ププープレーン 〜遍く照らす星の航路〜   作:糖分99%

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おまたせぇ!



建造材試作品

 ───4/6 7:00 プププランド港(仮)────

 

 ふと、目が覚めた。

 

 目が覚めた場所は真っ暗で、天窓から漏れる微かな光しか差し込まない。

 

 果たして自分は何処にいるんだったか……。

 

 しばしベッドの上で延々と光が漏れる天窓を眺めていたが、やがて昨日のことを思い出した。

 自然が豊かな……というより自然しかないプププランドなる島で建造され、まんまるピンクの生物、カービィが指揮官となり、メタナイトという仮面の騎士の指示の下、何らかの書状を渡しに行った。

 そしてそのあと、大勢での歓迎会のあと、疲れてお開きになったのだったか。

 

 身を起こした少女、ジャベリンは教えてもらった通りにスイッチを押す。するとガラガラという音とともに天窓の厚手のカーテンが引かれ、薄手のカーテン越しに朝の光が入ってくる。天窓しかないのはこの部屋がもとはコンテナであり、並べる時に不都合なため、横に窓をつけることはできなかったらしい。出入り口も壁の梯子を登った先にある。

 

 用意された寝間着を脱ぎ、いつもの服装に着替える。鏡で髪を整え、今日も可愛らしく決まったのを確認すると、梯子を上って外に出る。

 朝日が眩く輝くが、まだ四月初旬の朝。少し肌寒く、ブルリと震える。

 見渡せばジャベリンが出てきたものと同じようなコンテナが他にも三つ並んでいる。そしてその側にいつの間にか移動している白く小さなドーム状の建物が立っている。

 きっとまだみんな眠っているのだろう。明かりは付いていない。

 

 コンテナから飛び降り、砂浜に着地する。

 

「んぅ〜! ……はぁ」

 

 伸びをすれば背骨がポキポキと鳴る。心地良い。

 

「それにしても……何もないなぁ」

 

 周りを見渡してみるが、のどかな海岸が広がるばかりで、人工物は遥か彼方に聳えるドーム状の建物(曰く、デデデ城というらしい)があるのみ。

 このプププランドにはたくさんの住人がいるそうだが、果たしてどうやって生きているのだろう? 狩りとかしているのだろうか?

 

 そんなことを思っていると、海岸にある唯一の桟橋に何か影があることに気がついた。

 そっと近づいてみる。何となくその正体に感づいていた。

 桟橋は思いの外しっかりした作りで、ギシギシと軋んだ音を立てない。

 

 影の背後まで近づいたジャベリンはいたずらっ気を発揮して飛びついた。

 

「おはようございます、指揮官!」

「ぶぃっ!?」

 

 大いに驚いた影は飛び上がり、そのまま海にダイブしてしまう。

 

「ああっ!? し、指揮官! ごめんなさい!」

「ぷぃー」

 

 海に落ちた影はすぐに起き上がり、ふわふわと元いた桟橋に戻ってくる。

 その影の正体はカービィ。その手には大きな釣竿が握られている。水浸しになったカービィはプルプルと体を振って水気を取る。ツルツルした肌をもつカービィの体表はあっという間に乾いてゆく。

 

「はぁい!」

 

 そして何事もなかったかのように挨拶した。

 

「ごめんなさい指揮官。まさかあんなに驚くなんて……」

「ぽよ!」

 

 なんて事ないよ。そういうかのように笑顔で顔を横に振る。

 そしてついさっきしていたように、釣竿を海面に垂らす。

 思いの外釣れているようで、バケツには何匹か、大小問わず泳いでいた。

 

「指揮官、釣り好きなんですか?」

「ぽよ?」

「あ……もしかして魚を食べるのが好きだから釣ってるの?」

「うぃ!」

「あはは……やっぱり」

 

 昨日の衝撃的な食いっぷりを思い出す。

 アレを思い出せば、なんとなくカービィの趣味嗜好はわかってくる。

 

