ププープレーン 〜遍く照らす星の航路〜   作:糖分99%

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「出雲建造とは関係なく、今週はリアルで忙しいのね」
「だから今週1週間、更新できないのサ」
「忘れているわけではないカラ、許してほしいヨォ」
「あといつもの解説なのね」
「反響が良くて解説が本体になりそうなのサ」
「自分達の出番が増えそうだからダンケダンケだヨォ」

『ペンシルベニア』

 レア戦艦。男気溢れる頼れる姉貴分のような方。虫も殺せないらしい指揮官を守ろうとしてくれる。指揮官の一歩前で檄を飛ばしながら引っ張ってくれる性格で、頑張って親愛度100になるとご褒美にキスか忘れられないほど素敵な夜かどちらかを選ばせてくれる。当然レンジャーは「ハレンチな!」とか言いながら赤面してる。なお、私よりも大分後に始めた友人は彼女のスキルを9に上げた模様。……あれ、私の艦隊でレベル9になったのエンプラだけだったような……しかも割と最近……この差は一体……?(無節操に色んな艦のスキルレベルを上げてるからです)

『ルルイエサーバー』

 2017/10/5……とうとう浮上してしまった実在するサーバー。しかしルルイエが浮上しても原作小説のような混乱はなかったことからアズレン世界の住人は大いなるクトゥルフの脳波に耐性があることが判明。サーバー内でのチャット挨拶は『こんいあ』。アズレンを始める時サーバーを選べるのだが、選択欄に『ルルイエサーバー』があることにまず爆笑し、そして選択しようとしたら既に満員であることに涙を流した作者の淡い思い出のサーバー。なお、もしあの時ルルイエサーバーに入れていたら今頃このSSの主人公はカービィではなくクトゥルフだった

謝謝茄子(シェシェチーズゥ)

 日本語に直すと『ありがとナス』。つまり淫夢用語。『真夏の夜の淫夢』が中国に伝わり、現地語に訳され、アズレンとともに逆輸入された。それだけならまだ俗語で済んだが、あろうことかとっても愉快なアズレン運営が公式スタンプに採用した。それ以外にも『射爆了(シャーバオラ)』、『緊急射爆案件』といった隠語もしっかり公式は採用した。意味は察して

『ひよこ』

 ニワトリ(鶏、学名:Gallus gallus domesticus「仮名転写:ガルス・ガルス・ドメスティカス」)の日本における幼鳥の俗称。しかしアズレンにおいては指揮官の最大の敵として立ちはだかる。接続障害において延々と飛び跳ね続ける『無限ひよこ』にやりきれない怒りを抱いた指揮官は数知れず。それ以外にも憎き自爆ボートを操縦していたりとありとあらゆる場面で我々の脅威として艦隊の前に立ちはだかる。にも関わらずアズレンのマスコット面しているからなお腹立たしい。なお若鶏は親鳥と比べ身が柔らかくジューシーで美味。登場するのは総じて羽毛の黄色い幼体だが、かなり大型なので可食部分は親鳥並みにあるだろう。とりにく大好きです。じゅるり。

『重巡三隻編成』

 昔作者が本当にやってた超脳筋戦法。メリットは前衛最高の火力ソースである重巡を三隻入れる事により、ガンガン敵が溶けてゆく事。デメリットは速力がひたすら遅い事、重巡の判定回避力が低いのでガンガン被弾する事。ぶっちゃけデメリットが多い。が、当時の作者は「え? 移動速度遅い方が弾幕避けやすいでしょ?」という東方脳をしていたため何の疑問も持たず使いこなしていた。きっと東方経験者の貴方なら使いこなせる。最近は綾波や夕立の魚雷で敵を吹っ飛ばす快感を覚えたのであまりやってない。


ユニオンと歓迎会

 ───同日 20:35 ユニオン某所────

 

