ププープレーン 〜遍く照らす星の航路〜   作:糖分99%

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「えーこの度は集まってくれてありがとうなのね、マルク、マホロア」
「あれ、なんでボクらが集められたのサ?」
「ウーン、わからないネェ。どうしてだいタランザ? 本編では出番まだダヨネ?」
「……作者から『お"ま"え"ら"の"出番ね"ぇ"がら"ぁ"!』っていわれたのね」
「( ゚д゚)」
「( ◔ ౪ ◔)」
「マルクの睦月顔は冗談抜きで似てるからやめてほしいのね」
「そんなのってないヨォ」
「酷いのサ! 横暴なのサ!」
「『東方桃玉魔』で活躍したからいいだろう』って言ってたのね」
「いやそれデモ……」
「ボクほとんど敵なのサ!」
「……マルクとマホロアはいいのね。敵でも出番は何話にも渡ってあったのね。私なんかデデデ大王との共闘ぐらいしか出番なかったのね。なのに『三大悪マスコットキャラ』で一括りされて一緒に出番を無くされたのね」
「あっ」
「あっ」
「……」
「……元気出すのサ」
「そうだヨォ。一緒に頑張っていこうヨ」
「……私達三人で作品の解説とかをして欲しいって頼まれたのね……初回からやっていくのね……」
「おう。頑張るのサ」
「で、初回は何するノォ?」
「今後の展望なのね。予定ではこの作品は長くても今年中に完結するつもりなのね。そしてカービィ陣営として登場するキャラは40人って言ってたのね」
「かなりの数なのサ!」
「でもアズレンのキャラ総数の比べると十分の一くらいじゃないカナァ? 『あのキャラがいない』『このキャラがいない』って意見が出そうな気がするヨォ?」
「それは織り込み済みらしいのね。40のキャラ全て内容は決まっていて、どういう活躍をさせるのかも決まってるらしいのね。だから申し訳ないけど了承して欲しいって言ってたのね」
「そうなのかぁ」
「とりあえず、『ププープレーン』をよろしくネェ」
「……このコーナーが人気だったら私達が本編に出るかもしれないのね」
「ガタッ」
「ガタッ」




メンタルキューブと強行偵察

 艦船を増やす。バンダナのワドルディの提案に対し、ジャベリンは特に反応しない。

 と、いうよりも「それが当然だ」と言わんばかりに落ち着いていた。

 

「それでいいと思いますよ? 私一人だと戦えなくはないけど、流石に一人じゃ……」

「そうなの? なんか色々武器持ってるから強そうに見えたんだけど……ほら、その槍とか」

 

 バンダナのワドルディはジャベリンが抱えている投槍を指差す。それに合わせて周りのワドルディも同調するように一斉に頷く。

 対するジャベリンは微妙な表情を浮かべる。

 

「あー……実はこの槍、ほとんど飾りなんです」

「……え?」

「私たち艦船が戦うときに使うのはこの『艦砲』と『魚雷』なんです。空母は『艦載機』を飛ばしたりできますけど……とにかく、艦船が得意なのは格闘じゃなくて遠距離攻撃なんです!」

「えー……じゃあなんで槍なんか持ってるの?」

「それはその……アイデンティティというか……」

 

 微妙な空気がワドルディ達とジャベリンの間で流れる。そんな空気はどこ吹く風とばかりにカービィは欠伸をし、空舞う蝶を目で追う。

 

 そんな空気にいたたまれなくなったのか、無理にジャベリンは声を張り上げ、投槍を振り上げる。

 

「さ、さぁー! そんな事よりも早く建造! 建造です! どうせなら大型や特型を建造しましょう!

「お、おー!」

 

 カラ元気のジャベリンに乗せられ、ワドルディ達も合わせて手をあげる。こうやって場の空気を(若干強引だが)変える才能をジャベリンは持っているのかもしれない。

 空気を変えることに成功したジャベリンは満足げに頷くと、ガチャガチャと建造ドックを弄り始める。

 

「何してるの?」

「あ、建造ドックの設定が『小型』のままだったから『特型』に変えたんです」

「その違いってなんなの?」

「『小型建造』で私みたいな駆逐艦や軽巡洋艦が建造されるんです。『大型建造』で軽巡洋艦や重巡洋艦、戦艦が建造されて、『特型建造』で軽巡洋艦や重巡洋艦、空母や工作艦が建造されるんです。大型と特型はメンタルキューブ二つ必要でちょっとコストは高いけど、それに見合った強い艦船が生まれますよ! 今回は一人いると便利な空母が欲しいな、って」

