戦騎絶壊ディケイド   作:必殺仕事人BLACK

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読んでくださって、ありがとうございます。

GW?仕事フルコースでしたがナニか?


02

ノイズが認定特異災害として発表されてから、およそ十年。

 

 

ディケイドという存在が初めて現れたのは、米国の首都であった。

 

 

当時、米国の首都には大量のノイズが発生し建物と人々を蹂躙していた。圧倒的なビル郡の殆どは倒壊し、地には炭素の塊の山が路面を埋め尽くす程になっていた。

 

 

強大な国家の都市が地獄と化すのに、一時間も要らなかった。

 

 

当然、首脳陣は軍を派遣した。選りすぐりの兵士と最新鋭の武器を持たせ、首都に向かわせた。

 

 

 

しかし、ノイズの位相差障壁によって軍隊の武器は全て無力化された。最新鋭の武器が一瞬にしてガラクタになったのだ。兵士たちにとっては、悪夢であっただろう。

 

 

やがて、そこからはいつも通りのノイズの蹂躙劇であった。兵士たちの阿鼻叫喚をBGMにして。

 

 

兵士たちが負けじと銃弾をばらつかせても、弾丸はノイズの体を素通りしていく。そして、ノイズの殺傷圏内に入ると、痛みを感じることなくノイズと共に炭素変換させられていく。

 

 

一人、また一人とノイズの餌食になっていく。そこには最早、絶望しかなかった。兵士たちも、逃げ遅れた民間人も遺体すら残らない骸になる未来が待ち受けていると悟った。

 

 

その時、ノイズたちは一斉に動きを止めた。目の前に人間がいるというのに、ノイズたちは微動だにしない。ノイズの活動停止に疑問を覚えたとき、ソレは突然姿を現した。

 

 

その決定的瞬間を捉えたのは、物陰に隠れてスマホの録画機能を立ち上げていた、若者であった。

 

 

彼は運良くノイズの標的から外れ、この惨状から逃げ出そうと機会を窺っていた。しかし、状況の突然の変化に若者は慣れた手つきでスマホを取り出していた。なんとも、今時の若者らしい習性である。

 

 

スマホの画像から通して、若者が見たのは一つの異彩を放つ人影だった。

 

 

マゼンタのアーマーを纏い、顔には複数の細い板が刺さったような特徴的な緑の複眼の仮面を顔と頭部全体を覆い被っている。左胸には黒と白のラインが交差し、英語の「X」、十字架を思わせる刻印があった。

 

 

若者はその仮面の人物を見た瞬間、戦士だと感じた。そう思わせるだけの気迫を無意識に認識できた。

 

 

そこで若者は戦士の右手が何かを掴んでいることに気づいた。若者は息を呑んだ。戦士の近くに女性が居り、更に近くには女性を襲おうとしていたのか、奇妙な板を持ったノイズがいた。

 

 

だが、若者が驚いていたのは、戦士の手が掴んでいたのがノイズの腕であったからだ。人間からは決して触れられないノイズに、戦士は当然のように触れていた。

 

 

「ウオオオオオォォォォォッ!!!」

 

 

戦士は雄叫びを上げながら、掴んでいたノイズを思い切り投げた。そして、目で追えないスピードで戦士は走り出した。

 

 

まるでそれが合図かのように、他のノイズたちが近くの人間を無視し戦士に向かって殺到した。四方八方、あらゆる場所から夥しい数のノイズが湧き出てきた。そのあまりの数の多さに、戦士が取り囲まれるのに時間は掛からなかった。

 

 

戦士は囲まれたと悟るや、足を止めて周りのノイズたちを見渡す。

 

 

一気に距離が開き、遠目でしか見れなくなった戦士の状況に僅かに生き残った殆んどの人々は思った。

 

 

──あれでは、もう終わりだ。ならば、あの変な仮面に囮になって貰おう。

 

 

誰もがそう思っていた。誰も心配なんかせず、ただ自分だけが生き残るためだけに。

 

 

しかし、若者だけは違った。

 

 

あの戦士はあそこで終わらない。きっと奇跡を起こすのではないかと。

 

 

