「なんということじゃ…」
「……」
ダンブルドアとマクゴナガルをルーピンの部屋へ連れていったところ、二人は唖然としてシリウス・ブラックを見つめた。マクゴナガルにいたっては言葉もでない様子だ。それでも二人は杖をシリウスの方へ構えた。シリウスはあまりにもうるさく喚くため、ルーピンが口を布で塞いだ。それでもモゴモゴと何か言おうとしていたが。
「落ち着いてください。お爺様、マクゴナガル先生」
「これはどういうことですか、ミス・ダンブルドア!」
「シリウス・ブラック。お主はなぜ…」
「落ち着いてください。ちゃんと説明しますから。」
シャーロットが二人を宥め、一から全て説明した。ただし、シリウスを見つけた場所は校庭ということにした。さすがに禁じられた森へ入ったことは怒られると思ったからだ。
「では、本当の犯人はピーター・ペティグリューじゃと?」
「信じられません!その男が嘘をついているに決まっています!」
「でも、そうでなければなぜペティグリューはネズミになってまで身を潜めているんです?十二年もですよ!」
ダンブルドアとマクゴナガルはなかなか話が信用できないようだった。仕方なくシャーロットは鞄から小さな小瓶を取り出した。
「シャーロット、それはなんじゃ?」
「真実薬です」
「なんでそんなものを持っているんですか!?」
「そんなの密造したからに決まっているじゃないですか」
シャーロットの言葉を聞いてダンブルドアは頭を抱えた。
「シャーロット、それは…」
「危険な物だとは承知しています。大丈夫です。一生懸命作りました。」
「そういう問題ではありません!その薬は本来魔法省が所持を制限しているんですよ!」
「大丈夫です。私、魔法薬の成績はハーマイオニーを抜いてトップなので。それに一生懸命作りました。」
「いや、だから…」
シャーロットはマクゴナガルの言葉を無視し、顔を青ざめさせたシリウスの口に無理やり小瓶を突っ込んだ。
それからは早かった。シリウスは流れるように全てを語った。十二年前のこと、動物もどきのこと、アズカバンからの脱獄方法など。途中でダンブルドアは一度部屋を出て、どこからか憂いの篩を持ってきた。そして、杖でシリウスの記憶を取り出すと、篩に注ぎ記憶も確認して、ようやくシリウスの話を信じてくれた。
「それで、アルバス、どうするんです?」
「ふむ…。まずはとにかく無罪を証明しなくてはの」
「ネズミだ!ネズミを捕まえろ!」
シリウスが再びうるさく喚くので、ルーピンが口を塞いだ。
「お爺様。十二年前はほとんど裁判はしなかったと聞きました。もう一度再調査をしてもらえませんか?」
「それはよいが…」
「私がペティグリューを捕まえます」
「いけません!生徒にそんなことをさせるわけにはいきません!」
「マクゴナガル先生。ペティグリューは私の前なら油断するはずです。それに、あいつは今杖を持っていません。ほとんど抵抗はできないはずです。心配なのはネズミのままで逃げられることですが…。それでも一緒の寮である私ならいくらでもチャンスはあります。」
マクゴナガルは渋い顔で黙りこんだ。
「では、任せようかの」
「校長先生!ですが!」
「シャーロットの言うとおりじゃ。今のペティグリューなら何もできはせんよ。わしも調査に全力を注ごう」
ダンブルドアはシャーロットを見つめそう言った。シャーロットもダンブルドアの視線をまっすぐ受け止め、しっかりと頷いた。
「しかし、シリウスはどうするかの。このままでは…」
「私が引き取ります」
今度はルーピンが提案した。
「犬の姿になってもらい、私のペットということにしましょう。大丈夫です。この部屋からは出しませんよ」
ルーピンもニッコリ笑って頷いた。友人の無罪が分かり、表情が明るくなっている。シャーロットも話がうまくまとまりホッとした。
1人話に置いてきぼりのシリウスだけが戸惑ってモゴモゴ何かを言っていた。
「シャーロット」
ルーピンにシリウスを任せ、部屋を出るとダンブルドアが話しかけてきた。
「大丈夫かの?無理はしておらんか?」
「……はい。この前は失礼な事をいって本当に申し訳ありませんでした。でも、これは私と母の問題です」
シャーロットはダンブルドアをじっと見つめる。ダンブルドアには感謝しているのだ。家族としての愛情も持っている。それでも、シャーロットは母の問題に足を踏み入れてほしくはなかった。
「私が自分で解決します。必ず。」
シャーロットが視線を外し、小さな声で言った。ダンブルドアは少し迷うような仕草をしてから、そっとシャーロットの肩を抱き締めた。
「無理をしなくてよい。君の心を守りたいんじゃよ、シャーロット」
シャーロットはその手を拒まずダンブルドアの言葉を無表情で聞いていた。
マクゴナガルが少し離れた場所で二人の姿をじっと見つめているのに、シャーロットは気づかなかった。