あの子はこの世界が嫌い   作:春川レイ

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初恋と悪戯

マクゴナガルに居残りさせられ、長時間戻ってこなかったシャーロットが憑き物が取れたように寮へ戻ってきたのを見て、ハーマイオニーは驚いた。シャーロットの顔はここ最近で一番スッキリしている。

「シャーロット、マクゴナガル先生と何のお話をしたの?」

「ちょっとね」

シャーロットはそれだけ言って何も答えなかった。

 

 

 

レイブンクローとのクィディッチ試合の当日。ハリーはファイアボルトを抱え、大広間に降りてきた。他の寮の生徒たちがファイアボルトを一目見ようと次々にやって来た。一方、スリザリンの生徒達、特にマルフォイは雷に打たれたような顔をしており、シャーロットは苦笑いした。途中でマルフォイがハリーに嫌みをいいに来たが、ハリーも負けじと嫌みで返しており、グリフィンドールが大声で笑った。

10時半にはシャーロットは観客席へ向かった。今日はカラリと晴れ上がり、少しだけ風が吹いている。独特の緊張と興奮が観客席に満ちていた。

「大丈夫かしら?吸魂鬼は出てこないわよね?」

「大丈夫よ、ハーマイオニー。この間のハッフルパフとレイブンクローの試合の時も出てこなかったし」

いつもは勉強でピリピリしているハーマイオニーも今日ばかりは観客席で心配そうにしている。そしてシャーロットの隣には、

「ワンワン!」

「シャーロット、その犬は?」

「……えーと、ルーピン先生のペット。先生の席には入れないみたいで。預かってきたの。試合を観たいらしくて…」

近くにいたジニーが不思議そうに犬を見てきた。シリウスはどうしても近くでハリーの勇姿を見たいが、ルーピンからさすがに教職員用の席はバレたら危ないため反対されたらしい。ルーピンに頼まれて、勝手に動かないよう首輪と鎖を着け、シャーロットが観客席へ連れてきた。シリウスはグリフィンドール生達の様子には構わず、尻尾を振りまくり実に楽しそうに競技場を見ていた。シャーロットは思わずため息をついた。

選手たちがフィールドに出てきた。シャーロットは持参した双眼鏡で選手達を見物する。レイブンクローチームの選手達はブルーのユニフォームを着て、緊張した様子だった。シャーロットは双眼鏡で、レイブンクローのシーカー、チョウ・チャンと目が合ったハリーが一瞬動揺したのを見逃さなかった。

「初恋かぁ。甘酸っぱいわねー」

「シャーロット、何言ってるの?」

「何でもないわ、ロン」

 

 

 

とうとう試合が始まった。

「全員飛び立ちました。今回の試合の目玉は、なんと言ってもグリフィンドールのハリー・ポッターの乗るところのファイアボルトでしょう。『賢い箒の選び方』によれば、ファイアボルトは今年の世界選手権大会ナショナル・チームの公式箒になるとのことです――」

「ジョーダン、試合の方がどうなっているか解説してくれませんか?」

いつもの実況を聞きながらシャーロットは試合の行方を見守った。ハリーは猛スピードで飛ぶが、チョウがすぐ後ろに張り付いている。一度はスニッチを見つけたらしくハリーは急降下したが、ブラッジャーに邪魔され、見失ったようだ。グリフィンドールチームが今のところ優勢だが、レイブンクローも負けてはおらず、三回ゴールを決め点差を縮めつつあった。ハリーがチョウとの衝突を避けるようにして飛ぶと、ウッドが何か吠えていた。いまだにスニッチは見つからず、ハリーはキョロキョロしている。その後ろからハリーをマークしたチョウが張り付いていた。

突然ハリーが急降下した。チョウがそれに続く。ハリーが弾丸のようにまっすぐ飛んでいった。スニッチを見つけたようだ。ハリーが加速したその時だった。

「ワンワン!」

「吸魂鬼だ!」

シリウスとロンが吠えた。ハリーも気づいたようだ。迷わずユニフォームの首から杖を取りだし、呪文を叫んだ。シャーロットは何か大きなものが杖の先から噴き出したのを見た。

「くそ!あいつら、また…」

「ハリー、大丈夫かしら?」

「落ち着いて、ロン、ハーマイオニー。あれ、吸魂鬼じゃないわ」

「え?」

ロン、ハーマイオニー、シリウスが不思議そうにシャーロットを見返した。

ハリーは守護霊を出した直後、杖を持ったまま手を伸ばし、金色のスニッチを手に掴んだ。ホイッスルが鳴り響く。試合終了だ。グリフィンドールが大歓声を上げ、ハリーは他の選手に抱きつかれもみくちゃにされていた。

大騒ぎのグリフィンドール生がフィールドに飛び込む。

「いぇーい!えい!えい!」

ロンはハリーの手を高々と差し上げた。ハーマイオニーもハリーに飛び付く。シャーロットはシリウスが興奮状態なので、フィールドに飛び出さないように鎖を握りしめ踏ん張っていた。その時、ルーピンがハリーの元へ駆け寄るのが見えた。何かをハリーに言って、フィールドの端に連れていく。シャーロットもシリウスを引きずりながらそこへ向かった。

「君はマルフォイ君をずいぶん怖がらせたようだよ」

シャーロットは思わず噴き出した。そこにはマルフォイ、クラッブ、ゴイル、フリントが折り重なるように倒れていた。頭巾のついた黒いローブを脱ごうとしてバタバタしている。最高にマヌケな光景だ。

「あさましい悪戯です!」

マクゴナガル先生はカンカンだった。スリザリンは五十点も減点され、処罰を与えられた。

その後は一日中パーティーだった。まるでもう優勝杯を取ったかのようだ。誰も彼もが笑顔ではしゃぎまくっている。途中でフレッドとジョージがホグズミードから買ってきたらしいお菓子をばらまき、パーティーは更に盛り上がった。シャーロットもニコニコしつつ、パーティーで飲んだり食べたりとロンやハーマイオニーと祝杯を上げた。素晴らしく楽しい夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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