「へぇー。個人的には戦艦のほうが……あ、でもなんか沈むイメージしかないなぁ」

「いつかは戦艦もいて欲しいですね。じゃあ指揮官! お願いします!」

「うぃ!」

 

 『指揮官』と呼ばれ自分のことだと察したのだろう。元気よく返事をし、ワドルディからメンタルキューブ二つを受け取り、建造ドックに投げ入れる。

 すると建造ドックはゴウンゴウンと唸りを上げ始める。それと同時に『2:15:00』というカウントが減り始める。

 

「これが建造時間です。大型や特型は大体長くて、特に長いものだと五時間以上かかることもあります」

「それでも一人の人を生み出すにしても、一つの兵器を生み出すにしても短い時間だなぁ。……本当にどうなってるんだろ、コレ(建造ドック)

「さらに『高速建造材』があると一瞬で建造が終わりますよ!」

「確か……ドリルだっけ?」

 

 そう呟くと、またワドルディ達は一箇所に集まり、頭を突き合わせてわにゃわにゃと会議を始める。

 やがて一人のワドルディがどこかへと走り去り、しばらくするとまた去っていった方向から戻ってきた。

 その頭上には高速建造材を掲げて。

 

「あ! それですそれ! それが高速建造材です! どこで見つけたんですか?」

「落ちてたらしいよ。地面にぽん、と」

「へ?」

「持ってくることはできなかったけど、道中にもいくつかメンタルキューブが地面に転がってたんだって。……ちょっと前まで無かったのに」

「メンタルキューブとか高速建造材ってそこらへんに転がってるものだったっけ……?」

 

 ワドルディにとってもジャベリンにとっても不可解な事実が次から次へと明らかになる。

 だが残念ながらその真実を明らかにできる情報も手がかりも今は何もない。とにかく今できるのは来るかもしれない(セイレーン)に備えることだけだ。

 

 カービィは高速建造材を受け取り、建造ドックに差し込む。

 するとやはり、スイッチも何もないドリルは勝手に回転し、そして力尽きたかのようにぽとりと落ちる。

 そして開発ドックは蒸気を吹き出し、その蓋を開ける。

 その中から現れたのはまたも少女。黒髪はストレートで腰に届くほど長い。その耳にはヘッドホンを当て、着ているのは袖が余りに余ったパーカーのみ。そして背負っているのはまるで道路の一部のような板。

 ちょっと気だるげな印象を受けるその少女はやっぱりちょっと気だるげな声で決められたように挨拶する。

 

「こんにちわー指揮官。私はロングアイランドー……ぉ?」

 

 そして目の前の光景を見て固まる。

 目に入ったのは紫の髪の駆逐艦、ジャベリン。艦船がいることに疑問はない。

 が、問題はそれ以外全て。目の前に広がるのは港ではなくのどかな自然の中。自分と同じ人型をした指揮官に迎えられると思ったら、目の前にいるのは数十センチほどの数えるのも馬鹿らしいほどの数がいる橙色の球体生物と、間近でこちらを見上げる一体の桃色の球体生物。

 ロングアイランドと名乗る少女は目に見えて青ざめ、ずざざっと後ずさり、開発ドックにへばりつく。

 ジャベリンはその光景を「あー自分もこんな感じだったんだろうなー」と先輩としての若干の優越感……というよりもこの状況に慣れつつある達観から遠い目で眺めていた。

 

 が、状況が全く飲み込めていないロングアイランドはそれどころではない。

 

「私は幽霊さん……私は幽霊さん……だから見えてない……見えてない……はず……」

「はぁい!」

「うひぃ!?」

 

 最大の好意をもってカービィは声をかけたのだろうが、当のロングアイランドは開発ドックの中で丸まりガタガタと震えだした。

 不思議そうにカービィは近寄り、パーカーを引っ張ったりしているが、その度にビクンと大きく震えるだけで全くこちらを見ようとしない。

 埒があかないと思ったジャベリンはカービィに任せるのではなく自分が出る時だと思い立ち、前に出た。

 

「えっと、ロングアイランドちゃん? 私はJ級駆逐艦のジャベリン。この艦隊の最初の艦船だよ! よろしくお願いします!」

 

 ジャベリンの言葉にようやく恐怖以外の反応を示す。そしてそっとジャベリンの方を見た。

 

