ププープレーン 〜遍く照らす星の航路〜   作:糖分99%

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出雲(炎上中)「更新がここまで遅れた理由を聞こう」
作者「タワーディフェンスゲームを始めてハマって、その後アズレンのミニ海域イベントを無視して神通掘ってました」
出雲(炎上中)「アズレンSS作者として、神通掘りに精を出すのは結構。私は許そう。だが……こいつらが許すかな?」
「『操りの秘術』で動きを止め!」
「『マルク砲』で吹き飛ばし!」
「『ブラックホール』で没シュート!」
作者「グワーッ! サヨナラ!」

悪は滅びた

追伸:ギャグ絵描くの楽しい



ユニオンのヤベー奴 ⚓︎

───同日 16:45 プププランド司令塔コンテナ────

 

 セイレーンの撃退後、戦いを終えた艦船少女達は司令塔コンテナに再集結していた。

 メタナイトからかけられるのは労いの言葉。

 

 だが、艦船少女達が本当に聞きたいのはそれではないだろう。

 

「あの、一ついいですか?」

「どうしたジャベリン」

「あの……指揮官のあの姿は……」

 

 視線は終始、指揮官たるカービィに注がれていた。

 無理もない。あの時、突如として姿が変わったのだから。そしてその後起きた『砲弾が跳ね返る』現象。艦船少女は能力どころか存在すら解明されていない部分はあるが、それでもカービィと比べればはるかに現実的。

 魔法、呪術、超能力。艦船少女達の脳裏に浮かんだのは自らよりもよりオカルティックな言葉。

 

 全員の視線がすでに元の姿に戻ったカービィに集まる中、メタナイトはさも当然であるかのように答える。

 

「言わなかったか? コピー能力だ。食べたものの性質を自らの身体に反映させる、汎用性の高い能力だ。もっとも、コピーにはある程度の『型』があるようだがね。ライターを飲み込んだ時も、火を噴く怪物を飲み込んだ時も同じ姿になったからな」

「いや、そういう事じゃなくて」

「なんだ、説明を求めていたわけではないのか?」

「確かにそうですけど、でも……」

 

 なんといえばいいのかわからず、モジモジとするジャベリン。

 見れば他の艦船少女も悩ましげな顔をしており、それに気がついたメタナイトは何を言いたいか察しがついた。

 

「ああ、なるほど。君たちの世界ではこういった『魔法』とか『超能力』とか『オーパーツ』とかはあり得ざるものとして扱われているわけだな」

「……そんなところです」

「ならば認識を改めるといい。このプププランドには魔術師も超能力者も無数のオーパーツもモンスターも存在する、君たちからすれば空想的(ファンタジーな)世界だ」

 

 そうメタナイトは断言するが、そう断言されたところで一体どうすれば良いというのか。

 確かに艦船少女は少女として生まれるだけあって、そういうものにある種の憧れもあるだろう。だが、果たしてモンスターもいるらしい世界を受け入れられるのだろうか。

 

 言葉と文化の壁はいつでも高い存在として、異なる者同士の間を分け隔ててしまう。

しかしそれでも『世界の法則の壁』では分け隔てられることはなく、それどころか言葉と文化の壁で阻まれる者を全てを内包する囲いであり、その中にいる我々はいわば全員同志と言えた。

 だがこの場合、世界の法則までもが違う。言葉は通じるが、今のところまともに会話できるのはメタナイトと一人のワドルディとデデデ大王のみ。デデデ大王は王という身分からおそらく城から出てこないだろうから、実質二人だ。

 残りの住人であるカービィと無数のワドルディ達とは一切会話ができない。こちらの意思を伝えられても、向こうの言いたいことがわからない。カービィの場合は喃語を話す幼児のようで、ボディランゲージや表情でわからないこともないのだが。

 

 はたして、理解できないものを信用できるのだろうか。理解できない存在であるメタナイトとカービィは、信用しても良いのだろうか。この問いが艦船少女達の間で渦巻いていた。

 

 いいや、できるはずがない。理解できないものへの恐怖は、人が等しく持つ感情であり、信用というものを抱かせるのを許さない。

 