 多分この魚が朝ごはんになるんだろうなー、なんて思いながら釣りをするカービィを眺めていた。

 

 過ぎてゆくのどかな時間。さざ波の音のみが二人の空間に流れる。

 自分は戦争のための兵器として生まれた。

 生まれてすぐ戦場に行くものだと思っていた。

 でも、今流れる時間はそれとは全く逆。平和そのもの。

 確かに不思議な土地ではあるが、ここでの生活も悪くない───

 

「ぽよ!」

「かかった!」

 

 釣竿がしなる。カービィが強く引く。ジャベリンも釣竿を掴んで引く。

 だが、思ったほどの抵抗はなく、あっさりと釣り上げられた。あまりに簡単過ぎてジャベリンは強かに尻餅をついたほどだ。

 お尻をさすりながら、釣れたものを見る。

 釣れたのは……メンタルキューブだった。

 

 ────ここでの生活は悪くないが、この不思議現象に慣れるのにはかなり時間がかかりそうだ。

 

 

⚓︎☆⚓︎☆⚓︎

 

 

 ───同日 8:29 プププランド ダイニングコンテナ────

 

 艦隊のメンバー、ジャベリンとロングアイランド、綾波、ユニコーンと、指揮官のカービィ、メタナイトが集うダイニングコンテナ。

 朝食はやっぱりというべきか、カービィが今朝釣り上げた魚だった。

 

 すこしユニコーンが遅れたが皆朝食を食べ終え、皿はすでにメタナイツのメンバーが片付けていった。

 代わりにダイニングテーブルに乗せられているのは……メンタルキューブ四つと高速建造材二つ。

 ほとんどはメタナイトが持ってきたものだが、メンタルキューブのうち一つはカービィが釣り上げたものだ。

 

「さて、これが今朝見回りに出たメタナイツが見つけたメンタルキューブ。そしてこの高速建造材は使い終わったモノの構造解析を行い、独自で量産したものだ」

「高速建造材って……作れるですか?」

「単なる機械だったからな。ただ、メンタルキューブはどうしようもできなかった」

「それでも1日で量産するなんてー、普通はできないよー?」

「おっと、説明が足りなかった。量産品の試作品だ。まだ数はそこまでない。今回はこの試作品のテストをしようと思ってな。いつかはメンタルキューブも作ってみたいものだが……謎は深まるな」

 

 メタナイトが目を移したのはカービィが釣り上げたメンタルキューブ。

 プププランドにあちこち転がっているのは確認できたが、まさか海底にも転がっているとは想像してもいなかった。

 ただ、何と無くではあるが推測はできる。

 

「たしか……船の記憶を持つんだったか?」

「うん……いろんなところに行った記憶があるよ? イラストお姉ちゃんと一緒に戦ったことも覚えてるよ?」

「そうか……となると、君たち艦船の元となるメンタルキューブが海から見つかるのは自然なのかもしれないな……」

「よくわかんないです。生まれたばかりである程度は知識を持ってますけど、そこまでは……」

「ふむ……」

 

 しばし沈黙が降りるが、それも僅かな時間。すぐにメタナイトは立ち上がり、メンタルキューブを持つ。

 

「いずれにせよ、これを使って戦力を増強せねばならないのは確定だ。建造ドックに向かうぞ」

 

 

⚓︎☆⚓︎☆⚓︎

 

 

 海岸近くに置かれた開発ドックはコンテナ内に運び込まれていた。しかし運び込んでどうするわけでもなく、ただ室内に移動しただけといったところか。

 

 いつものようにカービィがメンタルキューブを四つ詰め込む。

 表示されたのは『1:50:00』と『5:50:00』。早速試作の高速建造材をねじ込む。

 試作の高速建造材はオリジナルと全く同じように動き、全く同じように力尽きたように落ちる。

 そして、『1:50:00』の表示が消える。

 蒸気が吹き出て、蓋が開く。

 出てきたのは褐色の肌をもつ少女。髪は白っぽく、長い。胸にはチューブトップを着、髪を割ってツノが生えているように見える。その目は青と黄色のオッドアイで、背中に背負うのは巨大な鉄製の四本指マニュピレータ。

