魔神族の英雄が幻想入りしたようです 作:シャイニングピッグEX
そういえば完全に忘れてましたがエスタロッサは第二の主人公です。まだ『慈愛』の戒禁貰ってないので弱いですけど。
「そんな提案、呑むわけが・・・」
「さあ、どうする?」
この時、フランはメリオダスの眼を見た。そして彼から二つのものを感じた。一つはとてつもない力とそれ故の傲慢さ。そしてもう一つは━━━━怒りだ。
(メリオダスは何かに怒っている・・・それも、あり得ないくらい強く、長く)
そして、その眼から逆らえば自分を殺すだろうというのも容易に想像できた。
それでも、フランの頭に浮かんだのは姉の姿だった。だがそれだけではない。自らの前に立つメリオダスをどこか否定できない自分がいた。
魔神族が、ずっと孤独だった。誰からも受け入れられず、拒まれていた。
(・・・わたしと、同じだ)
「わたしには、選べないよ」
「そうか。残念だと心からそう思うぜ━━━終わりだ」
その言葉を最後にフランの視界は、そして意識は闇へと飲み込まれていく。どうかお姉さまだけは無事であってほしいと無駄な願いを抱きながら。
「メリオダス、貴方フランを、まさか」
「さて、どうだかなパチュリー。そんなことよりだ。バレないとでも思ったのか?オレのことをコソコソつけやがって」
「えっ、あたいバレてる!?」
(ちょっ、チルノちゃん!喋っちゃ駄目!)
「道理でオレが行くときに内緒話をしていたわけだ。だが、ここで見たことを全部公言しないと約束するなら見逃してやるぜ?」
「は、はい!見てません!」
「あ、あたいも!それじゃあメリオダス!あたいの師匠になりなさい!」
向上心はいいことだが大して才能もなさそうな一妖精にメリオダスが時間を割く道理はない。妖精王なら考えたのだが。
「・・・なぜオレがお前に?」
「じゃあ・・・メリオダスの弟子になってあげてもいいよ!」
「黙ってろ。オレも野暮用があるんでな━━━いや、この際か」
「?野暮用って・・・エスタロッサのことはいいの?」
「アイツなら心配要らねえよ。オレの弟だ、負けるわけがない」
本当にメリオダスはエスタロッサのことを全く心配していない様子だった。それだけの絆を二人に想像するのは、この場にいるものは皆出来なかった。
「おい、待てよ!」
「何のようだ、人間の魔術師、いや魔理沙だったか?お前じゃオレには勝てねえぞ」
その言葉を聞いて魔理沙はムッとした顔をするが、先程のような戦いを見せつけられては認める他なかった。
「そうじゃなくて、エスタロッサのやつを助けてくれてありがとうな」
「・・・まあいいだろう。だがなぜ見ず知らずのお前が礼を言うんだ?長い時を共に過ごしたわけでもなさそうだぜ」
「それでもだ。目の前でその・・・滅多なことがあったらさすがに目覚めが悪い」
「お前に感謝されるようなことじゃねえ。オレはリーダーとして為すべきことを為したまでだ。・・・それじゃあな」
メリオダスはそれだけ言い残すとまたも羽を作り出し図書館の外へと飛び去っていく。━━━飛行中に大妖精とチルノを掴んで。
「ええっ!?師匠、何やってるのさ!」
「師匠じゃねえし、オレに無礼なことをしたんだからその落とし前ってやつだ」
「わ、私はチルノちゃんについてきただけで・・・いえ、何でもないです」
始めこそ二人はぎゃあぎゃあ煩かったがメリオダスが睨むとすぐに静まった。そして結局メリオダスと共に紅魔館の外のどこかへ行くことになる。
「お、おう。つかみ所のないやつだなー。それじゃ、あいつがいなくなったところで本を・・・」
「させると思う?」
「げ、さっきの紫」
「何よ白黒」
今はこんな風に言い合っているパチュリーと魔理沙だったが、この後不思議と気が合い魔法使いとして語り合うことになる。だが、それはまだ早い。今は異変の真っ最中でやることも多いのだから。
一つ目がこれだ。
「さてと、フランの様子を確認しないとね・・・!?これは」
「?どうしたんだ?」
「おかしい、あれほどあった狂気が収まってる。しかもそれだけじゃないわ。傷が完全修復されている」
「吸血鬼なんだろ?それくらい、不思議じゃないんじゃないか?」
(まさか━━━まさかね)
その時パチュリーの頭に浮かんだのは最悪の展開であった。だが証拠がなければ信用性もない。ただの妄想だと思い外へ追いやる。
「それより、あっちの様子はっと」
そして、二つ目。パチュリーが魔法で作り出した門に映像を写し出す。そこには息を切らした霊夢と体力にこそ変化はなくとも非常に焦った様子のレミリア。だけではない。
「うわぁぁぁっ!なんで僕、じゃなくて俺がこんな目に、なんて言ってる場合じゃない!羽羽!」
パチュリーが転移させたエスタロッサが突然の上空に驚いたのかとんでもなく大きな声をあげていた。それだけではなく、意思が弱くなり魔力がまるで集中できていない。このままでは墜落してしまう。