ノイズが戦士に向かって動き出す。

 

 

一度停まった蹂躙劇が、再開する。

 

 

但し、今度はノイズが蹂躙される(・・・・・)側となって。

 

 

人々は、その光景に唖然としていた。

 

 

ノイズの位相差障壁を無視して、戦士の攻撃を受けて次々とノイズが消滅していく。

 

 

拳を振るい、蹴りを繰り出す。戦士の一つ一つの攻撃が、確実にノイズの命を狩り獲っていく。

 

 

ノイズの数の暴力と怒濤の勢いの 攻勢に、しかし戦士には焦りや恐怖など微塵も感じさせなかった。

 

 

正確に命令をこなす機械のように、迫ってくるノイズを倒していき、着々と数を減らしていった。

 

 

やがて、わずか数分で決着がついた。

 

 

最後の一体だったのだろうか、そのノイズは戦士に触れる直前に、活動限界を迎えて自壊した。そのノイズが消滅した直後、人々はまだノイズが潜んでいないか周りを警戒した。だが、現れないことが解ると、漸く少し警戒を解けた。

 

 

あっ、と誰かの声が漏れ聞こえた。

 

 

その声で、人々は仮面の戦士が此方に体を向けて自分たちを見つめていたのだ。

 

 

そして、また言葉を失った。

 

 

人間の犠牲とノイズの消滅によって出来た煤が宙を舞い、雪のように踊り降っていた。その降ってくる黒い雪の世界で、悠然と佇む戦士の姿はとても神秘的であった。

 

 

この光景を目にした人々は、あの戦士を見てこう思った。

 

 

──救世主だ、と。

 

 

人々は戦士を都合の良い囮に使おうとしたことをすっかり忘れ、各々に戦士を崇拝しだした。

 

 

事実、戦士が現れなければ彼らは皆生き残れていなかっただろう。状況が状況だっために、戦士の存在に心を奪われるのは当然であった。未知なる存在というのがより拍車をかけた。

 

 

戦士が此方に向かって歩き出す。

人々は一様に、膝を付き崇めだす。若者もスマホを放り捨て、同じく崇める。

 

 

そんな中、戦士に向かって近づくものが一人いた。

 

 

戦士が最初に現れた、近くにいた女性であった。

 

 

あの時、ノイズに殺されるところで戦士は現れて助けてくれたのだ。これを運命と感じずにいられるだろうか。女性は正に運命だと信じきっており、恍惚とした表情が物語っていた。

 

 

戦士と女性の歩みが止まる。女性が腕を伸ばせば、指先が戦士の胸に触れられる距離だ。

 

 

女性は問いかける。

 

 

──あなたの名前は何ですか?

 

 

戦士は女性の問に、間を置いて名乗った。

 

 

 

 

「──────ディケイド─────」

 

 

戦士は名乗り終えると、用は済んだとばかりに最初に現れたとき同様に、突然と姿を消した。

 

 

残された人々は突然消えた戦士に呆然とするも、沈黙を突き破るように涙の歓声を上げた。それは、自分たちが生きている喜びではなく──

 

 

──我々は、偉大な救世主の名を聞いた、栄光在る者たちだ。

 

 

人々は合唱する。

 

 

「「「「「ディケイド様、ディケイド様」」」」」

 

 

これが最初にディケイドが現れた日であり、後に世界中に『ディケイド教』なる新たな宗教が誕生した瞬間であった。

 

 

若者が録画した動画は、すぐにネットへと流れ加速度的に、世界に知れ渡った。

 

 

そして、戦士──ディケイドが米国だけでなく、国を越えて世界中各地に現れたのを目撃され、動画の効果もあり、世界規模でディケイド教の信者が増えていったのだった。

 

 

それから、約2ヶ月──

 

 

今日も日本に発生したノイズを相手に、ディケイドが現れて戦っていた。

 

 

本人の意思かは別として。

 

 

 

■■■

 

 

 

Q.貴方の名前は?

 

 

A.門谷司です。

 

 

Q.将来の夢は?

 

 

A.仮面ライダーになること。

 

 

Q.今やりたいことは?