 ユニオンに位置するユニオン軍本部の会議室の一室は紫煙で充満し、中央に置かれた海図が若干霞んで見えるほどであった。

 しかしそんな環境であるというのに煙草の火を消さないのは、ここにいる者たちのストレスの度合いを表していた。

 

 そしてここにいるのは───ユニオン大統領を除く────ユニオンの軍部の最上位に位置する者たち。

 当然その頭脳はその地位に上り詰めただけあって優秀である。変態といってもおかしくはあるまい。

 だが、そんな猛者たちですら、頭を掻き毟りたくなるほどの案件であった。

 それも当然だ。島一つが何の前触れもなく浮上したのだから。

 

「マーシャル参謀総長」

 

 海軍帽を被る壮年の男、アインド・キング艦隊司令長官は陸軍帽を被るジョン・マーシャル陸軍参謀総長に目を向ける。

 その眼光は鋭い。幾多もの戦場を生き延びた者だからこそできる目だ。

 キングの横にはシェスター・ニミッツ太平洋戦域最高司令官が控え、マーシャルの横にはダーレス・マッカーサー南西太平洋戦域最高司令長官が控えていた。

 キングとニミッツは海軍。マーシャルとマッカーサーは陸軍。

 大体の国家において海軍と陸軍の関係というものは良い場合は極めて少ない。

 ユニオン軍もまた同じであった。

 

「『P3』は北太平洋に位置する。我々の管轄として行動しても構わんね?」

 

 その発言に対し、マーシャルはキングを一瞥する。

 

「『完全に』そちらに委ねるのには賛成しかねるな。あそこは東南アジアへの足がかりにもなりうる。貴様のみの管轄にすることは許さん」

「それは『P3』が軍事活用できるようになってからの話だろう? 儂が言っているのは軍事活用できるようにする為の一切の軍事行動についてなのだが?」

「貴様にできるのか?」

 

 マーシャルとキングが睨み合う。対面の席であるために、その中間地点で火花が散っているのを幻視する。

 

 その間、隣のニミッツとマッカーサーは軽く胃を痛めながらアイコンタクトをし、ニミッツは声を上げる。

 

「その『P3』の原住民と思しき者から書状を強行偵察隊に所属していた艦船から受け取っております」

「内容は?」

「読み上げます」

 

 ニミッツは書状を開き、読み上げる。

 『P3』の原住民はどういうわけか英語を知っていたようで、若干ロイヤル訛りがあるが見事な英語であった。

 差出人として書かれているのは『メタナイト卿』という名前であり、爵位のある人物であるようだがファミリーネームや爵位持ちにありがちなミドルネームも書かれていないことから偽名であるという見解がある。

 

 その内容を大まかに要約すると────

 

・プププランドはプププランド島および周辺諸島、および250海里の領海の保持および主権を主張する。

・プププランドはアズールレーン、レッドアクシズどちらにも属するつもりはない。

・プププランドは可能ならば交易を行うことを希望する。ただし、アズールレーン、レッドアクシズの両陣営間で差を設けるつもりはない。

・その際、セイレーンに関する情報の開示も希望する。

・プププランドに対して侵略活動を行うようであれば主権を持つ国家として然るべき対応を行う。

 

────というものであった。

 高圧的と言わざるを得ない文面に、参加する者達の顔は険しくなる。

 

「250海里だと? 正気か?」

「当たり前のように書いてあるが……まさか世界の常識が全く違う異世界から来たとか言うまいな?」

「セイレーンもどこから来たのかわからない、世界の常識が全く違う生物ではありませんか。そこに関しては単なる常識の違いとして受け止めるしかありません」

「だが250海里もの領海を認めるのか? 無理だろ?」

「……対話が必要だな。その際にはプププランドとやらが望む交易とセイレーンの情報を交渉カードにすれば良い」

「待て、待て」

 

 会議室が騒がしくなる中、キングが一旦制する。

 

「セイレーンの情報を渡す気か?」

「何か問題でもあるのか?」

 

