「ねえ、シャーロットってロックハート先生が嫌いなの?」
ハーマイオニーがそう聞いてきて、少し返答に迷った。
「……まあ。ちょっと胡散臭いと思ってる」
「どうしてよ!?素晴らしい実績を持つ先生じゃない!」
それが本人の物だったらね、とシャーロットは思ったが口に出さず曖昧に笑って誤魔化した。
土曜日、朝からロン、ハーマイオニーとクィディッチの練習を見に行くことにした。競技場へ行くと、クィディッチの競技場ではユニフォームを着たグリフィンドール生とスリザリン生が睨み合っていた。ああ、そういえば今日はドラコ・マルフォイが選手に決まったことが判明した日だった。シャーロットはぼんやりと思い出した。シャーロットは選手ではないので、とりあえずは口を出さず、どうするべきか考え始めた。そんな中、ニンバス2001を持つマルフォイにハーマイオニーがきっぱりと言い放った。
「少なくとも、グリフィンドールの選手は、誰一人お金で選ばれたりしないわ。こっちは純粋に才能だけで選手になったのよ」
マルフォイの顔が歪む。
「誰もお前の意見なんか求めていない。この、『穢れた血』め」
ハーマイオニーは意味が分からないが、ひどい言葉で罵られたことは察したらしく眉をひそめた。グリフィンドール生は今にもマルフォイに殴りかかりそうだった。ロンは顔を赤くして杖を振り上げた。
「エクスペリアームス!」
シャーロットは素早くロンの杖を奪った。
「シャーロット!なんで邪魔するんだ!そいつは…」
「こらえなさい!ロン・ウィーズリー!今、マルフォイに呪いをかけたら減点よ!」
「減点が何だって言うんだ!」
ロンは怒りのあまりシャーロットまで睨み付けた。シャーロットはロンから目を離すと、マルフォイに向き直った。
「…マルフォイ」
「何だよ、ダンブルドア。校長にでも泣きつくつもりかい?」
「まさか。あなたがそんな汚い言葉を使うのなら一つ言わせてもらうわ。まずはスリザリンの代表選手、おめでとう。」
シャーロットは挑戦するような笑みをマルフォイに向けた。
「これで、堂々とハリーがあなたを負かす機会が出来たってことね。」
「なっ…!」
「それにしても、あなたのその誇るべき純血は、何の役に立ってるのよ。あなた、純血の癖に私よりもハーマイオニーよりも成績は下じゃない。これでハリーにも負けたら面目丸潰れね。」
マルフォイの顔が憎しみに染まった。
「ウッド。今日のところは引きましょう。彼らがスネイプ先生の許可を貰っている以上、諦めた方がいいわ」
「いや、だけど…!」
「心配しなくても、一度休んだだけでグリフィンドールは負けないわ。絶対に。今後はこっちもマクゴナガル先生の許可を事前に貰えばいいじゃない。彼らにはハンデをあげましょう。」
スリザリンの選手達はシャーロットを睨み付けた。シャーロットはその視線を無視すると、ウッドをはじめ、他のグリフィンドール選手を説得した。最後までウッドは悔しそうな表情をしていたが、シャーロットの説得に折れたのだった。
寮への帰り道、ロンはまだ不満そうな顔をしていた。
「ごめんね、ロン。でも、後悔してない。あそこでマルフォイに手を出すべきじゃなかったわ。」
「…シャーロットは悔しくないのかよ。」
「悔しいわ。悔しいに決まってるじゃない!私のママもマグルなのよ。あんな言葉をハーマイオニーに言うなんて。私が言われたも同然だわ!私だってマグル生まれよ!私が何も感じていないと思うの!」
シャーロットが大きな声でそう言って歯を食いしばったため、ロンはハッとしてシャーロットの顔をまっすぐに見た。
「あそこでマルフォイに呪いをかけたら、あいつの思う壺よ。ロンが罰則よ。それどころか、スネイプ先生の事だから、ハリーや関わった選手達は出場停止にされる危険だってある。」
「…シャーロット、ごめん」
「ううん。私もごめんね。本当はマルフォイの顔にパンチをいれたかったの。でも、きっと、試合でハリーが勝ってくれるわ。絶対に、絶対に!」
「…そうだよな!」
シャーロットとロンは頷き合った。ハリーとハーマイオニーはとりあえずどう口を挟めばいいのか分からず、黙って二人を見つめていた。