声の上ずった調子からしてエスタロッサはパニック症状を引き起こしているが、無理もない。殺意に溢れた兄から生き延びたと思えば今度は異変の最終決戦に物理的に落ちていくことになったのだから。
すんでのところで羽を作り出した。だが勢いを殺しきれるかはかなり際どいところだ。ギリギリのギリギリ、で停止しきれ━━━なかった。霊夢の頭に激突しそうになり投げ飛ばされる。それもレミリアの方に。そして反射的に叩き落とされてしまう。
「何するのよ!」
「こっちがいいたいわそんなこと。何してるの、博霊の巫女さん・・・と、そこの魔族のお坊っちゃんは」
「さあ?あいにく話したのは昨日が最初でね。よく分からないわ、それにしても・・・いや今はいいわ」
呆れている、というか珍妙な光景に呆けてしまっているレミリアと知り合いとは思えないほどに淡白な霊夢。少し心にダメージが入ったが(肉体にはもっとダメージが入っているが)なんとかエスタロッサは立ち上がる。
「っつ、イテテ・・・えーと、今どんな状況?」
「お互い大体種切れだけど、このままだと時間切れで博霊の巫女の勝利ってとこでしょうね」
「あら、吸血鬼はプライドが高いと思っていたのだけど簡単に認めるのね?」
「負けは負けよ。覆らないわ。どうせなら次の勝ちにかけるとしましょう」
「何よ、初めから負けるって分かってて戦ったくせに。紅い満月の下なのにやけに普通だったから嫌な気分よ」
「勝手に言いなさいな、先輩として色々教えてあげたんだから」
「黙ってなさいコウモリ。幻想郷では私が先輩よ・・・ってなに?エスタロッサ」
言い合いを始めた二人を見かねてエスタロッサが止めに入る。このまま放っておけばどうでもいい理由で異変が終わりそうになかったからだ。
「いい加減やめにしようよ。決着はついたんでしょ?魔理沙も心配してるし」
「嘘ね、勘だから間違いないわ」
「でも確かにこれ以上は不毛よね。目的としては最上を果たしたもの」
「負けたのに?」
「負けたからよ。負け犬の遠吠えとでも思ってなさい」
「それじゃあ、これで戦闘は終わり?」
「うん、私たちの戦闘は終わりね」
「そうね、私たちは」
ここでエスタロッサは何か嫌な予感がする。疲れている霊夢はわかるが、勝負で負けていても余裕はありそうなのにあっさりと引き下がったレミリアのことが不自然に思えたからだ。
「しかし貴方、本当にメリオダスにそっくりねえ」
「見た目だけだよ。それに俺はまだまだ未熟だし・・・兄貴とは比べ物にならない」
確かに見た目は似ている。だが生憎その強さには大きな開きがある。幻想郷にとばされたにあたり力を封印された兄に全力でかかっても及ばなかったのだ。
「確かに未熟ね。今食べるにはクセが強いかも」
「え、食べる?いやまさか・・・吸血鬼だからってそんなことはないよね?」
「いただきまーす♪なんちゃって」
軽い掛け声とそれに全く似合わないとんでもないスピードの突進で戦闘が始まりを告げる。
「あるのかよっ!?『
しかしレミリアは自らの突進力の倍の速度で跳ね返される。端から見れば野球のような光景であった。構えは雑でボールが吸血鬼、かつ猛スピードでのやりあいであったが。そしてレミリアは勢いのまま壁へとめり込んだ。
だが次の瞬間エスタロッサの背後へと回り込み、首を掴む。少女の細腕とは思えないほどの力でエスタロッサは抗うことができない。吸血鬼にとって今夜はまさに最高の舞台なのだ。
「貴方の兄ならこれには対処できたはず・・・実力を抜きしてもまだまだ努力が足りないわよ?」
「何を・・・するんだ、っ!」
「試させてもらうわ。貴方の兄がいつまでも大人しくしてるはずないもの。━━━悪く思わないでよ?貴方達兄弟のせいなんだから」
それだけ告げるとレミリアはわざと首から手を話し、エスタロッサを突き飛ばす。距離をとって仕切り直しの状況━━━にも関わらずこうしたということはレミリアの言葉は本当なのだろう。
「腐っても魔族なんだ・・・受けてたつよ!」
「うんうん、その意気その意気♪」
お互いの温度差はすさまじいものだったが、この異変最後の戦いはさらにヒートアップしようとしていた。
━to be continued
レミリア・スカーレット 武力1000 魔力400 気力1000 闘級2400(ただし今夜のみ五倍だったが、消耗でさらにその半分。つまり現在は6000)
レミリアはかなり頭切れるイメージあります。ここのレミリアはそれ以上に残念ですけど。
エスタロッサの性格はとにかく「いい子」。エリザベスの亜種みたいな。原作から離れてほぼオリキャラ。まあ過去時代のエスタロッサまるで書かれてないので。
感想くれると嬉しいです(迫真)