 訝しげな目声を出したのはマーシャルだった。

 呑気とも言えるその言い方が癪に触ったのか、キングは激昂する。

 

「問題だ! 問題しかない! どこまでの情報を流すのかは知らんが、アレは機密中の機密だぞ!?」

「だが陣営不明の国家を放置するわけにはいくまい。ある程度の関係を結ぶのは最重要だろう」

「もし第三のレッドアクシズ国家となったらどうする! その情報を元にセイレーンの技術を応用しだしたりすればどうなる! 戦線を三つ……いや四つ持つつもりか!」

 

 会議室はしんと静まりかえる。

 耳が痛くなる静寂。誰もがその重圧に口を開けずにいた。

 

 そしてようやく、その静寂を斬り裂ける存在、マーシャルが口を開いた。

 

「ニミッツ。貴官は強行偵察隊が受けた反撃の内容を知っているな?」

「把握しておりますが」

「確か、『高空より戦艦主砲に匹敵かそれ以上の威力の砲撃を受けた。敵影は目視できなかったが、対空レーダーには正体不明の巨大な浮遊物が映った』。そうだったな?」

「はい」

「つまり相手は文字通りの未確認飛行物体(UFO)を保持しているわけだ。対空レーダーにやっと映り、飛行する、戦艦主砲クラスの砲撃力を持つ兵器を。それがいくつあるのかわからない。それがどんな速さで飛び回るのかわからない。確かに脅威ではあるが……同時に引き込めば相当なリターンがあると思わないかね?」

 

 キングは顔をまだらに染めるが、何も言わない。

 またしばしの静寂が会議室を包んだが、やがてマーシャルは一つ妥協案を出す。

 

「……確かに、セイレーンの情報の漏洩は避けたいところだ。セイレーンに関する情報は漏れても構わない周知の事実のみ。そして……」

 

 マーシャルは瞳と口調に力を込める。

 

「プププランドは我々アズールレーン陣営であるという既成事実を作ってしまおう」

 

 

⚓︎☆⚓︎☆⚓︎

 

 

 ───同日 21:12 プププランド────

 

 もうもうと上がる湯気。漂う香辛料の香ばしき匂い。明かりを反射するみずみずしい果実の数々……

 

 カービィやジャベリン達が帰還すると、出航した砂浜にはいくつもの巨大コンテナが並べられていた。

 用意したのはメタナイトで、『寝る場所がないだろうから、我々メタナイツが保有している客室コンテナを貸し出そう』との事だった。

 天窓付き、冷暖房完備のなかなか快適な部屋で、少々狭いが人独りが生活するには十分な広さもある。

 ロングアイランドは早速ベッドに潜り込んでいた。

 また、カービィもどこかに家を持っているようなのだが、艦船少女達がカービィを指揮官と慕うのを見てか、艦船少女達の寝泊まりするコンテナの近くに移動されていた。

 

 そして今、『キッチンコンテナ』で作られた数々の料理が『ダイニングコンテナ』のダイニングテーブルに並べられていた。

 料理に自信のあるワドルディが作り上げたものらしい。

 意外にもその中にアックスナイトやメイスナイトも混じっていた。料理は水兵の嗜みらしい。

 そうして並べられたのが目の前の料理の数々である。

 

 鳥肉を焼いて塩胡椒で味付けしたシンプルなものや、トマトがそのまま乗っていたりとワイルドなものもあるが、パスタや餃子、クロワッサン、お寿司など、どこかで見た料理も並んでいた。

 無国籍な料理の数々に目を輝かせる艦船少女達。

 

 が、それ以上に目を輝かせていたのが……

 

「ぽよ! ぽよ!」

「し、指揮官!? はしゃぎ過ぎだよぉ!」

「指揮官……もしかして食いしん坊です?」

 

 他ならぬカービィであった。

 

「だめだよカービィ。これ皆んなの歓迎会なんだから」

「うぃ……」

 

