あの子はこの世界が嫌い   作:春川レイ

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ダンブルドアの援軍

「小娘!なぜお前がここにいる!お前はバジリスクが石にしたはずだ!」

「シャーロット、なんで?マンドレイク薬がもうできたの?」

リドルが吠えるように言い、他の三人はポカンと口を開けた。シャーロットはストン、と床に降り立つ。その頭には組分け帽子をかぶっており、目には見たこともない変なデザインのサングラスをしていた。シャーロットを運んできた鳥はそばにあった像にとまった。

「杖を忘れたときおかしいと思ってた。私が杖を忘れるなんて、絶対にあり得ない。そう考えてたら、寮へ戻る途中にバジリスクが床を這う音が聞こえたの。一瞬で私を狙ってきたんだと気づいた」

シャーロットはサングラスの中でリドルを睨んだ。

「手鏡を持って、すぐに逃げたわ。あなたの誤算は私が杖をもうひとつ持っていたことね。バジリスクを見たフリをして、自分に金縛り呪文をかけただけよ。一か八かの賭けだった。バジリスクは私を石にしたと思い込んですぐに去っていってくれたわ。あのあと、ダンブルドア先生に元に戻してもらった。そして、そのまま保健室に留まって、襲われたふりをしていた。あなたが何をしたいのか裏で探りたかったのよ。」

リドルは話を聞いて顔を歪めた。

「お前、何者だ。お前は早いうちからジニーを探っていた。まるで何かを知っていたように」

「…私はただの勘のいい魔女よ。恐らくそのうちジニーはあなたを手放すと予想していた。あなたがこんなにもジニーの魂を侵食していたなんて」

シャーロットは挑むように大声を出した。

「ハリーの言うとおり、ダンブルドアは排除されてなんかいないわ。彼がなにも対策をせずに学校を離れると思う?私たちはダンブルドアが用意したハリーの援軍よ!」

リドルはその言葉で唇を醜く歪めた。

「おまえと歌い鳥に古い組み分け帽子が?そんなものが何の役に立つ?もうこれ以上の会話は必要ないな」

リドルが背を向け、石像に向かって蛇語で何かをしゃべった。ハリーにはそれがなんと言っているのか分かった。

『スリザリンよ、ホグワーツ四強の中で最強の者よ。我に話したまえ。』

巨大な石像の口が開いた。シャーロットは三人に

「目をつぶって!逃げるのよ!」

と声をかける。ハリーにだけ素早く組分け帽子を被せ、囁いた。

「お爺様が貸してくれた武器よ、ハリー。あなたが使って」

「え?」

ハリーが聞き返す前にズルズルと床を蛇が這う音が聞こえ、三人は後ろを向いた。リドルが蛇語で何かを言う。今、戦いが始まった。

「私が相手になるわ!」

シャーロットの声が聞こえ、何かが爆発する音がした。

「お前、なぜバジリスクを見ても死なない?!」

「夏休みに作った魔法のサングラスよ!性能は魔眼防止。一つしか完成しなかったけど、十分戦えるわ!インセンディオ!コンフリンゴ!」

バジリスクに炎が襲いかかり、体が爆発する。バジリスクに対して多少の攻撃にはなったようだが、すぐに憎しみを貯めた目でシャーロットに向かって体を伸ばしてきた。急いで避けたが、バジリスクの体がシャーロットに当たり、壁に体を打ち付ける。あまりの衝撃に目の前がチカチカした。しかし、慌てずにシャーロットは結膜炎の呪いを叫んだ。その呪文はバジリスクの左目に見事に直撃し、バジリスクは悲鳴のような鳴き声をあげ、暴れだした。

シャーロットはよろよろ立ち上がると、ジニーに駆け寄った。体が軽くなる呪文を唱え、背負う。そのままハリーと同じ方向へ走り出した。後ろで声が聞こえ、チラリと振りかえる。フォークスがバジリスクの周りを飛び回り、バジリスクは右目からどす黒い血を流していた。

「バジリスクの目が…!だが、まだ匂いでお前達の場所が分かるぞ!」

その時、ハリーが飛び出した。その手には美しい剣を持っている。

「ハリー!」

どこかでハーマイオニーとロンが叫ぶ声がした。ハリーに向かってバジリスクはその鎌首をもたげ、勢いよく突っ込んできた。かぱりと開かれたその口を、ハリーがしっかりと捉えてみせる。剣がバジリスクの口蓋から脳天を貫いた。

「レダクト!」

シャーロットがバジリスクの背後の像を破壊する。破壊された像はバジリスクの胴体に崩れ落ち、バジリスクは悲鳴をあげるとぐらりと床に横たわり、痙攣すると動かなくなった。

「ハリー!」

ロンとハーマイオニーがハリーに駆け寄る。その右手はバジリスクの折れた牙で貫かれていた。

「大丈夫か!」

「ああ、どうしよう!毒が!」

ハリーは意識が朦朧としている。シャーロットもハリーに駆け寄る。

「ハリー、ごめん。痛いわよ」

三人が何かいう前に杖を使い、牙を引き抜いた。ハリーが悲鳴をあげる。ハリーの元へフォークスが舞い降りてくる。

「ハリー・ポッター、君は死ぬ。ダンブルドアの鳥にさえそれがわかるらしい」

リドルが近づいてきた。シャーロットはリドルに正面から向き直り、ニッコリ笑った。

「何だ?何がおかしい?」

「バカで間抜けな男ね。そんなんだから赤ん坊に倒されるし、何度もしくじるのよ」

「なっ――!」

「あなたは優秀な魔法使いだわ、トム。ええ、認める。でも、その優秀さ故に人を見下し油断する。 敵への警戒の怠慢により、あなたはいつも身を滅ぼすのよ。さっき、なぜ自分が滅ぼされたのか分からないって、ハリーに聞いていたわね?教えてあげる。あなたが絶対に使えない、この世で最も素晴らしい魔法を使ったからよ。」

「貴様!」

「ほら、見て」

フォークスが涙を流し、その涙がハリーの傷跡に落ちる。ハリーの傷は見事に治癒した。

「そんな、…そうか。不死鳥の癒しの力が」

「さあ、トム。そろそろ終わらせましょう」

シャーロットが素早く床に落ちていたリドルの日記をハリーに投げた。ハリーとシャーロットの目が合う。そして、まるで最初からそうするのが分かっていたように、ハリーはそばにあったバジリスクの牙で日記帳を一気に突き刺した。恐ろしい、耳をつんざくような悲鳴が響いた。 日記から黒い液体があふれでる。リドルは悶え、悲鳴を上げながら、やがて消え去った。

 

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