 

 

A.シンフォギアの世界に居るんで、ヒロイン達とキャッキャ・ウフフなイチャイチャ・ネチャネチャなプロレス(意味深)ごっこがしたい(真顔)。

 

 

Q.具体的には?

 

 

A.響ちゃんのお尻を鷲掴みしたい。

未来ちゃんの白いすべすべな肌を撫でまわしたい。

翼さんの慎ましげな胸を揉みたい。

クリスちゃんのメロンに飛び込みたい。

マリアさんのおっぱいスイッチを押してあげたい。

切歌ちゃん、調ちゃんが脚に抱きついて「お兄ちゃん」と呼んでもらいたい。

エルフナインに、「パパ」と呼ばれたい。

 

 

Q.最後に、今現在貴方は何をしていますか。

 

 

A.仮面ライダーディケイドになって、シンフォギア世界の敵、ノイズどもを破壊しております。今日で2ヶ月目に入ります。

 

 

ああ、もうっ!

 

 

いい加減、とっとと消滅しろやノイズどもぉ!

 

 

何が悲しくて、来る日も来る日もおどれらの不細工な面ァ、拝まなにゃならんのやオゥン!?

 

 

と言っている間に、正面のノイズに正拳突き!CRITICAL HIT!

 

 

ブハハハハハァァ。見ろ、ノイズが他のノイズを巻き込んで、スーパーボールのようにバウンドしているぞォ!?

 

 

だけど全く減らない。うん、知っていた。そして、変わらずノイズは俺こと、仮面ライダーディケイドに殺到してくる。無論、しっかり対応して、ノイズを殺しているよ。真の仮面ライダーは、手を緩めん!でも、やっぱ辛い。

 

 

ナニ?ディケイドにはノイズホイホイ効果もでもあんの?そんなモンよりシンフォギアホイホイ付けろや(怒)。美少女、美少女と触れ合いたいの!切!実!に!!

 

 

だけど何この状況?何で俺は後ろにいる、OTONA筆頭にして人類最強の男、風鳴弦十郎を背にして戦っていたりしているの?

 

 

この構図、第三者が見れば絶対にディケイドがオッサンを守っているように見えるよね。違くね?このポジション間違っているよね?そこは普通、女の子(美少女限定)だよ。断じて、オッサンが居座って良い場所じゃないよ!というか、むしろ俺を守って……。え、無理?諦めろ?ハイ。

 

 

でも、せめて女の子の原作キャラと逢わせて……。

 

 

ここに来る前の場所で、近くに飛んでいたヘリから翼さんが飛び降りようとした姿を見て閃いた。

 

 

「そうだ、ノイズを即行で全滅させて、翼さんとお話しよう」

 

 

そこからの、行動は早かった。

 

 

10秒で決着を着けてやるぜと、ディケイド最大の能力であり魅力である、他の仮面ライダーにKAMEN RIDEした。

 

 

仮面ライダーカブトに。

 

 

そして、安定のclock up.宣言通り、しっかりと10秒で殲滅。ちゃっかり、殲滅時間記録を最速で更新しときました。

 

 

clock upの効果が切れるまで待って、数分。いよいよ解除直前に迫ったとき、灰色のオーロラが現れた。そう、ディケイドの御話に出てくる、別の世界に渡る道。俺にとっては2ヶ月間で、すっかり馴染みになったものだ。

 

 

まあ、今の場合、世界を越えるためではなく、ただの移動の手段にしかなってない。だってほら、オーロラの向こう側?それとも映っている?どの表現か正しいか解らないが、無数のノイズの姿が確認できる。

 

 

つまり、あのオーロラをくぐればノイズの群れに移動されてしまうのだ。そして、またノイズ殲滅戦の開始。本人の意思とは、無関係に。それも、2ヶ月間ずっと。ここまで来れば、色々と察したよ。

 

 

察した上で、言わせてください。

 

 

──休ませて。もう、この2ヶ月間、フルコースなの。

 

 

【clock up】の効果が切れ、カブトからディケイドに戻る瞬間。待ってましたと、云わんばかりの猛スピードで灰色のオーロラが迫ってきた。

 