 ……と、ここまでは人間としての心理だ。

 しかしながら、彼女らは人間と同じ精神構造をしていながら、同時に兵器であった。

 生物と無生物の融合。そんな無茶な存在であるがゆえに、その精神は建造時の定型文じみた自己紹介に代表されるように、ある程度の歪みを生じていた。

 ヒトであらんとしながら、ヘイキとしての存在意義に引っ張られる精神。

 その精神が導き出した答えは。

 

「……でも、指揮官は指揮官、なんですよね?」

「ぽよ?」

「なら、問題ないよねー」

「指揮官が指揮官であることに変わりはない、です。……綾波は指揮官もこの世界も受け入れる、です」

「ユニコーンも、かーくんを受け入れる……」

「出自、生まれは個人の価値を評価する基準たり得ません。私は指揮官様に着いて行く所存です」

「私も……同じく……」

 

 この普通ならあり得ない世界を受け入れる、という答え。

 

 人は何かを信じる。そして信じたものに固執し、それを覆される事実があったとしても、天動説と地動説の論争のように、容易くは受け入れられないのだ。

 だが、兵器は聖剣でもないのだから使う人を選ばない。使う者に馴染み、受け入れる。

 だから、兵器でもある彼女達は容易くこの世界を受け入れた。

 それは人としては少し不自然な思考回路。

 

 そしてメタナイトはなぜ受け入れる、受け入れないの話になっているのか、理解できないでいた。

 これが異世界の者同士の『超えられない理解の壁』なのだろうか。

 

 そんな中、カービィは───この中で最も異種族と接してきたカービィは────無表情で座りながら、彼女達に引っ掛かるような違和感を覚えていた。

 

 

⚓︎☆⚓︎☆⚓︎

 

 

 空が赤みを帯び始めた時。

 カービィは今朝釣りをしていた桟橋に座り、饅頭を食べていた。

 肉まんに似たナニカであるらしく、香ばしい匂いが潮風に吹かれてゆく。

 今頃軽食を食べているのは、出撃でおやつを食べ損ねたからだろう。みれば桟橋には大皿が置いてあり、びっちり着いた油や水分から、元は大皿いっぱいに饅頭が乗せてあったのだろう。それが今や数個しか残っていない。

 

 戦場となった海を眺め、無言で足を揺らしながら饅頭を食べ続けるカービィ。

 すると後ろからコツコツという靴音が聞こえてきた。

 振り返れば、そこにいたのは珍しい客────インディアナポリスがいた。

 

「指揮官……隣……いい?」

「ぽよ!」

 

 カービィは桟橋の端に寄り、インディアナポリスは開いたところに遠慮がちに腰を下ろす。

 そしてすかさず、カービィはその手を突きつけた。

 手に握られているのはさらに残っていた饅頭だった。

 

「……いいの?」

「うぃ!」

「……ありがとう」

 

 インディアナポリスはほんの少し齧る。皮は薄めのようで、すぐに具が見えた。二口、三口と齧ったインディアナポリスは美味しい、と思わずもらし、それを聞いたカービィはにぱっと笑う。

 

 その後しばらく桟橋で無言のまま饅頭を食べていた二人だが、やがてインディアナポリスが口を開いた。

 

「今日会ったセイレーン……強かった」

「むぃ」

「そして……私と同じ、重巡だった」

「むぅ?」

「本当に強かった。強い重巡だった。……私の装甲もどんどん削られてた。……最後の砲撃を、指揮官が弾いてくれなかったらどうなってたか……」

「ぽよ!」

 

 カービィがどこまで話を理解しているのかわからないが、それでもしっかりと真摯に話を聞いているのは確かであった。

 カービィは話を聞いてくれるが、何も言わないが為に、普段無口なインディアナポリスは話を遮られることはなかった。

 何も言わずに聞いてくれる人。それがどれだけ彼女にとってありがたいか。

 

 そして、インディアナポリスは自然と胸の内を吐露してゆく。

 

「私は防御型重巡。最優秀になろう(MVPを取ろう)とは思わない。でも……防御型重巡なのだから、誰かを守りたい。……そう思うの……」

 

 これがインディアナポリスの『望み』なのだろう。

 兵器として、艦船少女として生まれた彼女の望み。

 そんな思いの吐露にカービィは。

 