 すこしボソッとした声で少女は設定されたような自己紹介をし始めた。

 

「はい? ……指揮官、私はインディアナポリス。ニックネームはインディよ……?」

 

 そしてやはり、目の前に並ぶ怪生物に目を白黒させる。

 だが、どこか雰囲気が綾波と似ているのもあってか、特に大きな反応をせず頭を振る。

 

「うん……あなたが指揮官……なんだよね?」

「はぁい! カービィ!」

「よろしく、指揮官」

 

 そしてやはり、カービィを指揮官として認識する。

 艦船少女には誰が指揮官か判別する機能でもあるのだろうか?

 とにかく、試作の高速建造材はうまく作動するようだ。

 続いて高速建造材をねじ込み、作動させる。

 そして出てきたのは金髪の女性。被るのは白い帽子に艦橋らしきものが付いたもの。身にまとうのはユニオンジャックをあしらった青いドレス。背負うのは四つの巨大な主砲。

 気品を漂わせる女性は、優雅に、そして形式張った挨拶をする。

 

「あなたは指揮官様ですか?ご機嫌麗しゅうございます。ロイヤルネイビーの栄光ーーフッド、勝利とともに参上致します。……えっと、貴方様が指揮官様……ですよね?」

「うぃ! カービィ」

「よろしくお願いしますわ、指揮官様」

 

 その優雅さは己の自負だと言わんばかりに、謎の球体生物が存在する空間に特に動揺することなく、カービィに問いかける。

 当然、カービィはいつも通りの挨拶を返す。

 

「さて、この状況に驚いた……のだよな?」

「うん……おどろいた」

「驚きましたわ。まさか私達の指揮官様が人間ではなかっただなんて」

「……ああ、まぁ驚いたのも無理はない……取り敢えず今の状況を説明し────」

「────おおい! そこにいるのかメタナイト!」

 

 突然、外から大きなだみ声が響く。

 同時にガンガンガンとコンテナを叩く音が響く。

 突然の事態に皆が凍りつき、声の主を知っているカービィとメタナイトは互いに顔を見合わせる。

 だが、誰かが動くよりも前に、声の主がコンテナのドアを蹴り開けた。

 

 現れたのは、赤いカーディガン、特徴的な腹巻、赤いニット帽を被った、青く巨大なペンギンだった。




「それじゃあいつもの解説だヨォ」
「なんか出番減ってる気がするのね」
「気のせいなのサ」

「フッド」

 SSレア巡洋戦艦。このSS初のSSレアキャラ。いい声。CVは大塚明夫田中敦子。通常立ち絵は非常に優雅、かつ慎ましやかだが、水着スキン実装によりかなり着痩せするタイプであることが判明した。なお、耐久力は全艦最高の7000台。今日もロイヤル艦隊の旗艦として相手主力を吹き飛ばしている。なお、本日5/10にアーバンクロービー(だったっけ?)が実装されたのだが、公式ツイッターにおける紹介画像において、彼女に『あっ、フッドおばさんこんにちは』などと言われている。お姉さんだルォ!?

「インディアナポリス」

 Sレア重巡洋艦なんですけど、その可愛さはSSレア、いいやSSSSSSレア級なんですよぉ! 見た目はSSでの表現の通り、私と同じ白っぽい髪と角を生やしていて、オッドアイで褐色っ娘。ちょっとエッチなチューブトップで惜しげも無く南半球を晒しているんです! ちなみに姉である私とあまり似てないのは事実で改造されすぎて見た目が全く変わってしまったことを表しているらしいんです! でも可愛いことには変わらないの! 性能は防御よりの盾重巡なんですけど、副砲も詰まるので意外と攻撃力はあるんですよ! きゃあ、インディちゃんったら万能! でもでもでも! 可愛さの前では性能なんてなーんにも問題ないですよね! はぁー、インディちゃん可愛い〜

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