魔神族の英雄が幻想入りしたようです   作:シャイニングピッグEX

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全盛期のメリオダスくんでお送りします。ドラゴン・シンを見に来た方はお帰り願います。魔神族の英雄が主人公でもいいよ!て方はお付き合いよろしくお願いします。


第一話 目覚めと妖精

「・・・ここは━━━どうなってやがる」

 

  メリオダスが目を覚ますと、そこは湖の前だった。

 

  (湖?ブリタニアのどこの湖だ、ここは。やけに霧が深いもんだな・・・候補は絞られるが、こんな景観のところは見たことがねえ)

 

  体の感覚を確かめるために軽く体を動かす。異常はなかったことに安心し、いつもの癖で体に魔力を込め、『魔神化』してしまう。

 

  しかし何も理解できていない現状で正体を明かすそれは不味いと気づきすぐにやめる。

 

 「ぐだぐだいってもどうしようもねえ、か。装備は━━━バロールの魔眼?それにこの剣は、中々の業物だな。これならどうにか乗り切れそうだが、誰がこんなことを・・・」

 

さっきからずっと頭が痛い。何かやらかしただろうか。ふと手に妙な感覚がすることに気づく。

 

 「何か握りしめている?・・・ふん、手紙か」

 

  『これを読んでいるならば我らのリーダーはおそらくもうブリタニアにはいないのだろう。しかしこういった形で長々と説明するわけにもいかないので簡潔にまとめる。

 1、そこは異世界である。だがブリタニアとも繋がりがあるため魔神族であることは悟られないほうがよい

 2、剣と魔眼は餞別だ。魔眼は念のため三つある。剣は切れ味はともかく耐久力は抜群なものなので安心してくれ

 3、君の力はその世界では強大すぎるためリミッターがつけてある。魔力を込めれば外れるはずだ

 4、足りないことは順次報告する』

 

  この妙に独特な距離感を保った言い回し、そして自分をリーダーと律儀に呼び、かつ用意周到なこの手紙の送り主は・・・ゴウセル、か?それより報告手段があるならもっと真面目に話してもらいたいものだ。

 

  魔眼━━━バロールの魔眼、早い話が強さを計れる装置なのだがそれで自分を見る。まずどの程度の敵に対処できるか理解しなければならない。

 

  武力、魔力、気力。前二つは名前の通り、気力は戦場での冷静さや意思の強さ・・・精神力のようなものだ。それらを合計し「闘級」という強さを表す指標となる。

 

  武力700、魔力800、気力2000の闘級3500。・・・想像していたより遥かに貧弱だが、どうにかなると信じよう。

 

  ここからどうしようかと再び物思いに耽ろうとした矢先、少女の声で現実に引き戻される。

 

  「やいそこのお前!ここはあたいの土地だ!家賃を支払え!」

 

  「チルノちゃん、昨日習ったことと違うよ・・・家じゃないのになんで『家』賃なの?」

 

  そこにいたのは寒そうな氷妖精と風妖精(と思われる二人)。しかし、氷の妖精というのはメリオダスにも聞き覚えがなかった。

 

  (この気配と魔力、オレの知ってる妖精族とはどこか違う・・・どうなってやがる?)

 

  「話が見えねえが、コントはそれまでにしてもらえるか?・・・チルノと、もう一人は?」

 

  「ふふん、さすがはあたい!こんなヤツにも名前を知られてる!」

 

  「・・・私は大妖精です。あなたは?」

 

  「メリオダス。よろしく頼むぜ」

 

  大体こいつらのノリがつかめてきてしまったのが少し悔しいが話を続ける。

 

  「それで、ベリアルインがどこにあるか知らねえか?」

 

  「ベリアルイン・・・ですか?知りません」

 

  「あたいも知らない。どんなトカイなんだ?」

 

  「それを言うなら田舎だろう・・・なんだお前ら、実はまだ生まれたばかりか?」

 

  「そんなことはありませんよ?それに妖精の中じゃチルノちゃんは有名だと思うんですけど・・・なんだか話が噛み合ってない気がしません?」

 

  「・・・決めるにはまだ早い。なら、エジンバラは?」

 

  「聞いたことがありません。もしかして・・・変に思うかもしれませんけど答えてくださいね。メリオダスさんはこの湖、というより世界に見覚えはありますか?」

 

