あの子はこの世界が嫌い   作:春川レイ

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第一の課題

第一の課題の日、シャーロットは早くに目覚めて授業に行く準備を始めた。ハーマイオニーはハリーの事が心配でソワソワしていた。

「ハーマイオニー、イライザを知らない?」

「え?いないの?」

「うん…。なんか、最近よくいなくなるのよね。昨日の夜はベッドのそばに止まって眠ってたのに」

「ふくろう小屋でヘドウィグと遊んでるんじゃない?」

「ちょっと探してくる」

シャーロットはふくろう小屋へ行ったが、イライザの姿はなかった。不思議に思ったが、授業が始まるため城の中へ戻る。まあ、大丈夫だろう。たまにいなくなるが、気がついたら部屋へ戻ってるのだ。きっと夜には戻ってくるだろう。

 

 

 

 

午前中、ハリーは極度に緊張していた。顔が真っ青になっている。

やがて昼食が終わり、マクゴナガルがハリーのもとへ早足で迎えにやって来た。シャーロットもハーマイオニーとともに競技場へ向かった。観客席ではもう多くの生徒が座り、興奮したようにそれぞれしゃべっていた。

「ハリー、大丈夫かしら?」

「大丈夫。ハリーを信じましょう。あんなに練習したんだもの。失敗なんて絶対にしないわ」

そう言いながら、シャーロットは視界のはしっこでロンが心配そうに競技場を見ているのを見つけた。

 

 

 

 

代表選手たちの準備が整ったのか、バグマンの声が競技場で響いた。

「紳士、淑女のみなさん、少年、少女諸君。さてこれから始まるのはもっとも偉大でもっとも素晴らしい――しかも二つとない、一大試合、三校対抗試合!」

シャーロットはクィディッチの試合の時に使った双眼鏡で競技場をじっと見つめた。

セドリックは競技場の石を犬に変身させて気を逸らせようとしたが、途中でドラゴンが犬よりもセドリックを狙ったため、あまりうまくいかなかった。それでも最後にはしっかり金の卵をとったのだからたいしたものだ。

フラーはドラゴンに魅惑の呪文をかけて、金の卵をとった。ドラゴンは眠ってしまったが、イビキをかいたため、鼻から炎を吹き出した。

次のクラムはシャーロットが先日話した、結膜炎の呪いをドラゴンにかけたらしい。ドラゴンが痛みに暴れて卵を割ってしまったため、シャーロットはハリーにこの呪文を勧めなくて正解だったなと感じた。

いよいよハリーの出番だ。シャーロットは椅子に座り直した。どうか上手くいきますように。

ハリーがテントから出てきた。顔が異常に強張っている。ハリーの前ではホーンテールが黄色い瞳で睨んでいた。ハリーが集中するため一瞬だけ目をつぶる。そして杖を上げた。観客席からは遠いため声は聞こえなかったが、シャーロットには何を言ってるかはっきり分かった。

「アクシオ、ファイアボルト!」

シャーロットは上を見上げた。やがてその姿が視界にはっきり映る。ファイアボルトがハリーの呪文に応えて一直線に向かってきた。

「やった!」

シャーロットは思わず隣のハーマイオニーと手を打った。

それからは早かった。ファイアボルトさえあればハリーは無敵だ。クィディッチの試合のようにビュンビュン飛び回る。ホーンテールの火炎をよけながら、見事最短時間で金の卵を手に取った。空高く舞い上がり、金の卵を掲げる。バグマンが何かを叫んでいるが、それに構わずシャーロットとハーマイオニーは救急テントへ向かった。

救急テントへ着いたら、まだ早かったようで中にはセドリックしかいなかった。

「ハイ、セドリック。お疲れ様」

シャーロットが声をかけると苦笑いを返してきた。どうやら大丈夫なようだ。観客席からはロンもやって来て、テントの入り口でウロウロしていたため、シャーロットが手を引っ張り無理やり引き込んだ。

「ロン。大丈夫。ハリーなら気にしてないわ」

シャーロットがそう言っても、ロンは真っ青な顔をしていた。

ハリーがようやくテントに入ってきた。ハーマイオニーが抱きつく。しかし、ハリーの目はロンを捉えていた。

「ハリー」

シャーロットは邪魔しないように黙ってじっと二人を見つめた。

「君の名前をゴブレットにいれたやつがだれだったにしろ――僕――僕、やつらが君を殺そうとしてるんだと思う」

ハリーとロンが数週間ぶりにまっすぐにお互いを見た。

「気にするな」

ハリーの言葉にロンが泣き笑いの表情になって、シャーロットを見てきた。シャーロットは笑い返し、ハーマイオニーはワッと泣き出した。そのままハーマイオニーは二人を抱きしめひたすら泣くと、何故か走り去ってしまった。

「ハーマイオニー!どこ行くの?」

シャーロットが慌てて追いかけるが、どこに行ったのかハーマイオニーの姿はもう見えなかった。

「…まあ、いっか」

シャーロットはとりあえず観客席に戻ることにした。ハリーの点数を確認しなければならない。

歩きだし、数歩もいかないうちにビクトール・クラムと出くわした。彼はほとんど傷は無いようだ。

「こんにちは。ミスター・クラム」

「あー、こ、こんにちは」

クラムはちょっとだけ顔が強張った。シャーロットは、そんなクラムにちょっとだけ笑いかけると話を切り出した。

「私、今度の週末に校庭でピクニックをするの。もしよければあなたも一緒にどう?ハーマイオニーも一緒よ。ほら、私がよく一緒にいる栗色の髪の女の子」

誘った後であまりにも唐突かな、と少し後悔したが、クラムの目の奥がキラリと光った。

「ヴぉくも一緒にいい、ですか?」

「もちろん。きっと楽しんでもらえると思うわ」

クラムの顔がパッと明るくなった。その後、待ち合わせ場所と時間を打ち合わせ、二人は別れた。

観客席に戻ると、すでにハリーの点数が発表されていた。予定通りクラムとハリーが同点一位だ。シャーロットもようやく安心して胸を撫で下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

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