真夜中。今までのお祭り騒ぎが嘘のように静まっている。今頃ハリーはドビーと話しているだろうか。シャーロットは談話室で静かに椅子に座っていた。手にはカメラを持っている。ハリーの骨がなくなるのは止められたが、腕が折れるのは防ぎきれなかった。その事が罪悪感となり胸に積もっていく。動き出した物語は止まらない。きっと、これから何度も物語の流れを変えられない自分の無力さを胸に溜め込んでいくのだろう。でも、シャーロットは少しでもいいから、何かを変えていきたかった。
「コリン、いるのは分かっているわ」
シャーロットが口を開くと、コリンがビクビクしながら談話室にやって来た。シャーロットがいるから、寮から出られず困っていたのだろう。
「ハリーのお見舞いに行きたいのね」
「…うん。あの、僕、」
「はい。あなたのカメラよ。返すわ。さっきは怒鳴ってごめんね」
シャーロットがカメラをコリンに差し出すと、コリンは驚いたように目をパチクリさせた。
「シャーロット?」
「コリン、それでも真夜中に外に出るのはダメよ」
「…でも、」
「危ないの。あなたがハリーを純粋に尊敬し、慕っているのは分かってる。ただ少し強引だとは思うけど。それでも夜に出歩くべきじゃないわ。あなたに何かあったら、絶対にハリーは悲しむもの」
「…本当にそう思う?」
「ええ、絶対よ」
コリンの顔が明るくなった。そして
「ありがとう、シャーロット!僕、明日ハリーに謝りにいくよ!そして、頼んでツーショット撮ってもらう!」
そう言って寝室に引っ込んでいった。シャーロットはようやく安心してため息をついた。
「昨日、ドビーが来たんだ」
ハリーが女子トイレまで来て、言ってきた内容にロンとハーマイオニーが矢継ぎ早に質問してきた。
「秘密の部屋は以前にも開けられたことがあるの?」
「これで決まったな。ルシウス・マルフォイが学生だった時に部屋を開けて、我らが親愛なるドラコに開け方を教えたんだ。」
シャーロットは話を聞きながら黙りこんでいた。
「シャーロット?何か思い付いたの?」
「怪物がどうかというよりも、前回開けられたのは何年前かしら?そして、その時何が起きたの?秘密の部屋はそのあとどうやって閉じられたの?」
シャーロットの疑問に三人とも何も答えられなかった。
ポリジュース薬は無事にクリスマスに間に合いそうである。
「シャーロット、どうやってスリザリンの生徒の体の一部を持ってくればいいと思う?」
「うーん、髪の毛とかをこっそり拾えればいいんだけど。最悪、ケーキとかで騙して気絶させられれば…」
「そんなので上手くいくわけないでしょ!」
ハーマイオニーがピシャリと言ったので、いやこれハーマイオニーが考えた作戦だけどね、と心の中で呟いた。
「それよりも、さっきから本を読んで何を探してるの?」
「いや、ちょっとね。気になることがあって…」
シャーロットの前には図書館から借りた魔法生物や怪物の辞典、参考書が山になっていた。
「もしかして、秘密の部屋の怪物のこと?」
「うん、まあね。………あ、これだ!」
シャーロットはある本の記述を見つけ、叫んだ。
そして、戸惑うハーマイオニーの手を引き、ハリーとロンのもとへ向かった。