「……ぽよ!」

 

 もう一つ、饅頭を差し出した。

 

「え……指揮官、夕ご飯もあるからもういらないよ……」

「む〜……ぽよ!」

「包み紙?……後で食べて、ってこと?」

「ぽよ!」

「……ありがとう」

 

 カービィは言葉を発さない。

 だが、あまりに難しい単語でない限り、ある程度人の言葉を理解する。

 だから先の話も理解してないわけではないだろう。

 だからこれが……カービィなりの励ましなんだと、なんとなくわかった。

 

 包み紙に包まれた饅頭をインディアナポリスは受け取る。

 その間にもカービィは饅頭を食べ続ける。

 ほんの少し、インディアナポリスが笑みを浮かべる。

 

 その時。

 

『総員集合! 総員集合! 何者かが単騎でこちらに高速で向かっている! なんなのだ、なんなのだこの速さは!』

 

 それはメタナイトのスピーカー越しの声。

 彼らしくない酷く慌てたもの。

 

 一体何事か。それを理解するよりも前に、ソレは聞こえてきた。

 

「イィイインディィイイイちゃぁぁああああん!!!」

 

 何かを叫ぶ少女の声。発生源は海の彼方。

 みれば、何やらすさまじい高さの水柱がこちらへ向かってきているではないか。

 みるみるうちに、それは近づき、やがて肉眼で確認できるほどまで近づく。

 その正体は───

 

「イィィィイイイイインディイイイイちゃぁぁぁぁあああああん!!!」

「お……姉ちゃん!?」

「ポートランドお姉ちゃんが迎えにきたよぉおおおおおお!!!」

 

 ────白っぽい髪をサイドテールにし、アホ毛を伸ばした少女。青いセーラー服を着てはいるが、胸元は大きくはだけており、黒いインナーに包まれた豊かな双丘を惜しげもなく晒していた。

 その顔は、なるほど、美少女だろう。……ヨダレを垂らしながら恍惚とした表情さえ浮かべていなければ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 その狂乱ぶりに、能天気なカービィすら、何か嫌な予感を覚えた。





『ポートランド』

 おまたせ。レア重巡洋艦。例の姉、ポネキ、ユニオンのヤベー奴、クレイジーサイコシスコン。インディアナポリスの姉なのだが、とにかくシスコン。どれくらいかといえば、インディアナポリスの薄い本(もしくはブックカバー)を持ち、瞳に常時ハートを浮かべている立ち絵、ポートランド級の図鑑報酬にポネキ手製のインディちゃんタペストリー×3、無数にあるセリフのうち、インディアナポリスに言及しないのは手紙を受け取った時のセリフのみで、他はケッコンボイスだろうとインディアナポリスがらみ。極め付けはインディアナポリスと一緒に出撃させると自身の火力などが上昇するスキル『妹サイコー!』という具合。アズレン屈指のネタキャラ
 とはいえ、クレイジーサイコシスコンなどと言われながらも実はサイコ(攻撃的)な部分はないと言える。またレズビアンでもない。つまりは妹を劣情のまま襲うこともないし、妹に近づく者に攻撃するわけでもなく、寧ろ共にインディちゃんを愛でる同志として引き込もうとする。いわばインディ教宣教師であり、ちゃんと良識を持った態度な上、指揮官にも恋愛感情をしっかり抱くことから、指揮官達からかなり好印象を受けている。
 さらに、屈指のネタキャラでありながら、ポートランド改は最優良重巡としても名高い。アズレンはしばしば持っているスキルによって評価が分かれがちだが、ポートランドは改造しても新たにユニークスキルや強いスキルを得るわけでもない。にも関わらず最優良と呼ばれるのはステータスが純粋にバランス良く高いためである。重巡の割に回避も高め、体力も多く、更には副砲重巡なので火力値や装備補正以上の火力を出せるなどなど、レア度詐欺ここに極まれりといったステータスをしている。ぶっちゃけ『妹サイコー!』を発動させる必要すらない。(ポネキ涙目)。それもそのはず、アメリカには数百の艦船がある中、ポートランドはバトルスター累計数4位タイのバリバリの武功艦である。建造ではすぐに出てくれると思うので、出てきたら優先して育ててあげよう。

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