  その言葉でメリオダスはようやくゴウセルが書き残した『異世界』という言葉が理解できる。どうやら自分が元のブリタニアとは全く別の場所に飛ばされたということにも。

 

  自分だって魔界出身であるにも関わらず別世界のブリタニア征服に乗り出したのだからありえない話ではないと思ったのである。

 

  「・・・なるほど、な。今のでよーく分かったよ。もしよければ、ここがなんて場所なのか、教えてもらってもいいか?」

 

  「ここは『幻想郷』っていうんだよー!」

 

  「そうか、ありがとなチルノ。・・・さてさてさーて、これからどうしたもんかな」

 

  メリオダスも少しだが他人に合わせて自分の正体を隠す演技が板についてきていた。

 

  「そうね、メリオダス!あんたをあたいの子分にしてあげるわ!」

 

  「昆布の間違いじゃねえのか?」

 

  「違うわよ!でも人間は弱いんだから、あたいみたいなやつと一緒にいないと幻想郷じゃ大変よ?」

 

  「心遣いはありがてぇけど━━━余計なお世話だ、なぁ?」

 

  メリオダスは目にもとまらぬ速さでチルノの頭上へ飛び上がり、そのままの勢いで右手で作った手刀を切る。

 

  「・・・わっ!?」

 

  チルノは後ろへ倒れこむようにして回避する。そうしなければ間に合わないほどに速い攻撃だったのだ。すぐに起き上がり、体制を戻す。

 

 「咄嗟で今のをかわすか━━━大したもんだ」

 

  加減したとはいえ、耐えられるどころかいきなりかわされた、この事実にメリオダスは内心驚いていた。これがこの世界の妖精の水準ならなかなか楽しめるかもしれない。

 

  「こ・・・のおっ!」

 

  チルノはお返しとばかりに手から氷を放つ。常人なら防ぐ手段はなく受けるほかなかっただろう。

 

  「・・・!」

 

  残念なことにメリオダスは常人ではなく、放たれた氷は左手の一振りで弾き返され、さらに放ったとき以上の勢いをもってチルノの頬を掠めた。

 

  「十分か?何なら親分と呼んでもいいんだぜ」

 

  「あ、あああああたい負けないし!人間と違って空だって飛べるんだからなぁ!」

 

  「そりゃ楽しみなこった。なあ、大妖精?」

 

  「その、チルノちゃんもチルノちゃんですけど、メリオダスさんも突然殴りかかるなんていけないと思います!」

 

  「悪いがオレはこの世界の常識を知らねぇんだ」

 

  悪びれた様子のないメリオダスに大妖精は怒っていたが当のメリオダスはどこ吹く風だ。

 

  「そうだそうだ!もうすぐであたいは死んでたんだぞ!」

 

  「それはねえよ。これでも加減したんだ。背中の剣は飾りでも遊びでもないぜ?」

 

  「ぐぬぬ・・・ん!?」

 

  そうやって話していると当然明るかった空は暗くなり━━━否、赤色の霧で空は包まれていた。

 

  「これは幻想郷の天気か何か・・・ということではなさそうだな?大妖精」

 

 「は、はい。違うと思います。・・・えっとメリオダスさん、なにもしませんよね?」

 

  (この魔力反応と妙な感覚・・・単純に光を遮っただけじゃねえようだな。地上に擬似的な夜を形成しているのか?その証拠か、魔神族のオレの魔力も高まってやがる)

 

  何にせよ、実力のある魔術師の行動と思われるからには確かめたくなった。それだけではなく、メリオダスは幻想郷について何も知らないのだ。これの原因を突き止めにいくついでに社会見学と洒落こむのも悪くはないだろう。

 

  そう考えると心中でほくそ笑んだ。

「ああ、何もしないさ。きっとな」




チルノ 武力90、気力9、魔力900 闘級999 気力が全種族最底辺レベル。⑨妖精の精神力なんてそんなものだろう(適当
大妖精 武力10、気力300、魔力700 闘級1010 こっちは武力が一般人女性並。
七つの大罪原作の妖精上位勢に比べると低めですが闘級で全部決まる訳でもないので参考程度に。

意見、質問、感想、誤字報告ありましたらよろしくお願いします。
追記・メリオダスの服はエスタロッサの着てるやつの小さい版です
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