 

俺は抵抗することなく、灰色のオーロラを通り抜け、新たな戦場に到着。見れば、ノイズの大群を前に闘志を燃やして構えていたOTONAを発見。

 

 

念願の原作キャラに遭えるも、コレジャナイ感を胸に抱きながら、OTONAを放置して戦闘開始。

 

 

心も体もボロボロだけど、私は今日も憧れの仮面ライダーになって戦っています。

 

 

困った人を助けるのは、当然だよね。但し、限度がある。しかし、既にそれは取っ払われた模様(悲)。

 

 

 

■■■

 

 

 

弦十郎がディケイドの姿を初めて見たのは、二課本部で最初に現れた米国首都で戦う動画を視聴していたときだった。

 

 

多くのノイズに囲まれているというのに、取り乱さない冷静さ。ノイズの攻撃を的確に避け、確実にノイズを倒す身体能力と技術。他にも、各国に現れたときのデータも見ておりディケイドの凄まじさは理解していたつもりであったが……。

 

 

「──やはり違うな。映像と実物とじゃ」

 

 

弦十郎の目は、一人でノイズと戦っているディケイドの姿に釘付けになっていた。

 

 

あの時、後方から現れたディケイドは弦十郎の姿を見るや、無言で一瞥するのみで、ノイズとの戦闘を開始した。まるで、お前に用はないと。ディケイドの瞳がそう告げていた。

 

 

人類の殆どの攻撃を無効化する位相差障壁を、ディケイドは関係ないと云わんばかりに、ノイズに攻撃を与えている。

 

 

最早何度も見て見慣れたその現象に、弦十郎は驚きはしない。しかし、決して見逃さんと周囲を警戒しながら、ディケイドの戦いを目に焼き付けていた。

 

 

 ディケイドの鋭い拳が音速で正面のノイズに深々と突き刺さり、周りノイズを巻き添えにして吹き飛ばす。間髪入れず回し蹴りを繰り出し、取り囲んでいたノイズを一掃する。

 

 

ノイズの位相差障壁は自身の存在率を、別の世界に大半を置くことで人類の攻撃を喰らわずいられる。逆にこちらの世界に比率を上げれば、ノイズはこちらの干渉を受けてしまう状態になる。つまり、ノイズがこちらの世界に存在率を割いている状態を見切れば、ノイズに攻撃を与えることが出来る。

 

 

ようは、カウンターの要領である。

 

 

弦十郎も何度か試し、それでノイズを何体か撃退したことはある。しかし、これは博打である。弦十郎は高い実力を持った武術家であるが、何度も通用はしない。肉眼では、ノイズの存在率の変化は気づけない。ノイズに相対すれば、尋常ではない集中力で見極めなければならない。気力を大幅に消費し、確実に此方の心が折れる。

 

 

ディケイドが、貫手でノイズの体を貫く。その様子が、逃がさない掴まえてやる、と告げているように見えた。

 

 

ディケイドには、ノイズの位相差障壁が効かない。それは覆しようのない事実であった。ノイズが敷く理を破壊し、僅かな存在であろうとその手で触れてノイズを壊す。

 

 

その原理は未だに解らず、当人たるディケイドも何も語らない。

 

 

ただ忠実に、ノイズを狩り尽くしていく。作業のようにこなすその姿勢は感情のない機械であるが、弦十郎はそう思えなかった。

 

 

「ディケイド、お前はいったいどれ程の怒りを抱いているというんだ……」

 

 

あの時、弦十郎は自身を横切り過ぎていくディケイドに声を掛けようとしたが、尋常ではない怒りに気づき言葉を失った。多くの悪意や敵意を向けられ慣れているが、それを越える気配をディケイドは纏っていた。

 

 

その怒りはノイズに対するものなのか。それとも、別の何かなのか。もし矛先がこちらに向けばとゾッとするが、弦十郎はそんなことは起きないと信じたい。過去のデータでも、ディケイドはノイズに攻撃するだけで人類に危害を加えていない。希望的観測であるが、ディケイドが敵対する可能性は低いだろう。

 

 

──だからこそ。

 

 

