンブルドアのお祝いの言葉と注意事項を聞いたあと、たくさんのご馳走を食べた。
全てが終了し、生徒が寮へ戻るなか、シャーロットはこっそり抜け出した。
シャーロットが向かったのはマートルが住む女子トイレだった。トイレには足を踏み入れずに、入り口にたたずむ。トイレの入り口をじっと見つめる。奥にあるであろう、秘密の部屋に心の中で宣戦布告した。お前の好きにはさせない。倒してやるから待ってろ、バジリスク。