手紙と買い物
7月31日、シャーロットは11歳の誕生日を迎えた。シャーロットはこれまでの人生を振り返り、長かったなあ、と遠い目をした。
出来る限りの知識は身につけた。自作の杖でほとんどの呪文は習得した。攻撃の魔法や防御の魔法、果ては守護霊の呪文までもを完璧に身につけた。ちょっとやり過ぎたかな、という思いはあったが何よりも自分の命がかかっているため必死だった。心残りは箒に乗れなかった事だ。さすがに自作で箒は作れなかった。それは入学してからでも追々技術を学ぼうと考えた。
「おめでとうございます!お嬢様」
「ありがとう、アンバー」
シャーロットの誕生日のためにアンバーは腕によりをかけてごちそうを作ってくれた。シャーロットがニッコリ笑ってお礼をいうと、アンバーは瞳を潤ませた。
「おお、シャーロット。11歳の誕生日、おめでとう」
「ありがとうございます。お爺様」
今日はダンブルドアもホグワーツからお祝いのため来ていた。ダンブルドアはニッコリ笑ってシャーロットに手紙を渡した。
「さあ、シャーロット。入学許可証じゃよ。」
「え?」
シャーロットは目を見開いた。
「こういうのって、ふくろう便で送るものでは?」
「それでもよかったが、わしは自分の手で渡したくての」
ダンブルドアは微笑みながら言った。シャーロットが手紙を開くと、前世で見たことのある文面が目に飛び込んできた。
『親愛なるダンブルドア殿
このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。新学期は九月一日に始まります。七月三十一日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。
敬具
副校長ミネルバ・マクゴナガル』
手紙がくることは分かっていたが、シャーロットはやっと実感できた。私、ホグワーツに入学するんだ!
「シャーロット、お金を渡すからアンバーと一緒に買い物へ行っておいで。今度は自分にぴったりな杖を買うんじゃよ。」
シャーロットはギクリと肩をすくめたが、ダンブルドアはニッコリ笑った。この人は何もかもお見通しだな、とシャーロットは今更ながら目の前の老人を見直した。
ダイアゴン横丁にて手紙のリストに書いてあった通りの買い物は済ませた。オリバンダーの杖の店では、
「本体はモミの木、ユニコーンの毛を使っておる。持ち主の能力を最大限に引き出す」
解説されながら、その杖を購入した。オリバンダーはシャーロットを出会ったとき、懐かしそうな顔をしていたが、特に何も言わなかった。
その後、ペットを買うかどうか迷ったが今のところ必要ないため購入はやめた。手紙を出すときは学校のふくろうに頼もう。
シャーロットがアンバーと家に帰るため急いでいると、視界の隅に、真っ赤な集団が飛び込んできた。
「早く行くわよ!ロン!」
「待ってよ、ママ!」
ちょっと驚いて思わず目を向けた。ウィズリー一家は前世で読んだように、真っ赤な赤毛をした賑やかな一家だった。シャーロットが思わず笑うとアンバーは不思議そうな顔をした。
「どうしました、お嬢様?」
「何でもないわ。アンバー」
アンバーにそう返し、もう一度クスリと笑った。彼らと関わるのは不安も大きいが、楽しみの方が勝つ。世界的な児童文学作品の登場人物達なのだ。そういえば、ハリーも今日が誕生日だった。今頃、彼はどうしているのか。あ、そうか。この後ダーズリー一家とともに手紙から逃げるんだっけ。主人公の苦難に深く同情しながら、シャーロットはアンバーとともに帰路についた。