魔神族の英雄が幻想入りしたようです   作:シャイニングピッグEX

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もう魔神族で誰が幻想郷に送られてきたか薄々分かってる人いるんじゃないだろうかと思う今日この頃


閑話 魔神の今昔

act1 酔いも覚めるような良く効く薬

 

 「おいメラスキュラ。今貴様は何と言った?」

 

 「い、いやーだからね?ゼルドリス?私はただ・・・うん!メリオダスと飲み比べをしていて、それでメリオダスが酔っちゃったの!それで私の獄門(ヘルゲート)を無理矢理使わさせられて・・・痛い痛い痛い!離しなさいよー!」

 

  とてつもない怒りの形相のゼルドリスにメラスキュラが捕まっていた。第三王子ゼルドリスは魔神族のナンバー3である。現場に直接出向けない魔神王はいないも同然なので基本は第一王子メリオダスが指揮を執り、さらにそのメリオダスがいない緊急時にはゼルドリスが指揮を執っていた。

 

  残念なことに今はその緊急時だ。主にこの性悪女のせいで。

  

  「お前に何の罪もないならば離すがな・・・?蛇女・・・!」

 

  「あ、ははははは、本当よ?ねえ、そうでしょう?ゴウセル」

 

  しかしこの緊迫した状況を破ったのは相変わらずマイペースなメガネ男ゴウセルである。

 

  「『無欲』ゴウセルか。どうした?まさかこの女を庇うつもりじゃないだろうな?」

 

  『メリオダス王子相手にメラスキュラが飲み比べで勝てる確率は0、03%だ。ずいぶん頑張ったな?』

 

  「良く言った。・・・だ、そうだが?弁解は?」

 

  「で、でも!メリオダスなら万一のこともあるはずないでしょう?どんな所に送られてもきっと無傷で帰ってくるわよ!」

 

  「俺がここまで問い詰めているのは兄者の安否を心配しているのもある、だが!それだけではないぞメラスキュラ」

 

  しかし親しいものが見ればゼルドリスがここまで怒っているのは兄が特別な存在だからだと分かっただろう。魔神族はこう見えて同族や家族同士の繋がりが強い。それは残虐な処刑人ゼルドリスも、英雄メリオダスも例外ではない。

 

  ・・・だからといってメラスキュラには本来以上にも以下にも刑罰を変えるつもりはないが。

 

  「は、はいぃ・・・」

 

  「我ら十戒は魔神族の戦士の象徴的存在である以上、模範とは言わずとも自ら律を乱す行為は禁じねばならない。にも関わらず、だ。メラスキュラ、最近のお前は奔放がすぎる!魔神族の名に泥を塗る気か?」

 

  「も、申し訳ありません・・・」

 

  元より十戒・・・というか魔神族は強くなれば強くなるほど我が強い。多少人間に対して差別観念のある程度で収まっているメリオダスはかなり良心的な部類だ。

 

  さらに優等生のゼルドリスはそれ以上に。だから常に下級魔神族の間ではゼルドリスの胃を気遣う声とゼルドリスがいつ倒れるか賭ける声ばかりだ。

 

  『ゼルドリス王子、最近メラスキュラの獄門(ヘルゲート)により過去と未来の門が緩んだことで魔神族の間で神隠しが起こるとの報告が相次いでおります』

 

  「ちょ、ゴウセル!私を裏切ったわねぇ!?口裏合わせるって・・・あ」

 

  『残念ながらメラスキュラ、俺が口裏を合わせたのはお前ではなくゼルドリスだ』

 

  「・・・そういうことだ。メラスキュラ、禁酒一ヶ月」

 

  「も、もうらめぇ・・・生きる気力が・・・」

 

  「意味はなさそうだが一応確認だ。何年後に兄者を飛ばした?」

 

  「大体・・・4500年後?」

 

  『酔ってた割には無駄に記憶力がいいな・・・どんな刑に処す?』

 

  余計に口を滑らせたメラスキュラは(完全に自業自得だが)戦いの合間の娯楽を奪われてしまう。今日も十戒は平和である。たぶん。

 

  「禁酒を1年に伸ばすぞ」

 

  「・・・ガランに慰めてもらおー」

 

  「・・・誠に言いにくいのだが、ゼルドリス王子」

 

  「お前は・・・キューザック。ヒゲが乱れているぞ。どうした?お前がそんなになるとは」

 

  「あの男もブリタニアから神隠しで姿を消したとか・・・おそらくメラスキュラの仕業です」

 

  「・・・なっ」

 

  あまりのショックにゼルドリスは倒れた。3時間で目を覚ましたが。

 

  そして倒れることに賭けていた下級魔神達は大喜びした。

 

  今日も魔神族は平和である。おそらく。

 

  act2 45世紀の歴史教室(適当)

 

  「あの、パチュリー様。これは何でしょうか・・・?」

 

  「そりゃあ歴史の授業よ。メリオダスがいつの時代から流れてきたのかについてね」

 

  「オレも戻る目処は経たねえが、いつまでもこのままいるわけにはいけないからな・・・」

 

  「その通りでしょうが、人選が謎です」

 

  「負け犬二人と当事者一人。疑問点なんてないでしょう?」

 

  「いや負け犬って・・・アハハ・・・咲夜さんもですか?」

 

  「下を見て喜んでる場合じゃないでしょう美鈴?」

 

  お分かりの通り、メンバーは咲夜、美鈴、メリオダス、そして教師にパチュリー。かなり謎である。

 

  「ここは仮にも教室よ?ナイフだとか武器の使用は禁ずるわ」

 

  「・・・」チッ

 

