ホグワーツに入ると、ピーブズに邪魔されたこと以外は順調に入学式が進んだ。組分けのあとにテーブルに現れたたくさんのごちそうを楽しむ。ハーマイオニーがホグワーツで屋敷しもべ妖精が働いていることを知り、食事を中断してしまったが、シャーロットは気にせずステーキを頬張った。
やがて、デザートが平らげられ、ダンブルドアが立ち上がった。笑顔で話を始めた。
「寮対抗クィディッチ試合は今年は取り止めじゃ。これを知らせるのはわしの辛い役目での」
ダンブルドアがそう言ったとたん、大広間では大声が上がった。ハリーもショックを受けて絶句している。ダンブルドアの話が続く。
「今年ホグワーツで――」
ちょうどその時、大広間の扉が開いた。
そこに立っていたのは長いステッキに寄りかかり、黒いマントを着た男だ。稲妻が天井を横切り、その顔を浮き上がらせる。多くの傷痕にグルグルと絶え間なく動く奇妙な目。
マッド・アイ・ムーディだ。
大広間の生徒たちは新しい先生としてムーディを紹介されたが、あまりの不気味さに圧倒されていた。ダンブルドアとハグリッド、シャーロットの三人だけがパラパラと拍手する音が寂しく響き渡った。ムーディはそんな歓迎を気にする様子はなく、携帯用酒瓶からグビグビ飲み込む。横でハリー、ロン、ハーマイオニーが何か話をしているが、シャーロットは会話に参加せずムーディをじっと見つめていた。
ダンブルドアが咳払いして話を再開した。
「今年、ホグワーツで三大魔法学校対抗試合を行う」
「ご冗談でしょう!」
フレッドが大声を上げたことで、大広間の空気が緩んだ。ほとんど全員笑い出す。ダンブルドアが三大魔法学校対抗試合の説明を始めた。死者が出たという言葉にハーマイオニーが目を見開く。しかし、生徒たちは興奮したように囁き始めた。代表選手になる姿を思い描いた何人かの生徒たちは熱っぽく語り合い始めた。
ようやくダンブルドアの話が終了し全生徒が立ち上がった。フレッドとジョージは十七歳以上しか代表選手になれないことに憤慨している。
「代表選手になると普通なら絶対許されないことがいろいろできるんだぜ。しかも、賞金一千ガリオンだ!」
フレッドが頑固に言い張る。玄関ホールに向かいながらも大論議は続けられた。
「シャーロット、君も立候補するだろ?」
一番後ろにいたシャーロットは、ジョージから突然話を振られたため、きょとんとした。
「え?なんで?」
「君なら絶対優勝できるさ!審査員の目さえ誤魔化せれば…」
「今まで死人がでてるのよ!」
ハーマイオニーが心配そうにそう言った。
「ああ。だけどずっと昔の話だろ?」
フレッドが気楽に話を続ける。そんな話をシャーロットは遮った。
「私は立候補しないわよ。例えフレッドとジョージが方法を見つけてもね」
「なんで!?」
「今年はできるだけ静かに過ごしたいの。勉強以外の課題なんてまっぴら。少しでもいいから気楽な学生生活を楽しみたいわ」
なんせ、来年はピンクのガマガエルがやってくるのだ。今年は出来る限り平和に過ごしたい。もちろん、ハリーのサポートはきちんとするつもりだが。
「じゃあ、シャーロット。ダンブルドアの言ってた代表選手を決める公明正大な審査員って誰か知ってるか?」
「もちろん。でも、“誰か”じゃないの。“あれ”は人じゃないしね」
シャーロットがそう言うとみんなが不思議そうな視線を向けてきた。
「何だよ!シャーロット、何か知ってるなら教えてくれ!」
「だめ。一応まだ秘密だから」
フレッド、ジョージ、ロンが不満そうに口を尖らせたため、シャーロットは苦笑した。
「仕方ないわね。ヒントならあげる。お爺様は“年齢線”を引くつもりよ」
「年齢線?」
「十七歳に満たない生徒はその線を越えられないの。その線さえ突破できれば何とかなるわ」
フレッドとジョージは顔を見合わせ、ヒソヒソ話を始めた。
寮にたどり着き、ハーマイオニーとの会話もそこそこにシャーロットはベッドに横たわった。すぐにまぶたが重くなる。やがて夢の世界へと引きずられていった。