あの子はこの世界が嫌い   作:春川レイ

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誰を誘う?

グリフィンドールではその夜、ドンチャン騒ぎだった。ハリーは誰よりも顔が明るい。ロンと仲直りできたのが相当嬉しいのだろう。シャーロットも笑いながらパーティーを楽しんだ。

 

 

「なんで私も行かなくちゃならないのよ」

「まあまあ、ハーマイオニー。きっと楽しいわ」

週末、シャーロットはハーマイオニーを連れて湖の畔へ向かった。今日はクラムとのピクニックだ。ハリーとロンには黙ってこっそりとランチボックスを準備した。中には簡単なサンドイッチやお菓子が詰まっている。湖の近くにはタイミングがよかったのかほとんど人気がなかった。

「こんにちは。ミスター・クラム。」

「こ、こんにちは」

「改めて、私はシャーロット・ダンブルドア。こっちは友達のハーマイオニー・グレンジャーよ。よろしくね」

「よ、よろしくお願いします」

シャーロット達の方が年下だというのにクラムは緊張からか顔が真っ赤になっていた。

誰にも見られないように校庭のはしっこに三人で座る。ランチを広げ、のんびりと話を始めた。最初ハーマイオニーは気が進まないため、顔をしかめていたが徐々に会話を楽しむようになった。元々、クラムは礼儀正しく真面目な青年だ。ブルガリアの学校の話や魔法界での違いなど熱心に話すハーマイオニーとクラムを眺めながら、シャーロットはこれをロンが見たらどんな顔をするだろうかと想像した。

 

 

 

第二の課題はまだまだ先だ。金の卵の謎を解かなければならない。ハリーの周りは前と変わらず騒々しかった。スキーターには付きまとわれ、シリウスは心配するあまり何度も何度も手紙を送ってきた。そんな中、嬉しい驚きがあった。ホグワーツの厨房でハリーがドビーと再会したのだ。

「ハリー・ポッター!ハリー・ポッター様!ドビーめでございます!」

ハリーは絶句していた。ハーマイオニーが厨房に忍び込みドビーを見つけたらしい。

「ハーマイオニー、なんで厨房に入ったの?」

「将来のためにちょっと調査しておこうと思って…」

シャーロットは苦笑した。真面目なハーマイオニーらしい行動だ。ドビーは嬉し涙を流しながらハリーと話していた。

 

 

 

クリスマスが近づいてきた。ハリーは第二の課題に挑戦する前に予期せぬ試練が訪れ、顔を青くしていた。代表選手はクリスマス・ダンスパーティーの最初に踊る伝統がある。当然必ずパートナーを見つける必要があるのだ。

「一人でいるところを捕らえて申し込むなんて、どうやったらいいんだろう?」

「投げ縄はどうだ?」

ハリーとロンのくだらない会話にシャーロットはクスクス笑った。

生徒達はほとんどがダンスパーティーのことで騒ぐか上の空だった。ハーマイオニーは無事にクラムからダンスに誘われ、それを受けたらしい。

「ずいぶん仲良くなったわね」

「あの人、とてもいい人だったわ」

ハーマイオニーはニッコリ笑った。

学期最後の週になると日を追って騒がしくなった。スネイプからテストを持ち出された夜、ロンは苦々しげにしていた。

「悪だよ、あいつ」

「仕方ないじゃない。スネイプ先生だもの」

シャーロットがそう言いながら、大きな箱をロンに差し出した。

「はい、ロン。約束のものよ」

「うわ、ありがとう!本当にありがとう、シャーロット!」

ロンが箱を受け取り感極まったような顔をした。ちょっと涙ぐんでさえいる。ハリーとハーマイオニーが不思議そうに視線を向けてきた。

「その箱は何?」

「私からロンへの少し早いクリスマスプレゼント。きっと似合うわ」

「あれじゃなければ何でもいいよ!」

箱からロンが取り出したのは黒い色のシックなドレスローブだ。もちろんレースは一つもついてない。

「どうかしら?」

「うん。バッチリだ。これでパートナーが決まればカンペキなんだけど…」

ロンがまた暗い顔をした。

「あ、それよりもシャーロット。僕が代わりに渡したあのドレスローブは?」

「うん。ちょっと使うのよ」

「あんなフリルだらけのを一体何に使うんだい?」

「ちょっとね」

シャーロットが目を逸らした。ハリー、ロン、ハーマイオニーは顔を見合わせた。シャーロットのいつもの顔だ。きっととんでもない事を考えているにちがいない。しかし、それから何度話を振っても、シャーロットは言葉を濁すだけで何も答えなかった。

 

 

クリスマスがどんどん近づく。ハリーとロンは今だにパートナーが決まらない。シャーロットも何人かから誘われたが全て断った。金曜日の夕方、寮に戻る途中でハリーと出くわした。どことなくぼんやりしている。

「ハ、ハリー?大丈夫?どうかした?」

「うん…」

何も答えたくないのかハリーはそれだけ言ったあとは黙って歩き続けた。シャーロットが慌ててその後を追う。寮へ入ると、もっとビックリした。ロンが隅っこで血の気のない顔で座り込んでいたのだ。そばにいたジニーに確認して、やっと何があったか分かった。ハリーもロンも意中の相手にパートナーを断られたらしい。二人とも全ての気を抜かれたようにゲッソリしていた。

「相手がいないのは、僕たちだけだ――まあ、ネビルは別として。あ――ネビルが誰に申し込んだと思う?ハーマイオニーだ!」

「エー!」

ハリーが驚いて大声を出す。シャーロットはすでにハーマイオニーから聞いていたので、何も言わなかった。ロンが笑い出すと、ジニーが少し怒ったような顔をした。その時、ハーマイオニーが帰って来た。ロンが突然マジマジとハーマイオニーを見つめた。

「君はれっきとした女の子だ…」

「まあ、よくお気づきになりましたこと」

「そうだ――君とシャーロットが僕たちのパートナーになればいい」

「ダメよ、ロン。私もハーマイオニーもとっくの昔にパートナーが決まってるの」

シャーロットが口を挟むと、ハリーとロンは驚いて口を開けた。

「そんな!誰!?」

「嘘だろう!?」

「嘘なわけないでしょう。あなた達もさっさと誰かに申し込みなさい。本当に」

シャーロットはそう言ってハーマイオニーとともにさっさと寝室へ向かった。

「シャーロット、あなた誰と行くの?私も知らないんだけど…」

「パーティーになれば分かるわよ。実を言うと私、パーティーはいいけど、あんまりダンスは乗り気じゃないのよね。決まったパートナーを見つけるのも面倒くさいし。それでちょっといろいろ考えたの」

「考えたって何を?」

「ナイショ」

シャーロットはチラリとベッドの上にいるイライザを見た。イライザはシャーロットと目が合うと楽しそうにピーと一声鳴いた。

 

 

 

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