  一触即発の争いが水面下で繰り広げられているが紅魔館ではよくある話だ。

 

  (仲いいなーこいつら)

 

  「メリオダスは外の世界にあるブリタニアからやって来たの。これだけなら大した問題じゃないのだけれど・・・」

 

  「オレがいた時代は魔法がまかり通ってるような、お前らからすればまさに幻想そのものみたいな世界なわけだ。この幻想郷が外の世界全体だと言えば分かりやすいか?」

 

  「でもそれって、いつの話なんですか?相当に昔じゃないとありませんよね?」

 

 美鈴は意外と長生きなので、魔法だとか不思議なものが衰退する様を近くで見てきている。だからこその疑問である。

 

  「美鈴とは思えないもっともな疑問ね。それは4500年前になるわ。ただ間が空きすぎて分かりにくいから、指標としてアーサー王物語を間に置くと、外の世界の単位でおおよそ西暦500年。それで今が西暦2000年。それで聖戦はアーサー王物語のちょうど3000年前だから、計算すると4500年あるってことになるわね」

 

  「改めて字にするととんでもなく長い時間だな・・・マトモに生きてたら4回死んで人生半ばだな」

 

  つまり魔神族の寿命は1000年。ちなみに十戒にも後10年と経たず死にそうな爺がいる。

 

  「これ長いの大体聖戦のせいでは?」

 

  「そうですね・・・メリオダス様は今何歳なのですか?」

 

  「280歳。まだまだ若造だな」

 

  「でもそれくらいなら幻想郷でも全然珍しくないですよ?」

 

  「ま、年齢で何かを語るつもりはねえさ。これからどうするか、だな」

 

  「それでメリオダスさんはどんな種族なんですか?」

 

  「・・・あー、簡単に言うなら魔族だ」

 

  「うわあ、そりゃあ強いわけですね・・・」

 

  「そうなんですか?パチュリー様」

 

  「上には上がいるってことよ」

 

  魔界というのがまだあるのは正直驚いた。今もインデュラがうろついたり魔神族が住み着いている・・・わけではないだろうが。メリオダスはいずれ行きたいと思っていた。

 

  「正直オレがこの中で一番危険なのはパチュリーだと思うけどな・・・」

 

  「それこそキリがないでしょ?それじゃもう一つ、メリオダスのいた時代がどんな風に伝えられてるか、ね」

 

  「歴史書に書かれてるんですか?」

 

  「あるといえばあるけどどれも眉唾物ね。しかもそれも断片しか見つからないし。まるで何者かに痕跡を消されたかのような」

 

  「それでは、過去からの遺物、とかでしょうか?」

 

  咲夜と美鈴の模範的な二つの疑問。歴史を紐解くのにもっとも分かりやすいのが「物を調べる」だからだ。

 

  「残念ながらそれもないわ。歴史書も遺物だものね。過去の先人が自らを正当化するために書き残すものが歴史書といっていいもの。そういったものも消されているようね。残念だわ」

 

  「それじゃあどう調べるんだよ。過去に戻るとかか?」

 

  手段が浮かばなかったのでなげやりにいったメリオダスの意見は不思議と間違っていなかった。

 

  「鋭いわね。正確には、モノに刻まれた過去の記憶を読み取るのよ」

 

  「あれ?パチュリーさん、さっきモノないって言いませんでしたっけ?」

 

  「・・・ああ、言い忘れてたわ。私が言いたかったのは『歴史書のような、大勢の目に触れさせるべきものが無くなってる』ってことよ」

 

  「逆に言うと、大勢の目に触れない・・・家宝とかは残ってるってことか」

 

  「さすがに鋭いわねメリオダス。その通りよ、貴方にだけ見せてあげるわ。二人は下がってなさい」

 

  ここまで一緒で家宝という大事なものだけ隠す━━━これは道理ではあるのだが。

 

  「えー、ずるいですよパチュリーさん」

 

  「いいから下がりなさい、美鈴」

 

  当然そんなものを目の前に出されたのに見せてもらえないのに咲夜も美鈴も不服そうだったが結局二人は図書館から出ていった。

 

  「これは・・・剣か」

 

  「ええ、短剣よ。魔力はずっと昔から消えることなく残存しているわ」

 

  「・・・魔神族のオレにも拒絶反応はねえ。装飾は最小限で軽めかつ魔力での付呪により固い。そして降るときにもしっかり手に馴染む。それにかなり擦れちまってるがこの印・・・間違いねえ、ベリアルインの品だ」

 

  「貴方の目利きなら信用できる、ありがとうメリオダス。ようやく自分のルーツが確信できてよかったわ」

 

  「感謝するのはいいがこれは返すぜ。オレには必要ねえ。ベリアルインは聖戦には中立だったしな・・・オレ一人だけ魔神族からそれを乱すわけにはいかない」

 

  「律儀な男ね・・・でも、私個人としてはいつでも貴方に力を貸すつもりよ?気に入ったわ、魔神メリオダス」

 

  「ならこっから行動で答えさせてもらうよ。よろしく頼むぜ」

 

  メリオダスは自分の正体を知っているからかどこかパチュリーには楽に接することができている。

 

  お互いまだ底は見せていないが━━━だからこそ利用しあう魂胆であった。




メラスキュラは謹慎中なのでどう足掻いても出てこないと思います。
キューザックやチャンドラーも活躍中なのでないです。 逆に他はまだ決まってません(おい)

大罪世界との関係ぼかしたままでも良かったんですけど、とりあえず今のところは過去ってことにしました。

質問・意見・感想などありましたらよろしくお願いします。
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