忙しい夏休み
ホグズミードの小さな喫茶店。客はシャーロットだけだった。シャーロットは注文した冷たいカボチャジュースで口を潤しながら、ここ数日間の出来事を考えていた。
まず、夏休みの宿題をさっさと終わらせた。魔法史のレポートやら、縮み薬のレポートなど、シャーロットはすぐに指定された長さ以上のものを書き終えた。その後、ロンから届いた手紙を読み、頭を抱えた。どうやら、ハリーへ電話をかけ、失敗に終わったらしい。もう少し注意を促すべきだっただろうか。
しかし、今年、ウィーズリー家は幸運に恵まれたらしい。新聞に載っていたガリオンくじグランプリの記事を思いだし、シャーロットはニヤリとした。素晴らしい。これが、この物語のスタートだ。
シャーロットの誕生日には、たくさんの人々からプレゼントが届いた。ダンブルドアは可愛らしく、使いやすそうな検知不可能拡大呪文がかけられた鞄が届いた。ダンブルドアはどんな風にこれを選んだのだろうと思うと、すこし面白かった。ロンからはエジプトで見つけたらしい怪しげな動きをするスフィンクスが描かれたマグカップ、ハーマイオニーからは時間が経つとキラキラと色が変わるマニキュアをもらった。シャーロットももちろん、ハリーへ誕生日プレゼントを贈った。今年は、ホグズミードにある薬局で購入した、疲れた目に素晴らしい効果がある目薬を贈った。誕生日プレゼントにしては少し華がないかなとも思ったが、おそらくダーズリー家に隠れ、こっそりと夜中に懐中電灯の光を頼りに宿題をしているはずだ。目を酷使しているハリーには必要だろうと考えた。目薬だけではあんまりなので、今年発売されたプロクィディッチチームの本も贈った。きっと楽しんでくれるだろう。
予定通り、シリウス・ブラックも無事に脱獄したらしい。シャーロットは新聞の記事を思い出した。今年の目標はシリウス・ブラックの保護、そして冤罪を晴らすことだ。そのためにはなによりもペティグリューを捕獲しなければならない。夏休み前にウィーズリー家の双子からもらった忍びの地図を使って、今年はなるべく早く動こうと考えていた。そのためには協力者が必要だ。できれば事情を把握し、できるだけ実力のある魔法使いの協力者が。
やがて喫茶店にある人物が足を踏み入れた。その人物はシャーロットの姿を見ると、ハッと息をのみ、顔を強張らせた。シャーロットはそんな相手の様子に構わず、にっこり笑って向かい側の席を勧めた。
「はじめまして。会えて嬉しいです。―――ミスター・ルーピン」