新学期、シャーロットの周りは穏やかだった。授業では相変わらずハーマイオニーと張り合うように手を挙げ、点数を稼ぎ、しっかり予習復習をする。
それに比べてかわいそうなのはハリーである。ストーカー×2、すなわちロックハートと一年生のコリン・クリービーにひたすら追いかけられていた。
「ハリー、大丈夫?」
「……ここが一番落ち着くよ」
シャーロットがハーマイオニーと図書館で勉強している横で、ハリーはぐったりと机に突っ伏していた。
「マダム・ピンスの目が光っているものね」
「しっ、静かに!」
マダム・ピンスが睨み付けているため、慌ててシャーロットは口を閉じた。
今日はロックハートの初めての授業である。
「ハリー、ロン、ハーマイオニー」
後ろから三人を呼ぶと振り返った。有無を言わさずシャーロットは突然三人にシュッと何かを振りかける。
「キャッ」
「うわっ」
「臭い!なにこれ!」
柑橘系のようなきつい臭いが漂う。シャーロットは香水を振りかけていた。
「シャーロット、なにするのよ!」
「大丈夫。においなら徐々に消えるから。今日はこれをしておいたほうがいいのよ。」
「何だよ、それ!」
「あとから分かるわ」
そう言うとシャーロットは他のグリフィンドール生にも香水を振りかけに行った。グリフィンドール生は三人と同じように突然香水を振りかけられ大騒ぎをしていた。
「何してるの?あれ。」
「…シャーロットって時々意味わかんないよな」
三人は首をかしげつつシャーロットを見守っていた。
「全員私の本を揃えたようだね。大変よろしい!」
闇の魔術に対する防衛術。ロックハートがきらめく笑顔を見せ、女子生徒はうっとりとしていた。
最初は教科書を読んだか確認するミニテストだった。シャーロットは馬鹿らしさにうんざりしつつ、適当に回答を書く。いつものテストなら満点を目指すが、全くやる気が出なかった。ミニテストではハーマイオニーが満点を取り、ロックハートに誉められ顔を赤くしていた。
そして、
「さぁ、それでは…君たちがピクシーをどう扱うかやってみましょう!」
ロックハートは授業に、もちろんピクシー妖精を連れてきていた。意気揚々と籠を開ける。籠からたくさんのピクシー妖精が飛び出し、生徒たちの方へ飛んできた。しかし……、
『ギャアァァァァッ』
生徒へ近づくと、突然ピクシー妖精は悲鳴をあげるように飛び退いた。生徒たちは首をかしげる。標的に何もできないピクシー妖精は生徒以外の人物に標的を変えた。
「こ、こら!何をするんです!やめなさい!あっちへ行け!」
ロックハートはピクシー妖精に耳を引っ張られ、杖を奪われる。インクの瓶を顔にぶちまけられ、しまいには天井に吊るされた。
「せんせーい、私達はまだ二年生でどうすればいいか分からないので、先生に全てお任せしまーす。本に書かれた通りの実績をお持ちなら、大丈夫だと思うので。それでは授業も終わりなので失礼しまーす。」
シャーロットは天井のロックハートへ平然と告げると他の生徒たちを追いたてるように教室から出ていった。
「何だったんだ、あれ!?」
「シャーロット!あなた、何したの!?」
「……ロックハート先生が、最初の授業でピクシー妖精を使って生徒たちの対処を見るって言ったのを聞いたの。朝の香水は、ホグズミードで買った『妖精コロリフレグランス』。妖精はあのにおいを嫌うのよ。」
「でも、先生に悪いんじゃ…」
「何が悪いの。ちゃんと対処したじゃない。」
シャーロットは顔をツンとさせると足早に教室から離れた。三人は慌てて追いかけた。