「艦隊……? ……ここが?」

「そう、艦隊。そしてこの子が指揮官のカービィ」

「はぁい! カービィ、カービィ!」

「えっと、いい子だよ? そして向こうにいるのがワドルディ。……どの子もワドルディだから区別つかないけど。あ、バンダナの子は喋れます!」

「よろしくロングアイランド」

 

 バンダナのワドルディが前に出て挨拶し、後ろのワドルディ達が無言ながらもにっこりと笑う。

 

 正体不明だが無害そうな彼らを見てなんとか落ち着きを取り戻したのだろう。座り込んだままだがようやくこちらをちゃんと向いてくれる。

 

「えっと……あなたが指揮官なんだよね?」

「……はぁい!」

「よ、よろしくねー、指揮官ー」

「うぃ!」

 

 するとカービィは余ったパーカーの袖を掴み、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。きっと握手しているつもりなのだろう。

 その愛らしい姿に完全に落ち着きを取り戻したロングアイランドは、ようやくあたりを冷静に見渡し、疑問を口にする。

 

「それにしてもここはどこー? 港はないし、屋根はないし……日差しが辛いー……」

「あ、それはね……」

 

 ロングアイランドにジャベリンとバンダナのワドルディ二人で現状でわかることを推測を交えて説明する。

 すると見る見るうちにロングアイランドの顔は険しくなってゆく。

 

「むー。幽霊さんは難しい話はわからないのー」

「私もサッパリです……」

「ボクらワドルディも頑張って調べてはみるよ」

 

 バンダナのワドルディの言葉に他のワドルディ達もうんうんと頷く。

 見た目は可愛らしいが、その自信ある目を見ればきっと頼りになる……のだろう。

 その様子に何故か目を輝かせたロングアイランドはスッと手をあげる。

 

「任せたー。ところで質問なんだけど……どこか休めるところはないのー?」

「休めるところ?」

「幽霊さんは日差しが苦手なのー!」

「日差しが苦手? ポカポカして気持ちがいいよ?」

「うぃ!」

「幽霊さんは暑いのも寒いのも日差しも無理なのー! 冷暖房完備の個室でゆったりダラダラしたいのー!」

 

 なんて言いながら腕をぱたぱた振って駄々をこねるロングアイランド。

 その様子を見てジャベリンはあの時目を輝かせた理由を悟る。

 

 ロングアイランドという空母はどうやらかなりだらしない性格のようだ。おそらくあの時、「ワドルディ達が頑張ってくれるなら自分はこの面倒事の解決に協力しなくても済む!」なんて考えたのだろう。

 艦船というものは自分含めてかなり『濃い』面々が多いが、ロングアイランドはその中でもとりわけ『濃い』子のようだ。

 前途の多難っぷりを考えると、ジャベリンの顔にも自然と苦笑いが浮かぶ。

 

 

 ────と、その時だった。

 

 ドゴゥ、と何かが炸裂する音が響く。

 その音は低く、くぐもっており、どこか遠いところで響いていると分かる。

 だがその音は……並大抵の大きさではない。

 そしてその音が立て続けに二度、三度と起こる。

 音がするのは海の方。皆弾かれるように海へと顔を向けた。

 

「あっ! あそこ! あそこです!」

 

 最初に気がついたのはジャベリンだった。

 水平線の彼方に見える、巨大な水柱。それが現れた数秒後にまたあの炸裂音が鳴り響く。

 

「なんだろうあれ……大砲……かな?」

「ぽよ?」

「ロングアイランドちゃん! 艦載機! 艦載機飛ばして!」

「わ、わかったよー! いけー!」

 

 ロングアイランドは混乱しているが、ジャベリンの言われるがまま、道路の一部を切り取ったような板を構える。

 するとその板に小さな飛行機がいくつか現れ、低いエンジン音を響かせ大空へと飛び立った。

 

 

⚓︎☆⚓︎☆⚓︎

 

 

 ───同日 14:42 『P3』近海────

 

 『P3』最寄りの港に停泊していた艦船によって急遽本部からの命令により編成された『強行偵察隊』は間もなく偵察対象『P3』の視認範囲へと突入しつつあった。

 

 メンバーは六人。青い髪の少女、軽巡洋艦ヘレナ。猫耳を生やした銀髪のメイド少女の駆逐艦ハムマン。赤い髪の活発そうな印象を受ける軽巡洋艦フェニックス。巨大な飛行甲板をまるでライフルのように持つ空母レンジャー。黒と黄色いカウガールのようなファッションが印象的な空母ホーネット。月桂樹を被り、長い金髪を潮風に流す様が女神のようにも見える空母ヴィクトリアス。

 彼女達は計器を確認しながら目的地が近いことを確認した。

 

