「うーん、満月草、ニワヤナギに、あとは…」
「大丈夫?できそう?」
「ん。いけるよ」
「それにしても、あなた、どこでこんな材料を手にいれたの?」
「趣味でいろいろ作ってみたくて。夏休みに揃えたのよ」
「僕は遊びでも魔法薬は作りたくないけどなぁ」
シャーロットのポリジュース薬作りは順調だった。材料が足りなくて、危ない方法でスネイプ先生の倉庫に忍び込むなんて冗談じゃない。シャーロットは夏休みのうちに必要になりそうな材料は前もって買っておいた。こうして危険な橋を渡らずに、無事に材料は全て調達できた。
「誰に変身する?」
「やっぱりクラッブとゴイルがいいんじゃないかしら。あとは、パーキンソンかブルストロードあたりかしらね」
「そいつらの体の一部なんてどうやって集めるんだい」
「まだ考え中よ。ポリジュース薬の完成はまだまだだし。確実な方法を考えないと」
「うーん。まだ煮込まないとダメね。今日は寮に帰りましょうか」
「うん。僕もそろそろ帰って休まないと。もうすぐクィディッチの試合だから、明日も朝から練習なんだ」
「あぁっ!」
「うわっ!どうしたんだよ!」
「薬に何かあったの!?」
「う、ううん。何でもない。えへへ」
シャーロットはハリーの言葉に大声をあげた。まずい。秘密の部屋の対策に熱中しすぎて、クィディッチの試合の事を忘れてた。どうするか。ドビーはブラッジャーに細工をするはずだ。できればハリーに怪我をしてほしくない。しかし、去年のようにブラッジャーのレプリカを作る時間は残っていなかった。最悪、あの能無しによる骨抜き事件だけでもどうにかしなければ――。
「…あー、もう考える事が多すぎる!」
シャーロットは思わず呻いた。
「お邪魔します!」
翌日の夕方、シャーロットは地下にある梨の絵画をくすぐり、厨房へ飛び込んだ。中にいる屋敷しもべ妖精が一斉に振り返り、驚きつつ、いらっしゃいませと声をかけてくれた。
「お願いがあるの。もしよければ、小さなお菓子とかないかしら?」
「こちらはどうでしょうか!」
チョコレートやキャンディ、スコーンなどがシャーロットの前に差し出される。
「あ、これにしましょう」
手に取ったのは、小さなサイズのエクレアだった。シャーロットは鞄から注射器を取り出すと、いくつかのエクレアに中の薬液を少しずつ注入した。その様子を見て、てっきりお菓子を食べに来たと思っていた屋敷しもべ妖精達は困惑していた。
「あの…」
「ああ、気にしないで。サプライズのためなの。誰にも言わないでちょうだいね」
シャーロットがニッコリと笑うと、屋敷しもべ妖精達は戸惑ったようだが頷いてくれた。
「じゃあ、ありがとう!」
シャーロットはエクレアを抱えお礼をいうと、厨房から去っていった。
クィデッチの試合の前日、ギルデロイ・ロックハートの元に、きらびやかな便箋のファンレターとプレゼントが贈られた。
『ギルデロイ・ロックハート様
はじめまして。あなたの本の大ファンです。あなたの本を読んで、偉大な功績に涙し、とても感動しました。あなたは未来の魔法界に必要な英雄だと思っております。恥ずかしくて今までファンレターなどだしたことがないので、失礼でしたら申し訳ありません。でも、あなたの本に感動して、どうしてもその事を伝えたかったのです。これは私が貴方のために初めて作ったお菓子です。ぜひお召し上がりください。
あなたの大大大ファンである魔女より』
「なんとまあ、またもや私のファンがプレゼントを!まあ、こんなお菓子、いつももらっていますがどうしてもというならば食べてあげましょう!」
ロックハートは特に何も疑問を抱かず、そのエクレアを大きく頬張った。