ハイスクール・フリート~北の海より愛をこめて~   作:葉桜照月

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お待たせしました!
とうとう、ようやく四話にメドが着きました。
現在五話の執筆にも取り掛かっております。
またしばらくかかるかもしれないので、よろしくお願いします。

それと、設定変更のため一話を変更しております。
具体的には船員が増えました。


三話 推理して不穏な報告もらって暗雲

【三話 推理して不穏な報告もらって暗雲】

――択捉紗那島 別飛港 別飛第一埠頭 2016/4/7/1500

 

 艦橋で一人、出港を待っている。

 艦長は艦長室にいるし、まあぶっちゃけ艦橋の真下なのだが、一人で艦橋にいるというのもなかなか珍しくて、他の艦橋要員も含め誰も呼ぶことはしない。

 その日のうちに別飛をでる予定だったため、艦長の実家でそこまで長くくつろぐことは出来なかったが、艦長の部屋は思い出深かった。部屋の一番目立つところに、大きなトロフィーが置いてあって、よく見てみると、「最優秀賞 全国中学生自由研究大賞」と書かれていた。艦長こんな賞まで取っていたのか。変なところで局地的にマルチな才能を発揮するから、艦長は不思議なお方である。他にも壁には地図がそこら中に貼ってあって、択捉列島や日本列島の現代地図はもちろん、大日本沿海輿地図だとか、帝国陸軍陸地測量部の地図だとか、そういう沈降前の地図まである。沈降前と沈降後の気候変化をあらわした地図もある。わけのわからないものもあった。あれは海図だったろうか?

 

 艦長は地理ヲタだ。海図室長も兼ねており、艦長室は海図室でもある。地理の成績はもはや歴代の海洋学校測量科生徒の中でもトップレベルだ。既に大学まで行って博士号を取っているという噂まである。本人が話さないので知らないが。

 実際、この艦長大卒説は案外的を射ているかもしれない、と私は思っている。

 先ほどこの船に乗り込む直前に、二人で歩いていたところ、艦長の名前を呼ぶ人があった。振り返ると見たところ50くらいの女性で、数人を連れていた。知合いですか、と聞く前に、艦長はこう言っていた。

「かっ、鎌谷教授!?なぜこんなところに…。お久し振りです。…副長、君は船に戻っていてくれ、すぐ行くから」

そう、”教授”と言ったのである。少なくとも大学教授を知合いに持っているのだ。大学で学んでいれば、変なところで専門知識が多いのもわかる。ただ、なぜ大学から呉海洋女子(今は舞鶴だがそれは私達も同じだ)に来たのかが分からない。説明できないのだ。

 そして、大卒であるほど優秀ならば艦長は多分大和の艦長ではなかった。今頃呉の最新測量艦「野付」の艦長帽を頭に乗せていただろう。

 入学間際に呉所属の測量艦が一隻失われ、しかし二クラス分新入生を集めていたから足りなくなって、たまたま舞鶴に測量艦が余っていたからそっちに乗ったクラス、それが我々であり、大和である。成績が良ければ、より性能のいい方に乗せられていただろう。

そんなことを考えていると、しだいに艦橋要員が集まってきて、出港準備完了の報告が入った。

 我々は別飛を出発し、幌筵島へ向かった。

 

ただ、次に紗那の土を踏むときまでに、私たちはとんでもない大事件の一端に巻き込まれるということは、多分誰も予測できてはいなかった。

 

 

――オホーツク海 計吐夷島西北西沖 2016/4/8/0400

 

 艦長に叩き起こされた。

 寝坊したか、と思うと、まだ四時であった。

 まだ四時ですよ、と文句を言うと、いいから来い、寝間着で構わないから何をおいても駆けつけろと言われた。

 当直であった艦長により早朝に叩き起こされたのは、艦橋要員全員だった。

 皆文句を言い目をこすりつつも集まると、艦長によって横須賀女子海洋学校における異変が報告された。

 