「俺は貴方と話したい。ディケイド、貴方がいったい何のために戦っているのかを」

 

 

弦十郎は人の善性を信じている。今までの人生の中、様々な人間を見てきたが、心から平和を願い戦っている人間がいることを知っている。そして、ディケイドもその心を持っているというなら、きっと自分たちは手を取り合える。

 

 

「ハァッ!」

 

 

後ろにいたノイズを蹴り飛ばし、眼前に飛び込んできたノイズを拳が貫いた。おぞましい怒気を内包しているとは思えない精練された動きは、とても美しかった。死地であるにも関わらず、舞踏劇を観賞した気分であった。

 

 

音もなく巨大な人型ノイズが現れる。目測で5M程の高さだ。あまりの巨体に、気圧されるだろうがディケイドは動じない。

 

 

いつの間に持っていたのか、ディケイドの右手には金色のカードを持っていた。カードを勢いよく腹部のベルトに差し込むと、けたましい音声がベルトから発声した。

 

 

   

【FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DECADE】

 

 

十枚のホログラム状の金色の壁が一列になり現れ、ディケイドは飛び上がる。巨体ノイズを優に越える高さまでいくと、金色の壁も連動して動き十枚目の壁がノイズの胸元を捉えた。

 

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

 

ディケイドが飛び蹴りの体勢で、金色の壁を潜り抜けていく。一枚潜る度に、ディケイドの右足に膨大なエネルギーが蓄積されていく。十枚目を潜り抜け、ディケイドの蹴りがノイズの胸元に直撃し貫通する。

 

 

胸に風穴が空いたノイズは微動だにせず、瞬時に全身が煤へと変わり果てた。風が吹き、舞う煤を気にせず、ディケイドは弦十郎に向き直る。

 

 

『ノイズの反応、全て消失しました。新たなノイズの感知はありません……』

 

 

『……すごい。何度も見たけどなんて殲滅速度なんだ。ディケイドが現れてから、五分も経ってない』

 

 

告げられた報告内容に、弦十郎は安堵の溜め息を吐く。しかし、まだ終わっていない。気を入れ直し、部下二人に指示を飛ばす。

 

 

「二人とも、気を緩めるなよ。ディケイドの観測、データ収集に集中しろ」

 

 

『『了解です』』

 

 

指示通りに、朔也とあおいは行動を起こす。忙しなく手を動かし、司令部の機器でディケイドの情報を収集していく。

 

 

ディケイドは動かず弦十郎をじっと見つめていた。弦十郎もディケイドに瞳を向け、口を開こうとした途端、ディケイドの足が透けていった。

 

 

弦十郎はその現象を見て、焦りだした。あれはディケイドが姿を消すときの前兆であった。

 

 

「待ってくれ、ディケイド!」

 

 

弦十郎の声は聞き入れられることなく、ディケイドの姿は完全に消えてしまった。最後まで互いに目を逸らすとこなく、見つめあっていたまま。

 

 

しばらく呆然とするも、ディケイドがいた場所を見つめながら、弦十郎は静かに笑みを浮かべた。

 

 

「礼を言う間もなく、行っちまったな」

 

 

今回、ディケイドが現れていなければ、弦十郎は確実に命を落としていた。向こうの意図は分からないが、こうして救われた以上、せめて礼は告げたかった。

 

 

「それに、ディケイドは──」

 

 

きっと、人類の敵ではない。弦十郎とディケイドの視線が交差したとき、明らかに此方への敵意は感じられなかった。そして、守る者特有の暖かさを確かに感じ取った。

 

 

未だ正体は分からないが、いつか共に戦える日を信じて。

 

 

その日まで、感謝の言葉は胸に留めておこう。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「(OTONAから逃げられたと思ったら、またノイズの群れに放置されてた。泣きたい。もう泣いてるけどっ。あ、涙凍った)」

 

 

弦十郎の気持ちなど露知らず、中の人は嘆き叫ぶ。

 

 

南極大陸の中心で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくださり、有難うございます。

戦闘描写難しいです。

感想ほしいな。(返信できるか約束できない

次回は主人公の紹介と、装者の絡みを書いていきます

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