作者「神通掘れて嬉しい」
「……こいつ、脅威度判定を安全海域にする前に引き当てやがったのね」
「っていうか赤城も加賀も夕立も摩耶も100週程度で引き当ててる気がするのサ」
「ずるいのね!」
「でもその代わり、某ゲームで☆6ユニットが被ったり三笠を結局引けなかったりとガチャ運は散々だヨォ」
「ガチャ運と引き換えになってるのサ……」
作者「ミカ(サ)ァ!」
「オルガネタは別でやってほしいのね」
海上を水柱をあげつつ爆走する者。
奇声をあげながらこちらに接近する者。
纏う覇気……もしくは狂気は尋常なものではなく。
そんな存在がこちらに向かってくる。
いいや、こちらではない。インディアナポリスだ。インディアナポリスに向かって、一直線にやってくる。
カービィはそれに気がついた。
故に、行動した。
おそらくそれは、インディアナポリスを守るための行動なのだろう。
桟橋に掛けておいた釣竿を掴む。
そして、近づく者の足を釣竿の先で引っ掛けた。
「……あ」
一体どんな速度をもってすればそんなことが可能なのだろう。
バランスを崩した少女は錐揉み回転しながらカービィとインディアナポリスの頭上を飛んだ。
そして、はるか後方の砂浜に文字通り突き刺さった。
そのまましん、と静かになる少女。
インディアナポリスは慌てて駆け寄り、その少女を引き抜いた。
「お姉ちゃん、大丈夫!?」
「ふへへ……お姉ちゃん、インディちゃんの気配を感じて……やってきたよ……」
「しっかりして、お姉ちゃん!」
「ふふふ……インディちゃんの腕の中で眠るなら……我が人生に一片の悔い……無し……」
「お姉ちゃん!?」
その後、砂浜に突き刺さった衝撃で混乱していただけで、特に外傷はないことが判明した。
⚓︎☆⚓︎☆⚓︎
「……で、結局接近してきたのはインディアナポリスの姉だと?」
ダイニングコンテナにて、メタナイトが腕を組み、呆れたように確認を取る。
その視線の先にあるのはインディアナポリスと、彼女にべったりくっついている艦船少女、ポートランド。
文字通りべったりとくっついており、それに対してインディアナポリスはまるで慣れているかのように凪のような態度を取っている。
そんな光景を冷めた目で見ながら、メタナイトは二人に問い詰める。
「しかし……姉と言われても、インディアナポリスはここの建造ドックで生まれたが、ポートランドなる艦船少女を建造した覚えはないぞ?」
「だとしても私はインディちゃんのお姉ちゃんであることは変わらないんです!」
「……お姉ちゃんは、お姉ちゃんだから……」
「……すまん、理解できない」
「おそらくはメンタルキューブによるものでは?」
要領をえない答えに頭を抱えるメタナイトに助け舟を出したのは、フッドだった。
「それは?」
「私たちを生み出すメンタルキューブには『カンレキ』なる記憶が込められているのです。私たちが生まれたてでもある程度の知識、知能を持つのはそのためです」
「では、その『カンレキ』とは?」
「……私たちも漠然と覚えているといった形で曖昧なのですが……言うなれば『どこか異世界の戦時下の船の記憶』でしょうか?」
「……つまり、この二人の場合、異世界にて彼女らは姉妹艦であった、と?」
「かもしれません。この場にユニオンの子がいればもう少し詳しくわかるのかもしれませんが……」
「私だよー。でもー、あまり接点ないからわかんないよー」
「そうか……」
その間にもポートランドはインディアナポリスに頬ずりをしており、見ていて少しインディアナポリスが気の毒に見えてくる。
当の本人は気にしてはいないようだが。
「えー、ではポートランド」
「ん? なんですか?」
「インディアナポリスはこの艦隊に所属している。そして見た所君も艦船少女のようだ。そこで提案なのだが────」
「はい! この艦隊に入隊します!」
「…………そうか」
メタナイトが言い終わるよりも早く、ポートランドは宣言する。
その勢いにメタナイトは力なく頷くことしかできない。
しかしそんなこと無視してポートランドはカービィの方を向く。
「よろしく、指揮官さん!」
「ぽよ!」
「……ん? カービィ、ポートランドに自分が指揮官だと伝えたか?」
「ぽょ?」
「では、誰かポートランドに教えたか?」
返ってきたのは否定の返事。
一体いつカービィが指揮官であることを知ったのか。
その疑問を悟ったのか、再びフッドが口を開く。
「それは艦船少女としての本能では?」
「そうなのか?」
「ええ。私たちはなんとなく、誰が指揮官であるのか察知できますから」
「……そういえば建造した時はまずはいつもカービィの方を向いて挨拶していたな。……ふむ、説明されても不思議なことには変わらんな」
「私たちも私たち自身についてわからないことが多いですので」
「ふむ。……そういえば、そもそもポートランドは一体どこからきたんだ? まさか、すでにどこかに所属しているとかはないよな?」
「あ、それはないですよ。ずっと海上をウロウロしてたので!」
「……うろうろ?」
「艦船少女は自然発生することがよくあるようです」
「……それもメンタルキューブの謎かね?」
「そういったところです」
そのまま黙り込む二人。
誰も口を開くことはなく、ポートランドがインディアナポリスを愛でる声とカービィの腹の音のみがやけに大きく聞こえる。
こんな雰囲気ではまずいと思ったのか、ジャベリンが手を振り上げる。
「さ! 早く夕飯にしましょう! ねぇ指揮官!」
「うぃ! うぃ!」