「先程、舞鶴からわたしに直接宛てて緊急の入電があった」

「緊急の…ですか?」

「緊急の」

「よほどのことですか」

「大変なことだ」

「何でしょうか。勿体ぶらずに教えてください」

「分かった。だが、衝撃的な事だから騒がないようにしてくれ」

「聞きましょう」

この時まで、私は眠いながらも叩き起こされたことを恨んでいた。

 

「昨日4月7日10時ごろ、西之島新島沖で横須賀女子海洋学校の主催する予定であった大規模演習において、集合時間に遅刻した同校所属の陽炎型航洋艦「晴風」が同校の改インディペンデンス級教員艦「さるしま」を砲撃、撃沈した。既にさるしまの乗員は救助されているが、晴風は逃走し、現在行方不明となっている。

 またこれとは別に、同演習に参加する予定だった直教艦複数隻と連絡がつかなくなった。消息不明艦は超大型直教艦「武蔵」などで、詳細不明。演習は中止となった」

 

艦橋に動揺が走った。

眠気も吹っ飛んだ。

恨みも吹っ飛んだ。

「直教艦が教員艦を砲撃!?」

「反乱?ヤバくね?」

「そうなる。動機は不明だが…。

日本近海を航行する全ての船舶に、晴風を含め行方不明となっている艦船の目撃情報を求めている。発見し次第連絡を入れて欲しい、とのことだ。まあおそらく、行方不明となっている船がそれ以外に無いかを調べていることも兼ねているだろうが…」

 

「今のところ横須賀以外の艦船の行方不明情報は上がっていないそうだが、対応措置として航行している4校全ての直教艦について、原則直ちに母校へ帰投するよう指示が出たそうだ」

「じゃあここまで来て帰るんですか!?」

「まさか。現在位置はと聞かれたのですでに計吐夷島西北西だと報告した。そうしたら、なら特別に任務続行を認めるとのことだった。あちらも大和の無事が確認できればそれでいいらしく、横須賀船籍の航洋艦を発見した場合はただちに報告せよとのことだった。」

「ということは任務継続、ということでよろしいんですね?」

「無論。クラスの皆には朝の定期報告で私から伝える。」

 

これで話は切れた。

そのあとは、寝ようと思っていたが、興奮冷めやらぬ故に寝られなかった。

 

「それにしても私達の任務ってそれほど重要視されてるんですね~。」

「ん」

艦長は通常モードに移った。

「なんでそれを生徒にやらすのでしょうね」

「人材不足、あともう卒業後の仕事が決められてる」

「まあそれはそうですよねー。私達の仕事なんてそれぐらいしかありませんもんねー。」

「だったら今のうちに若いけど経験ある優秀な人材をってことですか…」

「そう」

とは言ったが、艦長は最後にこう言った。

「私は卒業しても、ブルマーにはならん。大学教授の椅子を狙っているからな」

 

…やはりこの艦長、大学卒業してるんじゃ…と思ったが、聞くかどうか逡巡していた間に、「詩歌、君の時間だ」と書記の国東さんに艦橋の担当を任せ、颯爽と艦長室へ戻って行った。

 

 

……

………

…………

 

――パナマ共和国 ポルトベロ港 2016/4/8/0400(JTC)

 

「…だそうです」

「そう。ここなら、直ちに問題はないわ。予定通り出発しましょう」

「了解。無寄港で目的地に出発します」

「ああ、それと」

「なんでしょう、艦長」

「電話を掛けなさい」

「誰にでしょう」

「もちろん、七島珠洲よ」

「了解しました大和にですね、手配します」

 

「そう、あの女に、ね」

 




次回「電話して電話して長電話」!お楽しみに!

ちなみに次回は4700字くらいです!
でもほとんど電話です!登場人物は基本3人だけ!わお、わかりやすい。

・・・・・・一話2400字くらいずつって言ったような気がしますが、忘れてください。
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