 喋るバンダナのワドルディによって窘められると目に見えて落ち込むカービィ。見ているこっちが申し訳なくなるほどだ。

 

「かーくん、ユニコーンはそんなに食べないから、ユニコーンの分、食べても……いいよ?」

「幽霊さんもそんなに食べないのー」

「綾波もそこまで大食いではないのです」

「じゃ、ジャベリンだって!」

「ぽよ!」

 

 そして皆が遠慮するとあっという間に満面の笑顔を咲かす。

 どうやらカービィの幸福は飯の量さえあれば満たされるらしい。

 

「いや、皆んな本当にやめたほうがいいダス」

「え?」

「カービィはカレーで我慢するダス」

 

 横から入ってきたメイスナイトはカービィの前に皿を置く。

 

 その時、テーブルが揺れ、ミシリと音を立てた。

 

 メイスナイトが乱暴に皿を置いたわけではない。むしろガチャガチャと皿が音を立てないよう優しく置いたくらいだ。

 ではなぜ、そんな音が鳴ったのか?

 その答えは置かれたカレーを見れば一目瞭然である。

 盛られた皿の直径は一体どこから持ってきたのかというほどの大皿。盛られたカレーの高さはなんと数十センチ。高く盛り付けるコック達の技術が冴え渡るが、そんな事誰も考えていない。

 ただ痴呆のように、口をあんぐりと開けて、新緑の香りの代わりに香辛料の香りを漂わせながら聳え立つ山を見上げることしかできない。

 

「……なに、これ?」

「カレーダス」

「それくらいわかるです」

「この量はー……えぇー」

「ちょっと多い……よ?」

「……あとでわかるよ」

 

 皆がぽかんとした表情でその山を眺める中、メタナイトが着席し、声を上げる。

 その状況に気づいてはいるのだろうが、おそらく何を言っても無駄だろうと諦めたのだろう。構わず続ける。

 

「今日は皆、生まれたばかり、かつ状況が全くわからない中、ご苦労だった。我々は新しい仲間であるジャベリン、ロングアイランド、綾波、ユニコーンを歓迎しよう。皆の者、杯を持て!」

 

 メタナイトはグラスを持ち上げる。メタナイツや同席しているワドルディ達、カービィもグラスを持ち上げる。

 艦船少女達は戸惑いながらもそれに倣う。

 全員がグラスを持ったのを確認し、メタナイトは声を上げた。

 

「では、新しい仲間との出会いを祝して……乾杯!」

『乾杯!』

 

 乾杯の音頭がとられる。皆がそれに呼応する。

 あるものはグラスの酒やジュースを煽り、あるものは並べられた料理に手を伸ばす。

 

 そんな中、それは起きた。

 

 おもむろに飛び上がったカービィは、ひとっ飛びで山……いや大盛りという言葉すら生易しいカレーの頂にたどり着く。

 そして口を開き、重力に任せてその頂に齧り付く。

 

 そのまま、カレーの山は消えて言った。

 比喩ではない。文字通り消えたのだ。

 カービィがカレーの山を崩したわけでもない。消えたのだ。

 

 近くで見ていた艦船少女達は何が起きたのかを知っていた。

 

 落下と同じ速度で、カレーの山を上から食べていたのだ。

 

 綺麗になった大皿の上に、口の端にカレーのルーやご飯粒をつけながら着地するカービィ。皿に乗るのは如何なものかとは思うが、誰もそんなことは気にしない。

 そして次の瞬間にはフォークで自分の取り皿にスパゲディをよそい始めた。

 

 その光景を四人は忘れることはないだろう。

 

 その歓迎会は夜遅くまで続いた。

 歓迎会の終わり頃には初めと全く同じペースで食べ続けるカービィに、何か悟ったような顔で微笑む四人の姿があったという。




摩耶「もうこれで許して……(摩耶ドロップ)」
作者「ゆ"る"ざん"!(てつを)」
摩耶「!?」

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