「……それもそうだな。ああ、あと言い忘れていたが、この後は久々に建造をしよう。メンタルキューブを新たに手に入れてな……」
⚓︎☆⚓︎☆⚓︎
夕食を終えた一同は建造ドックに集合した。
そこにはすでに何人かのワドルディがたむろしており、いくつかのメンタルキューブをつついて遊んでいるようだった。
「うわぁ、指揮官みたいな球体生物がいっぱい……」
「いらっしゃい。あれ、見ない顔だね? こんな子建造したっけ?」
「ちょっと色々あってな」
メタナイトはバンダナのワドルディに事のあらましと艦船少女の自然発生について伝えた。メタナイトはメンタルキューブについての謎がより深まったと唸ったが、それを聞いたワドルディは「難しいことはいいや」と初っ端から思考を放棄していた。
「わからないものをわからないまま使うなんてよくあるでしょ? スターロッドみたいに」
「それはそうだがな……」
「だったらメンタルキューブは艦船少女の素体。それだけでいいんじゃない? さ、早く建造建造」
そう言ってテキパキと建造の準備を始めるワドルディ達。
能天気さにメタナイトは呆れるが、そもそもプププランドは能天気な住人がほとんどであったことを思い出し、処置なしと頭を振る。そもそもどうして昔自分はプププランドを襲撃したのか、忘れていたようだ。
ある種の諦めの感情を抱いたメタナイトは無言でワドルディ達の準備を見守る。
やがて、準備が完了する。
「さ、カービィ。後はよろしく」
「うぃ!」
元気の良い挨拶とともに、カービィはメンタルキューブを四つ、放り込む。
表示されたのは『1:00:00』と『2:05:00』。
カービィは続けて流れ作業のように高速建造材を差し込む。
作動した高速建造材は役目を果たし、『1:00:00』の数字がゼロになる。
建造ドックが開き、現れたのは儚げな少女。纏うのは黒いゴシックな衣装。『耳』のある黒いフード。周囲に人魂と、巨大な連装砲を浮遊させている。
「あなただったのね? 指揮官。私、エレバス────遥か遠い暗黒の世界から、あなたの呼び声を聞いて……」
そして、ピタリと動きを止める。幾度となく見た光景だ。
「……まさか、暗黒の世界から魔界へ来るとは思わなかったわ」
「たしかに魔物はいるが、そこまで魔境というわけではないぞ」
「そうなの、指揮官?」
「うぃ!」
そして真っ先にカービィを指揮官と呼ぶ。やはりフッドの指揮官を探知する能力というものは本当にあるらしい。
「人魂を浮遊させる君が一番魔的ではあるが……まぁいい。説明はもう一人を迎えてからだ」
「ぽよ!」
カービィは飛び上がり、高速建造材をねじ込む。
現れたのは白い軍服の女性。しかしながらその胸ははち切れんばかりに大きく、きつそうに見えた。黒髪を白いリボンでポニーテールにし、刀を抱え、垂れた犬耳を生やしている。
「そなたが指揮官か? 拙者は高雄、微力ながら力を尽くす所存……だ、が……まさか人外とは思わなかったぞ」
「うむ。ではある程度状況を説明しよう」
二人にざっくり現在の状況を説明する。
然りやはりというべきか、彼女らは何も疑問を呈することもなく、ただ指揮官たるカービィを受け入れることを決めた。
「指揮官がたとえ人外であろうとも、私は指揮官に従い、敵に死を与えるのみよ」
「同じく。拙者は指揮官殿の刃であり、ただその御心のままに振るわれるのみだ」
「そうか。では編成について諸々は明日協議しよう。今日はもう遅い。……コンテナを新たに三つ用意せねばな」
メタナイトのその言葉に続いた、カービィの返事をきっかけとして、建造ドックに集まった艦船少女達は自らの部屋に戻って行く。
新たに加わった3人の艦船少女にも即日コンテナが用意され、寝床に困ることはなかった。
ただ、ポートランドは与えられた自室ではなくインディアナポリスの部屋で寝泊まりしたいと言いだし、他の面々をげんなりさせたのはまた別のお話。
それを除けば、非常に穏やかな夜であった。
───4/10 8:35 プププランド────
夜の静寂さが嘘のように、その日は慌ただしかった。
それは、領海に“ソレ”が現れたから。
確認された艦船少女、十二人。確認された大型輸送船、五隻。
その船団は『アズールレーン』の紋章を掲げていた。
『エレバス』
Sレア砲艦。セリフの通りちょっと厨二っぽい。だがそれがいい。砲艦の特徴としては低燃費かつ高火力でスキルの特殊弾幕が強力だが軽装甲かつ低耐久で打たれ弱いというピーキーな性能を持つ。特殊弾幕の形状上旗艦にしたいが、打たれ弱さが災いしてちゃんと対策をしていないとあっという間に大破してしまう。ぶっちゃけ運用には愛が必要。ちなみにスキル発動時のセリフは『いっぺん、死んでみる?』元ネタはお察し。なお、妹のテラーと違ってぺったんこであr「いっぺん、死んでみる?」うわなにするやめr
『高雄』
SSレア重巡洋艦。雷撃型重巡と呼ばれるが、砲撃火力も高い、まさに攻撃特化重巡。しかも一部の攻撃特化重巡と違い中装甲なのでそこそこ打たれ強い。……回避は低いので過信してはダメだが。保有スキルにより、確率は低いが砲撃ダメージと雷撃ダメージが実質2倍となる。が、そんなことはどうでもいい。目を引くのは見事すぎる胸部装甲である。あとパンスト越しのパンツ。妹の愛宕も同じような胸部装甲持ちである。……そういえば艦これも戦艦少女も高雄と愛宕は凄まじい胸部装甲を持ってたような……? 高雄と愛宕は豊乳にしなくてはならないという取り決めでもあるのだろうか?