あの子はこの世界が嫌い   作:春川レイ

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シリウス・ブラック

シャーロットは黒い犬の姿を見ても、喜ぶよりも驚きで戸惑った。まさか自分から姿を現すとは思わなかった。犬は何だか怒ったような顔でシャーロットを見ている。

「もしかして、探していたのは彼かい?少し前からこの森に住み始めたが…」

「あー、ええと、まあ、そうです」

フィレンツェはシャーロットを不思議そうに見つめると、

「用がすんだら、すぐに学校へ戻りなさい。私の仲間は君を傷つけることはしないが、決して君を歓迎したりもしない。いいね?」

真剣な顔でそう言った。シャーロットが頷くのを確認し、足早にそこから去っていった。そして、その場にシャーロットと犬だけが残された。

 

 

 

 

「こんにちは、わんちゃん。また会ったわね」

シャーロットが口を開くと犬は再び「ワン」と吠えた。そしてシャーロットに近づくと、服をくわえ、引っ張り始めた。どうやらシャーロットを学校へ戻したいようだ。シャーロットはそんな犬を見つめると、苦笑し、しゃがみこんだ。そして犬の耳元でそっと囁いた。

「あなたを迎えに来たのよ。私といっしょに来てちょうだい、シリウス・ブラック」

次の瞬間、犬が服を口から離し、その顔が凍りついた。犬は慌てて逃げようとしたが、シャーロットの方が速かった。

「ペトリフィカス・トタルス!」

呪文が直撃し、犬が石のように固まった後、その場に倒れた。シャーロットが近づくと、信じられないという表情でシャーロットを見つめていた。

「さあ、行きましょう。あなたのお友だちが待っているわ」

この世の終わりのような顔をした犬にニッコリ笑う。そのままシャーロットは犬を引きずるようにして足早に森から出ていった。禁じられた森はまるで何事もなかったかのように静寂の空間へ戻っていった。

 

 

 

 

ルーピンの部屋へ着くと、幸いにもルーピンは部屋にいて何かの書類を書いていた。シャーロットが黒い犬を引き連れ部屋へ入ると、呆気にとられていた。

「シャーロット!もう捕まえたのかい!?」

「だって、クィディッチの時はすぐにどこかに行ってしまいましたし。自分から出てきたのでちょうどよかったんです」

犬はルーピンの姿を見て、明らかに顔色を変えていた。

シャーロットはまずロープで犬を縛ると、金縛りの術を解き、語りかけた。

「いい?ブラック。あなたを吸魂鬼に引き渡したりはしない。あなたの話をちゃんと聞くわ。ルーピン先生もよ。だから、本当の姿に戻ってちょうだい。あなたの話次第では、私もあなたに協力するから」

犬は途方にくれたような目をしていたが、ルーピンの姿を見て決心したらしい。一瞬で黒い犬はボロボロの格好をした髭面の男へと変貌した。

「…すまない、リーマス」

「……シリウス」

「あ、ああ、すまない、お願いだ、信じてくれ。私はやってない、やってないんだ!」

シリウス・ブラックはすがるようにルーピンを見つめてきた。

「ブラック。説明して。十二年前、何があったの」

「い、いや、それよりも君は何者だ、リリーじゃないよな?なんで私の正体を…」

「私の名前はシャーロット。シャーロット・ダンブルドア。アルバス・ダンブルドアの被後見人よ。ハリー・ポッターの友達でもあるわ」

シリウスはポカンと口を開けた。

「ダンブルドア?被後見人?」

「とにかく、私はハリーの友達なの。あなたの事はほとんど知らなかったけど、これを手に入れて怪しいことに気づいたのよ」

シャーロットが鞄から忍びの地図を取り出すと、シリウスは目を瞬かせた。

「これは!」

「あなたたちが作ったんでしょう?ちょっとしたきっかけでたまたま手に入れて使ってみたの。そうしたらこの地図の中で友達のネズミがピーター・ペティグリューっていう名前なのを知って、おかしいなと感じたのよ。それでルーピン先生に相談したの」

「そうだ!ピーター!あいつだ!あのネズミを殺さなければ!」

シリウスはペティグリューの名前が出た瞬間、喚き始めた。ルーピンが真剣な瞳で話を促す。

「じゃあ、やっぱりピーターが?」

「そうだ!私はジェームズに秘密の守人をピーターに変えるように助言した。その方がいいとその時は思ったんだ!私がジェームズを殺したようなものだ…」

シリウスは歯を食いしばり、目を潤ませた。

「ペティグリューが裏切ったのね?そして、あなたにすべての罪を被せた」

「……あの日、一度はあいつを追い詰めたんだ。あいつは周囲の人間にまるで私が犯人であるかのように大きな声で叫んだ後、多くの人間を殺し、ネズミに変身した後下水道へ逃げ込んだ」

「それがいつの間にかウィーズリー家でペットとして飼われるようになったというわけね。」

シャーロットは顔をしかめた。

「殺さなければ!仇を取るんだ!早くこの縄をほどいてくれ!」

殺気だった凄まじい形相で喚き散らすシリウスを前に、シャーロットとルーピンはコソコソ話をした。

「そうとう頭に血が昇っていますね。無理もないですけど」

「どうする?魔法省を呼んで、ピーターを捕まえた方がいいのだろうか?」

「いいえ。ファッジ大臣は信用できないですよ。シリウスのこの様子じゃあ、狂っているって勘違いしかねないです。すぐにアズカバンへ逆戻りか吸魂鬼とキスすることになると思います。それに今の時間帯、ネズミは多分グリフィンドールの男子寮で寝ているはずです。こっそり掴まえるのはちょっと難しいですね。ロンの目もあるし」

「うーん、そうか。さっさと捕まえて吐かせたら済む話なんだが…」

「同感です。でも、とりあえずはお爺様には相談しましょう」

シャーロットはシリウスをルーピンに任せると、校長室へ急いだ。

 

 

 

「気まずいなぁ…」

シャーロットは校長室の入口でソワソワしていた。今気づいたことだが、必要の部屋でダンブルドアにかなり失礼な発言をした後だ。顔を合わせるのは壮絶に気まずい。特にクィディッチの時の本気で怒っているダンブルドアを見た後なので、校長室へ行くのは怖かった。そもそも合言葉を知らない。

「秘密の部屋に行くときよりもイヤだ…」

入りたくないという思いと、入らなければという思いの板挟みになり、うんうん唸っているとそこにマクゴナガルが通りかかった。

「ミス・ダンブルドア?何をやっているのです?」

「あ、マクゴナガル先生…」

「ダンブルドア先生への用事ですか?」

そうだ。マクゴナガル先生にも事情を説明して、ダンブルドアを呼んできてもらえばいい。マクゴナガル先生なら信用できるし、きっと正しい判断をするはずだ。

「先生、申し訳ありませんが校長先生を呼んできてもらえませんか?どうしても会ってもらいたい人がいて…」

「会ってもらいたい人?誰です?」

「シリウス・ブラックです」

「………………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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