「……そろそろですね」

「だなー。それにしても急に浮上した島なんて……宝島みたいでワクワクするな!」

「分かる分かる! にしし、金銀財宝あったらどうしよー! 分け前どうする、どうする?」

「そんなこと言って、セイレーンの巣窟だったらどうするのだ! 調子に乗って近づいてもハムマンは守ってやらないのだ!」

「確かに……急に浮上したってのは気になりますね……やっぱりセイレーン関係でしょうか」

「そうだとしたら島ごと爆撃して吹っ飛ばせばいいのよー」

「……そういう力技はどうかと思うんですけど……あ、SGには反応なしです」

「む、見えてきたのだ!」

 

 ハムマンの指差す先。そこには確かにあるはずのない島があった。

 他の少女達も目的の島を視認し、各々準備を始める。ヘレナはくるくる回るSGレーダーを調整し、ハムマンは魚雷の調子を確認し、フェニックスは双眼鏡で島の様子を確認し、空母達は艦載機の最終チェックを行う。

 

「あー、あるある。あれが報告にあった『四つの尖塔とドームをもつ巨大建造物か。デカいなぁ。共和国で見た孤島の寺院くらい大きいんじゃないの?」

「報告の通りですか……では事前の打ち合わせ通り私とフェニックスさんで『P3』に接近して調査。レンジャーさん、ホーネットさん、ヴィクトリアスさんはここから艦載機による調査、ハムマンさんは三人の周囲の警護をお願いします」

「ハムマンに任せるのだ!」

「ええ、まっかせてよ!」

「攻撃されたら爆撃してもいいでしょう?」

「ダメです」

「ヴィクトリアス……貴女本当に脳筋ね……えっと、何かあったら連絡してくださいね? 有事の際は艦載機で援護しますから」

「なによ、レンジャーも爆撃する気じゃない」

「貴女の見敵爆撃のスタンスとは違いますよ!?」

 

 重要な偵察任務の最中とは思えないほど気楽なムードだが、戦場においてはこの気楽なムードこそが士気を高める。

 張り詰めた空気にずっといれば、いつかは耐えきれなくなり潰れてしまうものなのだ。それは艦船少女であっても同じこと。……いや、兵器として生まれながら人間と同じ感情を持つ彼女らは当然と言える。

 

 最終チェックを終えた彼女らは予定通りの作戦行動を行う。

 

 ───が。

 

 思いっきり頭を殴られたかのような衝撃が彼女らを襲う。なにが起こったのか把握するよりも前に大量の海水が頭上からバケツをひっくり返したように降りかかってくる。

 呆然とする中、再び衝撃が走り、水が振りかかる。

 

 ここでようやく────自分たちが大口径の砲で砲撃されているのだと知った。

 

「本部! 本部! こちら『T隊』の『P』! 14:46、ただ今所属不明の砲により砲撃された! 敵影確認できず!」

「SGに反応なし!? どこから撃ってるの!?」

 

 偵察隊を襲う混乱の最中、対空レーダーを弄っていたハムマンが声を上げる。

 

「……嘘」

「どうしたの!?」

「空……空に何か浮いてるのだ」

「何が? 艦載機?」

「いや……もっと巨大なものが……とにかくとんでもなく大きいのだ」

 

 皆空を見上げる。だが、そこには何も見当たらない。

 だが今なお、砲撃は続く。威力は凄まじく、耳が馬鹿になりそうだ。

 

「どうするヘレナ! 接敵は覚悟していたが、相手の武装の強さは想定外だぞ!」

 

 フェニックスは本部と連絡を取りながら双眼鏡で『P3』を観測するという器用なことをやってのけながら怒鳴る。

 ヘレナは唇を噛み締め、絞り出すように指示を出した。

 

「……撤退。撤退です!」




「あとがきにもでるのね」
「むしろあとがきにやるのが解説として正しい姿じゃないのサ?」
「そうだネェ。それで今回の解説ハ?」
「『T隊のP』ってセリフなのね。これはフェニックスのセリフで、T隊はこの強行偵察隊のコード、Pはフェニックス自身のコードなのね」
「ずいぶん安直な気がするのサ」
「でもまぁ、正規軍ダシ、コード振らずに通信機で本部と会話ってのもおかしいネェ。絶賛戦争中ナノニ」
「そういうことなのね。他にも気軽に質問してくれたら私達が感想欄で答えるのね」
「『Q』がボクらを呼び出すサインなのさ! でも作品に関係ない質問は許してちょーよ!」

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